ACROVEが描くEC運営の未来図、データとM&Aでブランドに新たな価値を

ACROVEが描くEC運営の未来図、データとM&Aでブランドに新たな価値を

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KEPPLE編集部

独自の分析ツールを活用したEC売上の最大化支援、およびM&Aを通じたブランド育成を行う株式会社ACROVEがシリーズBラウンドにて、第三者割当増資による約5億円、金融機関からの融資による約6億円、総額約11.4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、日本郵政キャピタル、静岡キャピタル、大日本印刷、SMBCベンチャーキャピタル、広島ベンチャーキャピタル、りそなキャピタル、ベクトル。融資における借入先は、静岡銀行、あおぞら企業投資、大和ブルーフィナンシャル、東日本銀行。

今回の資金調達によりプロダクト開発の強化に加え、国内を中心としたブランドのM&Aを加速する。

EC事業者と伴走してブランド成長を促進

同社が提供するACROVE FORCEは、EC運用に関する各種指標データを分析し、改善につなげるためのBIツールだ。ECに関する市場データも分析に活用できる点に特徴がある。

ツールの提供だけではなく、知見の深いエキスパートがブランドの戦略立案や集客、運用、アフターサポートなど、あらゆる面でEC運営を支援するECプラットフォーム事業として、2020年より事業展開を行う。

2023年9月時点で、食品や化粧品分野を中心に幅広い約160の事業者のEC運営をサポートしている。

また、同社は2022年6月より、ECロールアップ事業を開始した。M&Aを通じてECブランドを譲り受け、自社のノウハウを投入し価値を向上することで、後継者不在や人手不足により事業継続に課題を抱える事業者を支援する。事業開始から約1年で7件のM&Aを実施した。

ECロールアップ事業
今回の資金調達に際して、代表取締役(CEO) 荒井 俊亮氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

データやノウハウを軸にECの売上を最大化

―― ACROVE FORCE開発のきっかけについて教えてください。

荒井氏:学生時代からプロテインの販売を行う中で、起業してECサイトでの販売も開始し、年間約5000万円の売上を達成することができました。こうした最中、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、事業の枠を超えて社会に貢献したいという思いが芽生えたことは大きなきっかけです。

実際にコロナ禍のタイミングでは、EC運営に関する相談を多く受けました。私はこれまで訪問販売やECのほか、Webメディアの運営も経験しています。事業立ち上げの能力を社会のために活用できるのであればと、ECプラットフォームにおける成長を支援するサービスとして、ACROVE FORCEの開発に着手しました。

スタートアップスカウト

―― ロールアップ事業を始めたきっかけについて教えてください。

2020年に新型コロナウイルスの拡大が始まって以来、海外では、アメリカのThrasio社やインドのGlobalBees社など、EC事業者のブランドを事業譲受し、資金とノウハウを注入することで成長させるEC事業のロールアップビジネスが急速に成長していました。

日本においてはこうしたプレイヤーは多くないと同時に、事業承継のニーズも高いと感じ、ECロールアップ事業の展開を決めました。2023年7月までに7件のM&Aを実施しています。

―― EC事業者や事業承継についての課題にはどのようなものがありますか?

新型コロナウイルスの流行後、EC事業を立ち上げるメーカーが増えました。一方で、EC運営に関するノウハウや知見を持つ企業は多くありません。誰を立ち上げにアサインすべきかわからず、とりあえず営業部長をEC担当に抜擢してしまうようなケースもあります。

根拠やデータもないままECを始めることで、事業計画や予算の策定もできず、結果的に事業の縮小や閉鎖に追い込まれてしまう事業者も少なからず存在します。

最近では、EC事業への参入が急増し市場は拡大している中、1店舗あたりの売上は減少傾向にあります。こうした背景から、戦略的な運用を支援するサービスの需要が増加しています。

また、事業承継のニーズも高まっています。高齢化などによる後継者不足のほか、年齢に関係なく、事業が軌道に乗り別の事業へリソースを割くためなど、理由はさまざまです。

実際に承継先が見つかる企業はわずか数%と言われています。地方の事業者が事業承継できずに廃業に至ると、地域経済の衰退にもつながります。M&Aにより売上が伸びて利益が増えることで、社員の賃金増加にもつながり、地域経済も発展するなど良い循環が作れると思います。

―― ACROVEならではの強みや特徴について教えてください。

プラットフォーム事業とロールアップ事業の2軸を同時展開することにより、独自のBIツールACROVE FORCEに蓄積されるECモールに関するデータ量の多さは大きな特徴です。

ブランドの立ち上げから運用まで実施するECロールアップ事業で成功した取り組みをACROVE FORCEに蓄積することで、データと実績に基づいた質の高いサポートによる新たな価値創出につなげています。

さらに、プラットフォーム事業で創出したキャッシュをM&Aの資金とするなど、互いの事業にポジティブな影響を与えるサイクルが生まれています。

相互に連携する事業展開
また、ロールアップ事業を行っていることにより、当社メンバーはECプラットフォーム事業における売上最大化に向けた販売サポートのほか、子会社の社長や自社ブランドの構築など、他では経験できないポジションも経験することができます。キャリアの幅が広いことで従業員も定着しやすく、今後のさらなる組織拡大に向けても大きな強みだと考えています。

次世代を代表する企業へ

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

ACROVE FORCEの品質向上や機能拡充、ブランドの成長を促進するための体制構築に向けた投資に加え、ECロールアップにかかるM&Aの資金とすることが調達の大きな目的です。事業承継型のM&Aに積極的に取り組んでいきながら、今後はLBOによる買収も検討しています。また、事業領域の拡大に向けたアライアンスも強化し、地方活性化に貢献していきます。

人材採用も強化する予定です。子会社を成長させる経営人材を獲得しながら、2023年内には180名規模の組織を目指しています。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

当社がサポートをする事業者様からは、よりEC運営を全般的に支援できるサポート拡充の期待を寄せていただいています。今後はLINEの活用や、CRM、経営管理などサービス拡充に加え、株主である日本郵政とも連携し、物流に関連したサービスの展開にも焦点を当てて検討しています。

直近では、名古屋支店と東北支店を新たに展開したので、まずは国内展開を着実に進めていきます。国内の主要都市を中心にネットワークを強化し、市場を拡大すると同時に、東南アジアを中心にアジア地域への展開も積極的に進めていく予定です。今期の売上で約50億円達成見込みです。早い段階で100億円以上の売上を作ることを目標としています。

今後、日本で少子高齢化が進む中で、進化するテクノロジーを有効活用することが非常に重要です。当社自身が次の世代を代表するような企業となり、持続的な展望を持って、日本経済の発展に貢献していきたいと思います。

株式会社ACROVE

株式会社ACROVEは、EC事業のコンサルティングをおこなう企業。 同社は、自社開発のEC最適化エンジン『ACROVE FORCE』を利用し、複数のECサイトで商品を販売する企業向けに、サイトごとの売上分析や販売方法の改善などをおこなう。 また同社は、自社でもEC事業を運営するほか、Amazon・楽天・Yahooで商品を販売するEC事業の事業承継もおこなっている。

代表者名荒井俊亮
設立日2018年11月15日
住所東京都千代田区麹町6丁目6番地2号
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