IVRyが実現する不要な電話応答からの解放、スモールビジネスの人手不足を解消

IVRyが実現する不要な電話応答からの解放、スモールビジネスの人手不足を解消

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KEPPLE編集部

電話の自動応答サービスを提供する株式会社IVRy(アイブリー)がシリーズBラウンドにて、第三者割当増資による13.1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、フェムトパートナーズ、Headline Asia、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、BRICKS FUND TOKYOの6社。

今回の資金調達によりプロダクト開発を強化し、5年以内に100億円の売り上げ達成を目指す。

IVRyで電話応答を自動化

IVRyは、スモールビジネスや中小企業向けの電話業務を自動化するサービスだ。

サービスイメージ
AIによる音声認識や合成音声、LLM(大規模言語モデル)を利用した対話型AIを活用する。マニュアル不要で使える簡単なUI/UXを備え、ユーザーはノーコードでカスタマイズできるのが大きな特徴だ。

2023年3月現在、47都道府県で50業界以上、累計5000以上のアカウント利用があり、500万件以上の着電の自動応答の実績を持つ。クリニックなどの医療機関や宿泊施設、飲食店の利用が多い。今年3月にはいずれもベータ版で、AI音声認識機能(β)とChatGPTを活用した通話音声要約機能(β)の提供も開始した。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 奥西 亮賀氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

効率化で人手不足を乗り越える

―― これまで、スモールビジネスの電話業務にはどのような課題がありましたか?

奥西氏:スモールビジネスや中小企業の店長やオーナーは、本人が店舗や現場にいることが多く、取引先やお客様からかかってくる電話を自ら取っています。アルバイト従業員に電話対応のオペレーションを教えるのが大変なのと同時に、責任者として断るだけの営業電話も多いからです。店長が電話を取ることでオペレーションが止まり、業務がスタックすることで、目の前にいるお客様への価値を最大化できなくなることも少なくありません。

日本の全企業数において中小企業が占める割合はかなり多く、加えて今後さらに人手不足が加速していきます。電話での問い合わせに対する答えはルール化できることが多いものです。かかってくる電話に対して、受電する側がコントロールできる世界を作ることが、コミュニケーションを円滑にする上では重要だと考えています。

人口減少の説明
これまでも電話応答のシステムはありましたが、ITベンダーが構築する高価格なものが一般的でした。設定画面があるようなサービスはコールセンター向けなどの限定的な用途が多く、エンドユーザーがぱっと見て簡単に設定できるような、モダンなUI/UXを備えたツールはありませんでした。

スタートアップスカウト

―― IVRyを始めようと思ったきっかけを教えてください。

大学院時代、情報工学系の学生としてエンジニアリングを学んでいました。当時の映画「ソーシャル・ネットワーク」の影響で、エンジニアリングの可能性を感じ、卒業後の選択肢に起業を加えました。当時、仲間内でアプリ開発に取り組んでおり、そのプロセスや周りからの反応が楽しかったのですが、周囲の大人からは売り上げやマーケティングについて尋ねられたことで、「エンジニアリングだけできてもダメなんだ」と気づきました。

自分でビジネスをデザインするため、リクルートに入社し、マーケティングや事業戦略、UI/UXなど、エンジニアリング以外で自分に欠けていた要素を身につけました。これからの人生設計を考え、チャレンジするなら今だと思って28歳で起業しました。

toC向けやSMB向けなど、10個サービスを開発すれば1つくらい当たるだろうと思って作った7個目がIVRyです。起業して気づいたのは、社会的意義があると仲間が集まりやすく、自分だけでは思いつかなかったことができるようになることでした。会社員時代の新規事業と違うのは、自分で環境を設計できること。面白い仲間が集まってきて、面白いものを作っていくプロセスは、やはりすごく楽しいですね。

―― IVRyリリース後のユーザーからの反応について教えてください。

IVRyは、システムを作り込んでいない状態でLPだけ作り、リスティング広告を出してみると10件ほど問い合わせがありました。しかも「電話のモックだけでも明日から使いたい」というお客様ばかり。顧客に対して課題解決ができている感覚は最初からあったので、これをどう伸ばしていくか考えていました。

そこへ2021年5月頃、お客様のクリニックで1時間に1000件もの受電が見られる事例が起こりました。これはコロナワクチン接種に関する問い合わせで、行政で予約できない方がダメもとでクリニックに電話したのが原因です。このことから病院やクリニックにニーズがあると考え、マーケティングしたところ上手くはまったという経緯があります。

地域格差のない利便性を提供

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

一つ目は、AIを活用したプロダクト開発のスピードアップです。ChatGPTやGPT4のような大規模言語モデルの進化と性能が想像以上だったので、そこにフィットさせたいと考えています。次にマーケティング活動で、電話を自動化するサービスの認知度を上げます。加えてエンジニアと、IVRyの認知度アップを推進する上で必要な人材を採用します。セールスとエンジニアを中心に、現在20数名の組織を今年中に50人、来年は100人ほどまで拡大する計画です。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

現在順調にアカウント数を増やしており、さらに認知度を獲得して、5年以内に100億円の売上を目指します。長期的には、日本社会の生産性を上げる観点で、プロダクトを使いやすい形に変え、すぐに届けるのが、当社の最も取り組みたいことです。現在IVRyを利用中のお客様は、鹿児島の日本茶販売店、小豆島のクリニック、宮古島のリゾートホテル、オホーツク海沿岸のホテルなど、多岐にわたっています。地方のお客様もAIを活用した追加機能をすぐに使えるなど、IT格差が大きかった地方のお客様に最先端の技術を届けられるのが当社の価値だと思っています。今後も、これまでに得たユーザーデータを活用した機能開発を行います。取る必要のない電話を減らし、電話業務を効率化していくためにこれからも取り組んでいきます。

株式会社IVRy

株式会社IVRyは、電話自動応答システム(IVRシステム)を作成し利用できる『IVRy』を運営している企業。 『IVRy』は、クラウド上で電話自動応答システムを作成し、電話業務の一部を自動化することができるサービス。 同サービスは、これまで個別に行われてきた自動応答システムの開発をクラウド経由で提供することで、システム開発と利用にかかるコストの削減やシステム作成時間の短縮を実現。

代表者名奥西亮賀
設立日2019年3月1日
住所東京都台東区元浅草3丁目7番1号住友不動産上野御徒町ビル4階
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