貿易をアップデートするスタートアップ4選【2025年5月更新】

貿易をアップデートするスタートアップ4選【2025年5月更新】

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混乱の時代を越えて、進み始めた貿易現場の変革 

昨今、国際的な商取引である貿易に変化が起きている。

コロナ禍の影響を受けた2020年度では、移動制限や工場操業停止によって、燃料や乗用車などの輸送用機器の輸出が特に減少した。

一方、2022年度の輸出額、輸入額ともに増加した。変化の背景としては、ウクライナ・ロシア情勢を原因として天然資源の輸入額が大幅に増加した点や、円安による輸出品の増加がある。

最新の2023年では、輸出額が前年比2.8%増の100兆8,866億円となり、初めて100兆円を突破。自動車や建設機械の伸びが寄与した。一方、輸入額は110兆1,779億円と前年比で7.0%減少し、原油や石炭の価格下落が影響した。これにより貿易赤字は9兆2,914億円に縮小した。※1

このように、貿易は社会情勢に大きく左右されるが、世界全体の貿易動向は近年やや停滞している。2023年の世界の財貿易総額は23兆1,144億ドルと前年比4.6%減。ウクライナ情勢の長期化、世界的なインフレ傾向、金融市場の不安定化などが背景にある。※2

貿易市場が伸び続けることに伴ってより顕著となったのは、国内の貿易DXの遅れだ。貿易業務には、相手国や関連する企業などの不特定多数との情報共有や書類作成、輸出入されるモノの証明書類の確認といった膨大かつ煩雑な作業が存在している。

これらの業務を効率化するDX化が求められるほか、新たな販路の獲得や海外情勢に合わせた適切なブランディングなど、さまざまな課題が存在している。

今回は、国内の貿易を支えるスタートアップ企業4社を紹介する。

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スタートアップ4選

株式会社STANDAGE

企業HP:https://standage.co.jp/

アフリカを中心とした新興国との貿易に特化し、交渉・契約・決済・物流までを一元管理できる次世代型貿易プラットフォーム「デジトラッド(Digitrad)」を開発・提供。ブロックチェーンやAIを活用し、与信審査や国際送金をスムーズにする独自の貿易インフラを構築。販路開拓支援、商談マッチング、貿易コンサルティングなど、多面的な支援を通じて新興国市場への参入を後押ししている。

2025年2月には、七十七銀行と、海外販路拡大に向けた支援に関する業務提携を行った。スタンデージの輸出支援サービス「おまかせ貿易」の認知と導入を拡大することで、海外進出を目指す企業の支援および地域経済の活性化に取り組む。

株式会社Shippio

企業HP:https://shippio.io/

クラウドベースの貿易業務管理サービス「Shippio」を提供する。Shippioは、輸出入業務に必要な発注、輸送管理、書類作成、見積・請求、納品状況の可視化までをオンラインで一元化するデジタルフォワーディングプラットフォーム。貨物のステータストラッキング、関係者とのチャット機能、クラウド上でのドキュメント共有などを通じて、煩雑な貿易実務の効率化と可視化を実現する。

2025年4月には、貿易書類を自動で読み取りShippioクラウドサービスへ自動転記するAI-OCR機能を提供開始した。

Willbox株式会社

企業HP:http://willbox.jp/

国際物流デジタルプラットフォーム「Giho」を開発・運営する企業。Gihoは、主に大型貨物(工業製品など)を扱う荷主企業と、国内外の物流事業者をマッチングするクラウド型物流支援サービス。梱包形状や輸送手段、費用などのデータをもとに最適な物流パートナーを提案し、輸出実務を効率化・可視化する。コンテナ発注、物流費分析、案件管理といった輸出業務全般をサポートする。

2024年8月には、コンテナ追跡サービス「MonCargo」を運営するMonCargoとデータ連携を開始した。データ連携することでコンテナの追跡が可能となり、本船の動静確認ができるようになった。

株式会社Zenport

企業HP:https://zenport.io/ja/

貿易業務のサプライチェーンマネジメント「ZENPORT」を運営する企業。ZENPORTは、受発注、在庫管理、貨物トラッキング、貿易書類の作成・共有、データ分析までを一元管理できるクラウド型プラットフォーム。発注・積荷スケジュールの自動化や、売上・在庫・輸送データをもとにした最適な発注時期・ETD(出港予定日)・輸送ルートの提案機能も搭載する。

さらに、分散したエクセル・システムにまたがっていた貿易データをクラウド上で集約管理でき、シッパー・フォワーダーなど外部パートナーとの連絡や書類共有の自動化にも対応。貿易業務の生産性と精度の大幅な向上を支援する。

2025年5月には、ZENPORTの新機能として、ZENPORT上での書類作成や他データ閲覧時に取引先情報を自動的に参照できる「取引先データウエアハウス機能」をリリースした。

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※1 日本貿易振興機構(ジェトロ) 「2023年の日本の中東への輸出額は前年比27.7%増、輸入額は15.1%減
※2 日本貿易振興機構(ジェトロ)「
ジェトロ世界貿易投資報告 2024年版


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