株式会社Holoway

株式会社Holowayは、シリーズAラウンドで第三者割当増資による総額5.2億円の資金調達を実施したと発表した。調達はグロービス・キャピタル・パートナーズ(リード)、DBJキャピタル、QBキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、池田泉州キャピタルの5社が引き受けた。
Holowayは2023年4月、大学発スタートアップとして設立された。事業の中核は、デジタルホログラフィ技術を活用した精密測定装置の開発・製造・販売である。この技術は、物体の微細な三次元形状を高精度かつ短時間で計測できることが特徴で、半導体や精密加工部品、宇宙機器など、品質管理が厳しく求められる製造現場での測定課題に対応している。
半導体産業では、製造プロセスの高度化および複雑化が進んでおり、ウェハや各種基板の平坦度や形状の管理が重要視される。とりわけ、三次元集積化技術による高性能半導体の開発が進展する中、生産効率や歩留まりの向上が競争力の鍵となっている。こうした背景から、高度な計測技術へのニーズが急速に高まっている。宇宙産業でも、大面積高精度ミラーや光学素子の測定でホログラフィの活用が検討されている。
代表取締役の佐藤邦弘氏は、兵庫県立大学にてデジタルホログラフィ技術の工業測定への応用に関する研究開発に従事してきた。経営企画・事業開発を担当する取締役CEOの佐藤雅仁氏は、SMBCや産業革新投資機構で法人営業やスタートアップ投資に従事。その経験を活かし、大学発スタートアップの経営課題に自ら取り組むべくHolowayに参画した。
精密測定装置市場の存在感は年々高まっている。矢野経済研究所の調査によれば、国内半導体製造装置市場は2023年度に3兆円を突破し、特に歩留まり向上や品質管理、検査用途で用いられる測定装置は高付加価値領域として位置づけられている。グローバル市場ではKEYENCE、東京エレクトロン、日立ハイテクなどの大手企業が主要なシェアを持つが、先端技術の導入競争が活発化している。
資金調達によって、先端半導体メーカーとの共同開発や、宇宙分野・その他産業への用途展開も加速させる方針だ。同社によると、製品ラインナップの強化や初期人材の採用にも積極的に取り組む計画である。経営管理、事業開発、光学ソリューション開発、データ解析などの分野で人材確保を進める。
公的機関との連携も進展している。直近では宇宙航空研究開発機構(JAXA)との研究契約や、科学技術振興機構(JST)の大学発新産業創出プログラム(START)採択、関西地域の大規模な起業支援プログラムへの参加といった実績を持つ。こうした取り組みにより、神戸市や兵庫県の経済界との連携事例も増加している。
精密測定技術領域では、光学やAI技術を活用した新興企業が台頭しており、競争環境は激しさを増している。Holowayは、独自のデジタルホログラフィ技術によって、測定現場の課題解決や生産効率の向上に貢献することを目指す。今後は、国内外の半導体・宇宙産業の成長にあわせた技術・事業展開が進む見通しである。