シェアダインが21億円調達──AI×料理人マッチングで海外進出と地方展開を加速

シェアダインが21億円調達──AI×料理人マッチングで海外進出と地方展開を加速

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料理人マッチングプラットフォームを展開する株式会社シェアダインが、2025年8月にシリーズBラウンドで総額21億円の資金調達を実施した。2024年11月に発表した一次クローズに続き、本ラウンドでは新たに、みずほキャピタルや三井住友信託銀行が参加した。

シェアダインは2017年創業。主力事業は家庭向けの出張シェフサービス「シェアダイン」、飲食店向け即戦力人材マッチング「スポットシェフ」、そして料理人向けキャリアSNS「CHEFLINK」など多岐にわたる。2024年秋に公開した「CHEFLINK」は、登録シェフ数が2.5万人を超えた。単なるマッチング機能にとどまらず、料理人同士のネットワーク形成、学び合いの場、AIによるレコメンド機能、マルチキャリアの機会提供、海外就業サポートなどを組み合わせて、料理人のキャリア形成を支援している。

代表取締役は飯田陽狩氏。共同代表の井出有希氏とともにシェアダインを設立した。井出氏は金融・コンサルティング業界でのキャリアを経て創業に至っており、共働き・子育て世帯としての実体験を出発点に、家庭の食事作りという生活課題の解決を目指した事業立ち上げが背景にある。

国内の家庭向け出張シェフ市場は、2020年代以降、急速に成長している。経済産業省の2024年資料によれば、家事・料理代行サービス市場は年平均約4〜5%の成長率を記録しており、クックパッド、シェフズテーブル、PRIME CHEF、オーダーシェフなど複数の競合が存在する。その中でシェアダインは、登録シェフの専門性と事業の多層化を強みとしている。一方で、飲食業界全体では人手不足や雇用の流動化、飲食業専従人材のキャリア形成不全といった課題が長らく指摘されてきた。コロナ禍を契機にフリーランスや多様な働き方が広がる傾向があり、人材流動性と多様なキャリア形成へのニーズが高まる構図となっている。

今回の資金調達は、シェアダインがM&Aによる事業領域の拡張や、AIによるマッチング精度向上、地方飲食事業者との連携、海外市場進出などの計画を進めるうえでの基盤となる。「CHEFLINK」を通じたグローバルキャリア支援は、従来の雇用形態からスキル・プロジェクト単位のジョブ型への転換を促す取り組みとされている。調達資金はAI開発、ユーザー拡大、ブランド認知向上、地方展開、採用強化など多方面に活用される。

2025年時点でシェアダインのプラットフォームには2.5万人以上の料理人が登録している。家庭向けには1回8800円からの出張調理サービスを定期サブスクリプションとして提供し、家事負担の軽減と栄養管理を両立する仕組みを構築。飲食店向けにはスポット契約でプロ料理人を即時手配できるサービスを展開し、店舗側の人手不足に対応している。

この領域では、既存のフードデリバリーや家事代行サービスと機能的な違いがある。料理人が自身のキャリアポートフォリオを可視化し、機会を拡げる点が差別化要素となっている。

今後、シェアダインは調理専門人材のキャリアインフラの構築や、インバウンドを含む海外展開、AI等の機能強化を進め、地方都市やホテル・介護など新たな対象領域への事業拡大を計画している。

市場全体としては、外食産業の回復や人材の流動化、家庭内での食体験の多様化などを背景に成長が見込まれる。大手金融機関との連携や採用活動の強化など、資本・人材両面でのリソース拡大を進め、国内外での事業展開を目指す方針である。

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