株式会社Gaudiy

エンターテインメント分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する株式会社Gaudiyは、プレシリーズCラウンドで第三者割当増資による総額100億円の資金調達を実施した。
今回のラウンドでは、ソニーグループとバンダイナムコホールディングスによるエクイティ出資に加え、アニメタイムズ社、コアミックス、講談社、集英社、小学館、ブシロード、アカツキの7社が株式交換で新たに株主として加わった。大手出版社やエンタメ企業が一挙に株主となる資本政策は、Gaudiyの業界内での存在感の高まりを示す。
2018年に設立されたGaudiyは、ブロックチェーン技術を活用したエンタメ領域向けファンプラットフォーム「Gaudiy Fanlink」を運営している。ファンが自発的に意見交換や創作活動、企画などを行う公式コミュニティをIPごとに展開し、ファン同士の交流や二次創作、イベント協賛などを促進するプラットフォームを構築。コミュニティ内での貢献や創作活動は、独自コインやNFTといったデジタル資産として可視化・還元される仕組みになっている。技術面では、分散型ID(DID)やNFTなどWeb3技術を積極的に採用している。
代表取締役CEOの石川裕也氏は、10代から事業開発や起業の経験を積み、19歳でAI企業を創業。2018年にGaudiyを設立し、大手メディアやエンタメ企業と連携してエンタメ業界におけるWeb3技術の導入を進めてきた。AI領域や決済領域の業界アドバイザー経験も持ち、多国籍なプロジェクトマネージャーやエンジニアが在籍する組織を率いて、体制拡大を進めている。
エンタメ業界は、IP二次創作やファンとの双方向コミュニケーション、グローバル対応など、新たな価値の創出や収益多角化を迫られている。大手プラットフォーム事業者への依存度も高い中、ファン活動の価値の可視化やデジタル所有権、収益分配の透明性を実現する仕組みづくりが求められている。今回の複数出版社・エンタメ企業の株主参画は、業界横断的な構造変化の一環とみられる。
調達した資金は、事業規模の拡大や大型M&A、新規事業開発、海外拠点の強化、エンジニア採用、Web3やAI分野の研究開発、産学連携、社会・教育事業の創出などに活用される。今後、グローバル展開の加速を計画しており、日本発のIPビジネスの競争力強化やファンエンゲージメントの新たな形の模索を続けるとしている。ソニーやバンダイナムコホールディングスとの戦略的パートナーシップを基盤に、出版社やエンタメ企業各社とも事業シナジーの拡大を目指す。