ECプラットフォームを提供するSUPER STUDIOが44億円の資金調達、次世代EC構想を実現し、日本のものづくりを支える

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KEPPLE編集部


D2C支援事業やECプラットフォーム「ecforce」を提供する株式会社SUPER STUDIO がシリーズCラウンドにて、第三者割当増資による44億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のシリーズCラウンドでの引受先は、31VENTURES(三井不動産株式会社およびグローバル・ブレイン株式会社)、ALL STAR SAAS FUND(BEENEXT Capital Management Pte. Ltd.)、きらぼしキャピタル株式会社、株式会社ネットプロテクションズ、みずほキャピタル株式会社、三井住友海上キャピタル株式会社、株式会社三菱UFJイノベーション・パートナーズ、SBペイメントサービス株式会社など。

調達した資金は、マーケティングの拡大とエンジニアの採用に充て、次世代EC構想の実現を目指すとしている。

今回の資金調達および次世代EC構想に際して、SUPER STUDIOの取締役COO花岡氏に、詳しく話を伺った。


―― まずは、御社の事業についてお聞かせください。

花岡氏:弊社は「コト、モノにかかわる全ての人々の顧客体験を最大化する」というミッションを掲げ、法人向けのECプラットフォーム「ecforce」をSaaSモデルで提供しています。

実は、当初はメーカーとしてEC業界に参入し、今もD2Cブランドを運営しています。自社ブランドの運営で培ったノウハウをプロダクトへ還元できることが強みであり、同時にシステム提供だけではなく、培ってきたノウハウやナレッジを「ecforce teams」というD2C事業のコンサルティングサービスとして提供しています。

私たち自身がECのプロとして現場を熟知していますので、ECの運営に必要となるカートシステムだけではなく、ビジネスをより大きくしていくために必要なシステムやナレッジも含めて、アプリケーション群やコンサルティングとして提供していく、ECのトータルソリューションの会社となります。

―― 現在はどのような企業がサービスを利用していますか。

現在は、上場企業やスタートアップまで幅広い方々に、ご利用いただいています。

サービス開始当初は、デジタルを主体としてブランドを成長させていくスタートアップのメーカーがメインでした。私たちがメーカーとして参入して、メーカーの細かなオペレーションを理解していたこともあり、実はほとんど ecforce のマーケティングは行っておらず、口コミで伸びてきました。

そこから、前回の資金調達を経て、タクシー広告やテレビCMを打ったことで一気に認知が広がり、より名前の通ったブランドを運営する会社から問い合わせいただくことが増えました。彼らがEC化する上での課題を解決すべく、ご支援させていただいています。

22年6月時点の実績で、ショップ数が約700件となり、前年対比180%前後で伸びています。ショップ数は拡大フェーズに入っており、営業やマーケティングの組織も強化しながら、次の1年も今と変わらない成長率でショップ数を増やすことが目標です。

――  ecforce を始めようと思ったきっかけを教えてください。

実は、当初からECの課題を解決するために集まったわけではありませんでした。今も会社として大事にしている文化なのですが、何をするかより誰とやるか、から会社をスタートしています。

最初は、DIYの動画メディアから始めましたが、見事に大ゴケしました。
ただ、その裏側で他社と協業で、EC事業に携わるようになったのが今の事業に至ったきっかけでした。システムを中心に手伝わせてもらいましたが、何もない状態からのスタートだったのでマーケティング、倉庫、コールセンターのオペレーションをシステム要件に落とし込む必要があり、結局、全てに関わることになりました。

ここで自分たちの自社ツールとして作ったシステムを、他のメーカーの方々が使いたいと言ってくださり、サービスとして提供することを決断したのがecforce です。
自社でD2Cブランドを運営しながら、ECシステムをSaaSで提供している背景もここから始まっています。

―― 今回の資金調達を実施した背景を教えてください。

先ほど申し上げたとおり、サービス開始後は口コミを中心に広がっていましたので、前回の資金調達では、一般的な王道のマーケティングを実施することにより、どの程度、事業上のリターンが獲得できるのかを数値化することが目的でした。
タクシー広告やテレビ広告などを出してみて、前述の成長率に結びつきながら、ユニットエコノミクス、いわゆる収益性の観点においても健全な状態を実現することができました。

