11億円超調達のメディフォン株式会社が目指す、新しい社会のための医療インフラ

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KEPPLE編集部

医療通訳サービスや法人向け健康管理システムを運営するメディフォン株式会社が第三者割当増資と借入による11億円超の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社・株式会社ファストトラックイニシアティブ、ソニーベンチャーズ株式会社、株式会社ケップルキャピタルの4社。これらに加えて、複数の大手金融機関から借入も実行している。

調達した資金は、開発や営業体制の強化に充てるとし、2021年10月の正式リリースから、急成長をみせるクラウド健康管理システム「mediment」のさらなる成長を目指すとしている。

今回の資金調達に際して、メディフォンの代表取締役CEO 澤田真弓氏に、詳しく話を伺った。

―― まずは、メディフォンの事業についてお聞かせください。

澤田氏:当社は、新しい社会のための医療インフラを構築することをミッションに掲げ、医療に特化した遠隔通訳サービス「mediPhone(メディフォン)」と、法人向けクラウド健康管理システム「mediment(メディメント)」を開発・運営しています。

mediPhone は、アプリや電話回線で遠隔の医療通訳者にいつでも繋がる通訳サービスです。機械翻訳やビデオ通話などの多機能かつ医療に特化していることが特長で、ウクライナ語を含む31言語の医療通訳者にいつでも繋ぐことができるようになっており、24時間体制でサービスを提供しています。
損害賠償保険に加入しており、通訳の質にしっかり責任を取れる体制を敷いていることが医療現場で高く評価されて、日本医師会をはじめとする、全国の医療機関、大学病院、グループ病院などにご利用いただいております。また、調剤薬局グループでの導入も進んでおり、コロナ禍からは自治体・大学等の教育機関・一般企業にも広がっています。

サービス紹介資料

mediment は、社員の健康診断やストレスチェックに関連する業務を効率化するサービスで、2021年10月から正式に提供を開始しました。効率的な健康管理により従業員のパフォーマンス向上を図るとともに、予防医療データを治療現場に提供することで医療提供を効率化し、治療の成果を高めることを目指しています。

―― メディフォンを始めようと思ったきっかけを教えてください。

当社の成り立ちは、2014年に一般社団法人ジェイ・アイ・ジー・エイチ(以下、JIGH)というNPOの一事業として、医療機関向けの電話医療通訳サービス、mediPhone を開始したことに、端を発しています。
JIGHは、弊社取締役会長である渋谷健司先生がポリオ撲滅のためにビルゲイツ財団から支援を受けて立ち上げました。当初はボランティアとして手伝っていましたが、渋谷先生からJIGHの経営をやってみないかと誘っていただいたのが本格的に活動し始めたきっかけです。

新しく医療分野で事業を立ち上げるべく色々な課題を模索していた時、医師から、「ヒンディー語の患者さんが来たが言語的問題で問診ができずに困っており、同様の患者さんが増えている」という話を聞きました。ある地域では自治体やNPOが医療通訳者をボランティアとして派遣する形で言語サポートをしているケースもありましたが、全くサポート得られていない医療機関が多く、その数が増えている現状を知りました。

それと同時に、ボランティアとして派遣される通訳者は交通費すらも自分で持ち出すケースが多く、別の仕事で生計を立てながら勉強をして医療通訳を続けており、命に関わるような、非常に責任の重い仕事でありながら報酬が得られない状況があることを知りました。

そこで、オンラインや電話1本で全国のニーズに対応できるような仕組みを作ろうと思い、事業を始めました。その後、もっと成長し社会に貢献できるよう、2018年からメディフォン株式会社として再スタートを切りました。

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―― 新サービス「mediment」立ち上げの経緯を教えてください。

これまで私たちは、医療現場に浸透するために、保険が適用される診断と治療の場、すなわち病院やクリニックなどの医療機関にサービスを広げていましたが、コロナ禍に入り、私たちの環境に変化が生まれました。

具体的には、企業や大学から産業医面談やPCR検査で医療通訳をお願いできないか、と問い合わせがあり、これまでの保険診療の現場の、もっと手前の予防治療の段階から要請を受けるようになりました。

私達は医療で、領域を区分せずに一貫して、多言語という切り口で支援しようと決めていましたので、予防医療の現場から要請が出てきたらできる限り対応したいと考え、通訳の提供を開始しました。

実際に現場でサービスの提供を開始すると、健診結果が紙で管理されたり、産業医の先生とWordファイルにパスワードをかけ、メール添付でやりとりしたりなど、デジタル化が進んでおらず、手間のかかる運用がなされていることがわかりました。
私たちは、mediPhone に業務効率化を行う機能なども搭載していっているので、それと同じ発想で、予防医療の領域でも医療通訳だけでなく、現場の効率化を図って、より多様な患者さんへ本質的な時間が割けるようにということで、mediment を立ち上げました。



―― 今回の資金調達の背景および調達した資金の使途について、教えてください。

mediment 事業をさらに急成長させるべく、資金調達を実施しました。mediment は2021年10月の本格サービス開始後、想定以上のスピードで伸びている状況です。

mediPhone は既に黒字事業ではあり、これまではそちらで生み出すキャッシュをmedimentに投下してきたのですが、 事業のマーケットの白地も大きいので、資金調達をしてさらにスピードをあげていこうと決めました。具体的には開発体制を中心に、営業やCSについても引き続き強化する方針です。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

今後は、医療の臨床現場と予防医療の架け橋になることを目指しています。当社には、これまで医療現場に浸透・周知してきた成果として、様々な連携ができるという強みがあります。

現在、オンライン診療の予約や産業医にスポットで相談依頼をできる機能を作り、体制を敷いていますが、その際に臨床現場で活躍されている先生に予防医療データを連携できています。臨床現場に予防医療データを連携することで、円滑に質の高い医療提供を実現できると考えており、双方に良い影響を与えて、治療の成果を高めていけるようなプロダクトにしたいと考えています。

メディフォン株式会社

メディフォン株式会社は、医療通訳事業、医療者向け研修事業、医療費未払い発生防止プログラムの提供を行っている企業。 大学病院や大病院、中小規模医療機関など全国のさまざまな規模の医療機関において医療従事者の負担軽減のための支援を行っている。「医療通訳」では外国人患者の急な来院時に即座に使える電話医療通訳およびビデオ医療通訳サービスを、「教育・資格認定」では医療機関の外国人患者受入れ体制整備を推進する人材の育成を行っている。 「医療における言語障壁を解消する」ことをミッションに掲げている。

代表者名澤田真弓
設立日2017年8月1日
住所東京都港区赤坂6丁目14番2号赤坂倉橋ビル3階
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