勘に頼る営業からの脱却、不動産ビッグデータを活用して顧客開拓を支援

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KEPPLE編集部


不動産ビックデータサービスを提供するTRUSTART株式会社が、第三者割当増資による4.5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、HIRAC FUND、三菱UFJキャピタル、mint、日本ベンチャーキャピタル、 GMO VenturePartners 、アイザワ・インベストメンツ、ウエルインベストメントの7社。

今回の資金調達により、プロダクトの開発とマーケティング活動を強化する。

不動産ビッグデータの提供で顧客開拓を支援

同社は、不動産・金融業界を中心とした幅広い業界に向けて、日本全国の不動産ビッグデータを提供する「R.E.DATA」を運営している。

また今回の資金調達と同時に、顧客の要望に合わせたデータの提供に限らず、顧客が自分自身で必要なデータを閲覧・分析するためのSaaSプロダクト「R.E.DATA Plus」の提供開始を発表した。

サービスイメージ
不動産登記情報を中心としたビッグデータをデータベースとして提供することで、効果的な新規見込み客へのアプローチなど、顧客の営業やマーケティング活動を広く支援する。役所で取り寄せなければいけない書類や現地情報など、インターネット上では確認できない情報の調査も請け負っていることが特徴だ。

今回の資金調達に際して、代表取締役 ​大江 洋治郎氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

データベースを活用した業務プロセスの一般化

―― 御社はどのような課題解決に取り組んでいるのでしょうか?

大江氏:当社の主な顧客が属する金融や不動産業界では、未だに紙やPDFが主な情報共有手段であり、アナログな慣習が多く残っています。本来は、不動産の権利移動や不動産売買に関する情報などをもとに適切な顧客へ営業をするべきですが、インターネットで情報検索をする土台がないことも多いです。

大手の企業を中心にDXの取り組みも進んでいますが、現場レベルではデータを活用した業務改善はあまり進んでいません。不動産の物件を扱う際には、実際に現地に足を運んだり、役所を訪れて情報を得ることが求められます。

経験や勘に頼って仕事をしてきた人々が多い業界でもあり、結果的に情報がないまま、テレアポやポスティングなどの伝統的な手法で顧客獲得を行っていることがあります。現場でもデータベースを活用し、課題を抱える顧客へピンポイントにアプローチするようなソリューションが求められています。

―― 御社のサービスの特徴について教えてください。

登記簿謄本や不動産権利の移動情報、売却した価格の情報など、インターネット上にないさまざまな情報を組み合わせてデータ検索をすることができます。従量制でリーズナブルな料金体系のため、費用を抑えて利用できる点も特徴です。

サービスイメージ
さらに、データの提供だけではなく、企画やデータ分析から集客支援まで、顧客のマーケティングを一気通貫でサポートしています。必要に応じて実際に足を使って物件調査を行いながら、バリューチェーン全体をサポートしているのは他社にはない特徴だと思います。

スタートアップスカウト

―― どのようなきっかけからTRUSTARTを創業されたのでしょうか?

以前は、三菱UFJ信託銀行でリテール・法人営業として勤務していました。遺言書作成や不動産売買などの相続対策のサポートに加え、オフィスの移転や物流網の再構築に関連する提案も行い、不動産の関連部隊と連携して仕事をすることが多々ありました。

そうした経験の中で、物件の調査で遠方に出向くことも多く、アナログな作業に時間を費やしている状況を目にしたんです。不動産業界では当たり前になっているため、業界内で疑問を抱く人はあまりいません。不動産業界を外から俯瞰しながら、テクノロジーと組み合わせて業界を効率化したいという思いから、まずは社内の新規事業として取り組みを始めました。

これまでの経験を活かし、私自身が利用したいと思うようなプロダクトを開発していたため、プロダクトについては当初から好反応をいただくことも多かったです。また、三菱UFJ信託銀行の社内起業としての立場も影響し、顧客からの信頼も獲得しやすかったと思います。順調に事業拡大をしていましたが、スタートアップとしてスピード感をもって市場にプロダクトを出していくために、スピンアウトしています。

データビジネスで業界の変革を目指す

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

これまで3年ほど事業を展開してきた結果、お客様からの要望やニーズが高まってきています。外部からの資金を活用し、さらなる事業拡大を加速させていく目的で資金調達を行いました。

具体的には、人材採用を通じたプロダクト開発、マーケティングの強化に充当します。2024年中には、現在12名の組織を25名ほどに拡大していく予定です。

また、現在は毎月約300件のお問い合わせがありますが、不動産情報の検索ができるサービスがあることを知らない方も多いです。ウェブサイトや展示会などを活用し、私たちのプロダクトを広く認知してもらうためのマーケティング活動を強化していきます。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

まずは、プロダクトの提供価値を拡充させることに注力します。具体的には、日本全国の不動産の登記情報や価格情報など、未だデータ化されていない情報をさらに取り入れたいと考えています。加えて顧客管理や商談管理など、事業者向けの機能を追加し、より充実したプロダクトの提供を目指しています。

当社は、不動産に関連した膨大なデータを保有しています。例えば、全国で起きている不動産相続に関するデータが常に集まっています。今後はこうしたビッグデータを活用することで、不動産の相続人の課題をヒアリングし、当社が持つデータをもとに最適な専門家をご紹介するようなサービスを検討しています。

将来的には、まだ不動産テックが未整備な市場にも注目し、アジアを中心とした海外にもビジネスを拡大していく予定です。古くから存在する産業をDX化し、スピード感を持って仕事を進めたいという方々と一緒に、業界を変革していきたいと思います。

TRUSTART株式会社

TRUSTART株式会社は、不動産調査サービス『R.E.SEARCH』を運営する企業。 『R.E.SEARCH』は、不動産会社、金融機関、個人投資家へ向けた不動産調査サービス。 そのほか同社では、不動産登記データの提供や、マーケティング施策の実行支援・データ分析などの活用方法を提案する『R.E.DATA』や、不動産の仕入れや仲介、リフォームなどの不動産に関するビッグデータのサブスクリプションサービス『R.E. DATA定期便』、建物のビッグデータを組み合わせて不動産オーナーデータを提供する『R.E. DATA 建物』などの運営も行う。

代表者名大江洋治郎
設立日2020年5月28日
住所東京都港区南青山1丁目1番1号新青山ビル西館7階
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