そのため、今回の資金調達でマーケティング施策を拡大しながら、次世代EC構想の実現を目指して、システム開発や人材投資に資金を割いていきます。

―― 合わせて発表した、三井不動産との協業について、どのような背景があるのでしょうか。

SUPER STUDIO が掲げている、次世代EC構想の実現に向けて、三井不動産の力を借りることで、さらに加速することができるイメージが沸いたからです。

次世代EC構想では、マーケティングからサプライチェーンまで、ブランド運営における全ての工程でデータを活用した最適なPDCA運用の実現を目指しています。

現在、自社ECサイトを構築できる ecforce を展開していますが、メーカーは自社サイトで購買を促すために、Instagram や LINE などのメディアにデジタル広告を配信しています。これらのメディアは、現在は広告モデルで収益をあげていますが、今後はカート領域、すなわちメディア上で購入ができるようになってきます。既にそのような事例も出てきており、この流れは今後もさらに広がっていくと思います。

ただ、この流れが進行すると、顧客の注文データが様々な媒体に散らばることになります。メーカーとしては、これらの散らばってしまったデータを統合管理して、活用していくことが重要になるので、ecforce では注文データを統合管理できるようにしていきます。

ここまでオンラインに限ったお話をしましたが、店舗などのオフラインも全く同じであると考えており、オンラインとオフラインのデータを統合管理することはどの会社もなかなか上手くいっていません。
特にオフライン主体の会社の場合、上手くいかないことが多く、SUPER STUDIO が関与することで、全てのデータの統合管理を実現することができると思っているので、オフラインでの販売についてもサポートの対象とすることを構想しています。

サービス紹介資料
そのような中で、多くのテナントを持つ三井不動産の力をお借りしたいと思いました。
実際に、ゴールデンウィークには、MIYASHITA PARKでポップアップストアを開催し、OMO(Online Merges with Offline)の実証実験を行いました。そこでは、店頭で購入する際にPOSを使わずに、スマートフォンで ecforce のQRコードを読み取ることで購入を実現。入店者の人流や目線をデータとして収集・分析した他、商品が比較的大きな箱に入ったものだったのでお出かけの邪魔にならないようにと、その場で受け取るか自宅配送か選択することができるようにしました。
この取り組みがとても好評で、三井不動産との協業で素晴らしい顧客体験を作り出せると思っています。

オフラインで出店すると、店舗の売り上げで出店価値を図る傾向にありますが、実は他にもさまざまな意味があると思っています。有名なテナントに店舗を構えることで広告効果に繋がるなど、店舗を構える意味を再定義していくような取り組みを一緒に行っていきたいと考えています。
また、三井不動産は多くの物流倉庫も持っているので、物流ソリューションを一緒に開発していくことも視野に入れています。

―― 今後の長期的な展望を教えてください

次世代EC構想の実現に向けて取り組んでいきます。
お気づきかもしれませんが、次世代EC構想のひとつ一つの要素は、今世の中にあるサービスを組み合わせることで実現することは可能です。しかしながら、ITに関わる専門知識やエンジニアリングがない中で、サービスを接続しようとしても、データ連携が部分最適になってしまい、実際にみたいデータが見れなかったり、リアルタイム性のなさからマーケティング施策の制約を受けてしまったり、思うようにいかないことが多々あります。

ecforceはワンプロダクトだからこそできるシームレスなデータ連携によりマーケティングからバックヤードオペレーションまで全体最適な運用を運営側が意識しなくても実現できる状態を作っていきたいと思っています。

その上で、さらにその先としては、私たち自身でECをやっており、直面する課題やそれに対する解決策などのナレッジを持っているので、複雑なデータ分析をしなくても、ecforce の中でユーザーに課題を知らせ、さらに解決のための施策をレコメンドするような世界観を作っていきたいと思っています。

株式会社SUPER STUDIO

株式会社SUPER STUDIOは、ビジネスのEC化を支援するECプラットフォーム『EC Force』を開発・運営する企業。 『EC Force』は、顧客の購買データのほかに顧客の個性を表すパーソナライズデータを顧客と紐付け一元管理することができる「パーソナライズ対応」や、顧客との最初の接点から購入途中、購入後など顧客のウェブ上の行動にあわせてアップセル・クロスセルのオファーが行える「アクションオファー機能」、「離脱防止ポップアップ」、「1クリック決済の確認画面スキップ」などの機能を備える。 そのほか同社では、企業のマーケティングやサプライチェーンなど、D2C事業の成長を支援するコンサルティング&オペレーティングサービス『ecforce teams』を提供する。

代表者名林紘祐
設立日2014年12月24日
住所東京都目黒区下目黒2丁目23番18号目黒山手通ビル8階
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