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地域の人と人をつなぐ、ピアッザが描くご近所づきあいの未来形

地域コミュニティサービスを提供するPIAZZA株式会社が、既存投資家のブルーインキュベーション、および新規投資家のSGインキュベートを引受先とする第三者割当増資により、総額1.4億円の資金調達を実施した。これにより累計調達額は7.7億円となる。
2015年設立のPIAZZAは、地域密着型のデジタルコミュニティアプリ「ピアッザ」を主力サービスとして展開する。ピアッザは全国73自治体、13都道府県、110エリアで提供されている。アプリの機能には、エリアごとのタイムラインによる情報共有、不用品譲渡、地域イベントの告知、防犯・防災・自治体情報の発信などが含まれる。また、地域住民をコミュニティデザイナーとして採用し、リアルな交流を支援する仕組みも整える。デジタルとリアルを組み合わせた地域活性化を事業の核に据えている。
事業内容は、アプリの開発・運営に加え、エリアマネジメント支援、ローカルビジネスサポート、自治体やパートナー企業との協業に広がっている。行政DXや地域共創の流れを受け、不動産会社や鉄道会社、NPOなどとも連携し、産官民協働のプロジェクトを複数推進中だ。近年は不動産デベロッパーと連携し、首都圏エリアでの再開発や共創スペースの企画・運営も手がけている。さらに、生成AIを活用した紙媒体チラシのデジタル化も行っている。
代表取締役CEOの矢野晃平氏は、幼少期をオランダで過ごし、中学時代にアメリカへ渡る。カナダのMcGill大学で土木工学を専攻し、設計科を卒業。帰国後は日興シティグループ証券の投資銀行部門に入社し、その後、ネクソンの経営企画部にてオンライン・コミュニティを基盤とするゲーム事業に従事。2015年5月、テクノロジーを活用した次世代型の街づくりを目指してPIAZZAを設立した。
地域コミュニティ市場は、少子高齢化や多様化するライフスタイルを背景に、従来の自治会・町内会の担い手不足や住民の孤立といった課題が顕在化している。単身世帯率が上昇し続けており、高齢者の一人暮らしや子育て世代の孤独感が社会的課題となっている。2010年代以降、ジモティーやマチマチなどのローカルSNSが登場したが、サービス間の差別化や収益モデル、利用者のアクティブ率維持が業界全体の課題となっている。こうした中、PIAZZAは自治体との連携数を着実に増やしてきたほか、不動産デベロッパーとの協業やAI技術の導入など、新たな方向性にも取り組んでいる。
調達した資金は、地域コミュニティアプリ「ピアッザ」を起点とする持続可能なエリアマネジメント事業を展開する。具体的には、産官民連携によるまちづくりプラットフォームの構築、地域全体の価値を高めるエリアマネジメントの推進、地域事業者と住民をつなぐエリアプロモーションの実施を進める予定である。自治体との連携強化とAIを活用したプロダクト開発を加速し、「まちの今と未来をつなぐ」まちづくりプラットフォームとしてさらなるエリア価値向上に貢献していく方針だ。
エリアマネジメント分野では、従来より人的リソースや財政面の課題が指摘されてきた。多くのエリアマネジメント法人が財源の多角化や担い手の高齢化への対応を課題としている。PIAZZAはデジタルやAI技術の活用により、人手不足や事業継続性の向上を図る意向を示す。競合としては、ジモティーやマチマチ、あるいは自治体独自の地域情報アプリが存在するが、PIAZZAは全国規模での自治体連携や不動産分野との協業実績を強みとしている。
今後は、テクノロジーや生成AIを活用し、地域のアナログ情報のデータ構造化、行政や地方自治体と連携した地域人材の新たな活躍機会の創出・マッチング、地域コミュニティの活性度を可視化する「Community Value」ダッシュボードの開発を取り組む予定だ。
画像はPIAZZAリリースより
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