eギフトサービス「AnyGift(エニーギフト)」を運営するAnyReach株式会社(エニーリーチ)がシードラウンドにて、第三者割当増資による1.1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。
今回のラウンドでの引受先は、Coral Capital、XTech Ventures、グローバル・ブレインの3社。
今回の資金調達により、今年中に累計2000社へのサービス導入とグローバル展開を目指す。
既存のECサイトにeギフト機能を組み込む
AnyGiftは、eギフト・オンラインギフトの機能を自社のECサイトに組み込み、提供開始できるサービスだ。
住所を知らない相手に商品を贈れるだけでなく、受取日時の指定、カタログギフト機能なども持つ。ECサイトの運営企業は、商品を贈る側に加えて受け取った側の情報も取得でき、双方へのマーケティングアプローチが可能となる。
2022年4月のサービス開始から8ヶ月で、導入社数は500社を突破。今後はアメリカを皮切りに海外へサービス展開し、2023年中に導入社数2000社を目指す。
今回の資金調達に際して、代表取締役 中島 功之祐氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。
eギフトの可能性を広げるために
―― これまで、eギフトを利用したいEC事業者にはどのような課題がありましたか?
中島氏:これまでeギフトのサービスは、各企業のeギフトが出品するモール型が主流でした。ただ、既に自社でECサイトを運営している企業が、モール型サイトに対応するための新たな機能を実装するには開発工数がかかり、オペレーションの変更が大きな負荷となります。
EC事業者向けのサービスはどんどん増えてきている一方で、ツールごとに複雑なオペレーションが必要となり、それに伴ってデータが散逸するなど不便な点も多いです。
そして現在、EC事業者は顧客獲得に関して大きな課題を抱えています。
具体的には、サードパーティーCookie※の規制で、広告経由の顧客獲得コストがこれまでの倍以上になったこと。また、SNSを活用した集客に注力していた企業は、アルゴリズムの変更によって毎月の顧客獲得数が半減していることなどです。こういった危機的な事態に対して、何らかの新しい打ち手が求められています。
※第三者ドメインが発行するCookie。複数のウェブサイトを横断して同一ユーザーの閲覧したブラウザを追跡し、オンラインでの行動をトラッキングする。
eギフトの利用者こそがEC事業者の顧客になりえる層であるにもかかわらず、これまで誰が自社のeギフトを利用しているのか把握できておらず、適切なアプローチができていませんでした。
―― AnyGiftを始めようと思ったきっかけを教えてください。
私は前職でメルカリに在籍し、プロダクトマネージャーとして、メルカリアプリの企画運営とグロースに携わっていました。他社との比較や市場調査のため、アプリでの売買だけではなく、他社のECサイトやD2Cのさまざまな商品を実際によく買っていました。購入前はあまり欲しくなかった物でも、手元に届いて実際に商品を試してみると「こんなにいい商品なんだ!」と、気づくことがよくあります。
一方的にではありますが、贈る相手に商品を知ってもらえるのがギフト体験です。贈り物として手元に商品が届き、たとえ自分が買ったものでなくても商品の価値がわかれば、これからはファンとしてその商品を買い続けるでしょう。あらゆるECサイトの商品をギフトとして贈ることができれば、さまざまな商品の魅力が広く知られるはずです。そのきっかけを作ろうと、このサービスを始めました。
オンラインギフトの代名詞を目指す
―― 資金調達の使途について教えてください。
開発、営業の人材採用です。中でも、マーケティングのキャリアをバックグラウンドに持つ、eコマース分野に長けたメンバーの採用に注力します。また、現在は私が全取引先の営業・コンサルティング業務を担当していますので、今年中に営業の人材を5名ほど増員したいとも考えています。
―― 今後の長期的な展望を教えてください。
今年の目標は累計2000社へのサービス導入と、海外展開の開始です。eギフトやECにおける組み込み型集客については、世界中で課題となっています。まずはアメリカから始め、来年まで段階的に各国への展開を検討したいと考えています。
また、私たち自身がメディアやモールを立ち上げることで、各ECサイトに送客する仕組みを作ります。メディアは年内、モールは来年以降のスタートを目指しています。
オンラインのコマース領域において、「ギフト体験」ではまだ圧倒的なプレーヤーは存在しません。あらゆるオンラインのギフトが、すべてAnyGiftを通して行われるような世界を作りたいですね。
AnyReach株式会社
AnyReach株式会社は、「eギフト機能」を自社のECサイトに導入できるサービス『AnyGift』を運営する企業。 eギフトとは、相手の住所を知らなくても、「LINE」やメールなどでURLを送ることでギフトを相手に贈れるサービスのこと。 『AnyGift』は、生鮮食品や衣類、化粧品など幅広い商品に対応可能であり、購入後に発行されるURLを送り、相手が会員登録をすることなく受け取り住所を入力することで、購入した商品がギフトとして相手に届く。
代表者名 | 中島功之祐 |
設立日 | 2021年10月6日 |
住所 | 東京都中央区新川2丁目19番8号 |