iYell株式会社

住宅事業者向けクラウド型住宅ローン業務支援システムを展開するiYell株式会社は、ウィル、日建パートナーズ、他1社を引受先とする第三者割当増資、さらに北國銀行の融資を含め、総額3.3億円の資金調達を実施した。シリーズEラウンドでの累計調達額は21.9億円となった。
iYellは、住宅ローン業務の効率化を目的としたクラウド型業務支援システムを住宅事業者向けに展開している。主力サービス「いえーるダンドリ」では、住宅事業者の煩雑な業務やブラックボックス化された住宅ローン審査による販売機会損失といった課題を解決する、住宅ローン業務支援システム。住宅ローンの知識と金融ネットワークを持つ専門家が、クラウド上の独自テクノロジーを活用して、速く・わかりやすく・安心な借入プロセスを実現する。住宅事業者の業務効率化と販売促進を支援し、エンドユーザーには希望に沿った最適なローン手続きを提供する。
代表取締役CEOは窪田光洋氏。窪田氏は、大学卒業後2007年にSBIホールディングスへ入社し、SBIモーゲージ(現アルヒ)に配属。2010年に最年少で越谷店店長、2012年に債権管理部長、2014年に最年少で執行役員に就任。住宅ローンの商品企画・販売審査部門を統括したのち、2016年にiYellを設立した。創業後は既存の業界構造の変革を志向し、業界・現場双方からの知見を活かして事業基盤の立ち上げをリードしてきた。現在はテクノロジーを活用した住宅金融プラットフォームの構築と利用者支援策の推進に注力している。
日本の住宅ローン市場は、民間金融機関を中心に都市銀行、地方銀行、信用金庫などが激しい競争を繰り広げている。2025年4-6月期の住宅ローン新規貸出額は5兆2,553億円で前年同期比1.1%増と堅調に推移しており、特に都市銀行が最多シェアを占める(JHF統計)。一方で利用者層は初回の住宅購入者や共働き世帯が増加し、多様なライフスタイルや返済能力に応じたサービスが求められている。金利タイプでは変動型が79.0%と主流を占め、返済期間の長期化(二極化傾向)も進んでいる(JHF『住宅ローン利用者調査』)。業界全体では人口減少や建築費高騰に伴う住宅取得ニーズの変動、融資審査の高度化、業務効率化・デジタル化への対応が主要課題であり、住宅ローンの選定プロセスや手続きのサポート体制強化が今後一層重要視されていく。
調達した資金は、同社が運営する住宅ローンプラットフォームの全国的な普及促進と、加盟事業者向けの新サービス開発に充てられる予定である。iYellでは、引き続き住宅ローン業務の効率化や、住宅購入・住宅関連分野の課題解決を目指し、不正情報検知システムや個人情報漏洩防止のためのデータ送信クラウドシステムの開発にも投資する。国内の住宅ローンは、住宅事業者がユーザーのローン手続きを業務の一環として対応している現状があり、専門家ではないことから最適なマッチングが難しいという課題がある。同社は、住宅事業者の業務削減と売上拡大を支援する「いえーる ダンドリ」を通じ、エンドユーザーに最適な住宅ローン手続きを提供する体制を強化していく方針だ。









