貿易をアップデートするスタートアップ4選

貿易をアップデートするスタートアップ4選

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KEPPLE編集部


はじめに

昨今、国際的な商取引である貿易に変化が起きている。

財務省※1によるとコロナ禍を迎えた2020年度では、輸出額は前年度で11.4%減となる67兆3277億円、輸入額では前年度よりも15.0%減の64兆2820億円であった。コロナ禍による移動制限や工場操業停止によって、燃料や乗用車などの輸送用機器の輸出が特に減少した。

一方、2022年度の輸出額は前年比16.3%増となる99兆6207億円、輸入額は前年比35.0%増となる117兆6809億円となった。変化の背景としては、ウクライナ・ロシア情勢を原因として天然資源の輸入額が大幅に増加した点や、円安による輸出品の増加がある。

このように社会情勢に強く影響される貿易であるが、世界貿易量全体では増加傾向にある。経済産業省が所管する日本貿易振興機構(ジェトロ)※2によると、過去20年にわたって世界の財貿易額は増加傾向にあり、2022年度の世界貿易は前年比11.1%増の24兆2400億ドル(財貿易、名目輸出額ベース)となった。

貿易市場が伸び続けることに伴ってより顕著となったのは、国内の貿易DXの遅れだ。貿易業務には、相手国や関連する企業などの不特定多数との情報共有や書類作成、輸出入されるモノの証明書類の確認といった膨大かつ煩雑な作業が存在している。

これらの業務を効率化するDX化が求められるほか、新たな販路の獲得や海外情勢に合わせた適切なブランディングなど、さまざまな課題が存在している。

今回は、国内の貿易を支えるスタートアップ企業4社を紹介する。

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スタートアップ4選

株式会社STANDAGE

貿易においての販路開拓や、交渉・契約、決済、貨物の引き渡しをすべてワンストップで完結させるプラットフォーム「デジトラッド」を提供する企業。ブロックチェーン、AI技術を基盤にした次世代貿易インフラで、スムーズな与信や国際送金を可能にする。アフリカなどの新興国を中心に貿易事業を展開しており、商談支援や販売地域策定のコンサルまで幅広い貿易業務支援を行う。

2023年9月時点で契約社数が100社を突破。また、同月には、C&Rインキュベーション・ラボより出資を受けたことを発表した。

企業HP:https://standage.co.jp/

株式会社Shippio

クラウドを活用して貿易手続きを省力化するサービス「Shippio」を運営する企業。 Shippioは、オンライン上で輸出入の発注、管理ができるサービスだ。貨物の輸送状況や納品管理といった輸送管理、輸送コストなどの見積もりや請求書作成、各種書類データのクラウド管理、貿易業務の進捗状況の可視化や各関係企業とのチャットを一元的に行える。

2022年には、米物流テック専門誌のLogistics Tech Outlookの「アジア太平洋地域の物流スタートアップTOP10」に選出された。また、同年11月には、みずほ銀行が主催する、成長が期待されるイノベーション企業を表彰する「Mizuho Innovation Award 2022 3Q」を受賞。また、2022年9月にシリーズBラウンドにて、総額16.5億円の資金調達を実施した。

Willbox株式会社

国際物流デジタルプラットフォーム「Giho」を開発・運営する企業。Gihoは、主に大型貨物(工業製品)を扱う荷主企業とデータベース化された物流事業者を、直接つなぐクラウド型サービス。貨物に対して最適な梱包を瞬時に算出し、輸送物に応じて最適な業者とのマッチングを実現する。コンテナ発注、物流費分析、案件管理といった輸出業務全般をサポートする。

2022年10月には、シリーズAラウンドにて、総額約7億円の資金調達を実施した。SMBCベンチャーキャピタルをリード投資家とし、三菱UFJキャピタル、丸紅ベンチャーズ、ANOBAKAに加えて、 新規にSalesforce Ventures、Golden Asia Fund Ⅲ、みずほキャピタルから資金を調達した。

企業HP:http://willbox.jp/

株式会社Zenport

貿易業務のサプライチェーンマネジメント「Zenport」を運営する企業。 Zenportは、貨物のトラッキングや受発注・在庫管理、データ分析、貿易書類の管理など貿易手続きのオールインワン機能を搭載。

発注や積荷のスケジュール管理、貿易書類手続きを全自動化するだけでなく、売上、在庫、船舶のデータを解析し、最適な発注、ETD、輸送ルートを提案する。複数のシステム・エクセルファイルで保存されてきた業務データをクラウド上で一括管理可能。シッパーやフォワーダーなどの外部の関係者との連絡も自動化する。

2019年8月には、プレシリーズAラウンドにおいて、総額約1.55億円の資金調達を実施した。

おわりに

昨今の世界情勢が貿易に与える影響には、今後も関心が集まることが予想される。貿易を下支えするスタートアップの取り組みにも注目したい。

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※1 財務省 「令和2年中 国際収支状況(速報)の概要
※2 ジェトロ「ジェトロ世界貿易投資報告 2023年版

専門アナリストが徹底解説!脱炭素ビジネスの新潮流(建設・物流編)


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