はじめに
リスキリングは、従業員が新しいスキルや知識を獲得し、自己成長を達成する手段として位置づけられている。リスキリングが新しい職務や役割への適応に貢献し、キャリア成長を促進する。急速な技術の進化や産業構造の転換により、変化する職場環境に適応する必要性が高まる中、リスキリングへの注目度も飛躍的に上昇している。
矢野経済研究所※によると、2023年度の国内eラーニング市場規模は3773億円(前年度比1.8%増)と予測される。法人向けのBtoB市場規模が1075億円(前年度比10.7%増)、個人向けのBtoC市場規模が2630億円(同1.9%増)であり、両市場ともに引き続き市場拡大が見込まれる。
DXの進展に伴い、個々のレベルに応じた学習の提供が求められることや、働きながら新たな知識・スキルを習得する必要性から、eラーニングがリスキリング手段として人気を集めている。今後、eラーニングを活用したリスキリングが一層広がると予測され、需要の高まりが感じられる。
スタートアップ4選
WorX株式会社
転職決定後の後払い型リスキリング転職プラットフォーム「WorX」を運営する。リスキリングによる未経験の業界や職種への転職を実現するためのトレーニングコースを提供し、転職活動をサポートする。
2023年8月時点で、受講者の約8割が転職を成功させており、リモートワークなどの柔軟な働き方を可能とすることに加え、転職後の年収は平均で90万円の増加につながっている。
2023年8月には、XTech Ventures、ユームテクノロジージャパン、ナハト、ベクトル取締役副社長の長谷川創氏を引受先とした第三者割当増資と日本政策金公庫からの融資による1.5億円の資金調達を実施した。
企業HP:https://worx-co.jp/
株式会社ライフシフトラボ
40代・50代のシニアミドル層のための、キャリアパーソナルトレーニングサービス「ライフシフトラボ」を提供している。複業コース・転職コースがあり、受講生のキャリアプランニングから強みの棚卸し、複業デビューや転職の成功まで、人材マーケットに精通するベテラントレーナーがマンツーマンで伴走する60日間の短期集中プログラムだ。
2023年7月時点での受講者は200名を超え、受講者の複業デビュー率は95%、転職成功率は100%を誇る。
2023年7月には、シリーズAラウンドにてニッセイ・キャピタル、ココナラスキルパートナーズ、みずほキャピタル等を引受先とした第三者割当増資による2億円の資金調達を実施した。2023年11月には、ディジタルグロースアカデミアとの協業事業において、経済産業省より「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」に採択された。
paiza株式会社
ITエンジニア向けの転職・就職・学習プラットフォーム「paiza」を運営する。「paizaラーニング」は、未経験者や初心者向けの動画プログラミング学習サービスで、Java, PHP, Python, Ruby, JavaScriptなどの主要言語や周辺知識の基礎を総合的に身につけることができる。さらに「paiza転職」「paiza新卒」など、キャリアアップにつながる支援を実施している。
2022年8月にはシリーズBラウンドにて、第三者割当増資による7.1億円の資金調達を実施した。2023年12月には、一般社団法人日本クラウド産業協会主催の「ASPICクラウドアワード2023」にて、 「基幹業務系ASP・SaaS部門 奨励賞」を受賞した。
株式会社Hogetic Lab
データ収集・統合システム「Collectro」を開発・運営する。Collectroは、ユーザーのデータ分析環境に合わせてデータプラットフォームを構築し、自社データとオープンデータを収集・統合できるシステム。さらに、Collectroで収集したデータを活用するためのAI開発サービス「Factlithm」や、社員のデータリテラシー向上のための人材育成サービス「Bizschola」を運営する。
2022年11月には、シリーズAラウンドにてmint、FFGベンチャービジネスパートナーズ、CLホールディングス、コムレイズ・インキュベートなどを引受先とした第三者割当増資と融資により、約2.2億円の資金調達を実施した。
おわりに
リスキリングは、変化の激しい現代社会で重要性を増している。新しいスキルや知識を身につけ、柔軟に対応することが、個人の成長だけでなく企業の持続的な成功にもつながることから、今後も変化に適応し成長し続けるための手段として、リスキリングが一層注目を浴びることが期待される。
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※矢野経済研究所 eラーニング市場に関する調査を実施(2023年)