at FOREST、プレシリーズAで2.5億円調達──“循環葬”を通じて森林再生と新たな弔いの形を拡大

at FOREST、プレシリーズAで2.5億円調達──“循環葬”を通じて森林再生と新たな弔いの形を拡大

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森林再生を伴う埋葬サービス「循環葬 RETURN TO NATURE」を展開するat FOREST株式会社が、プレシリーズAラウンドで、アニマルスピリッツを引受先とした2.5億円の資金調達を実施した。これにより、デットファイナンスを含めた累計調達額は3億900万円となった。

at FORESTは2022年設立。「循環葬 RETURN TO NATURE」は、火葬後の遺骨をパウダー状にし、墓石や墓標を設けず森林の土中に埋葬する方式を採用する。埋葬は土壌学の専門家監修のもとで行われ、森林メンテナンスや再生にも収益の一部を寄付する仕組みだ。墓標を置かない埋葬形式は、核家族化や都市部への人口流出、無縁墓の増加といった社会課題を背景に管理負担の軽減や新たな選択肢として注目されている。現在、関西の能勢妙見山と関東の千葉県真野寺を拠点にサービスを展開している。

代表取締役の小池友紀氏は、広告クリエイティブ領域で15年のキャリアを持ち、コピーライターとして多様なブランディングやコンセプト設計を経験してきた。小池氏は自身の家族葬や両親の墓の移転経験を契機に、自然回帰への関心とともに「死」と「森林再生」を結びつける事業の構想に至った。創業者としてサービス発案と事業推進の役割を担っている。

埋葬方法の多様化が進む中、「樹木葬」や「散骨」など従来と異なる葬送法のニーズが増加している。少子高齢化や人口移動、継承負担の増大が家単位での墓の維持を難しくしている。総務省の2023年調査では公営墓地の管理費滞納率は55%に上り、at FORESTが2025年に実施した調査では60代の5人に1人が自然葬を希望していた。自然回帰志向や持続可能性を重視する価値観の広がりが背景にあり、こうした市場では従来の墓石葬に加え、樹木葬事業者や葬儀関連大手、さらにサステナブル志向やテクノロジーを活用する新興スタートアップとの競合が活発化している。同社は、埋葬事業は墓埋法(墓地、埋葬等に関する法律)や地域慣習による規制もあり、寺院などとのパートナーシップを通じて社会的受容性を高めている。

今後は調達資金を活用し、at FORESTの理念に共感するパートナーとともに、循環葬®︎「RETURN TO NATURE」の提供拠点を拡大し、豊かな森づくりに取り組む方針だ。

at FORESTの取り組みは、環境負荷の低減、無縁墓問題の抑制、森林再生といった社会課題の解決と埋葬の新たな選択肢の提供を両立するものとなっている。今後も資金調達の動向や拠点拡大の進捗、サービス利用者層の変化が業界関係者から注目される状況が続く見通しである。

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