越境ファッションEC「60%」、アジアブランドとの出会いを生み出す

越境ファッションEC「60%」、アジアブランドとの出会いを生み出す

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KEPPLE編集部


アジアブランド特化の越境ファッションECサイト「60%」を運営する株式会社シックスティーパーセントが、第三者割当増資と金融機関からのデットファイナンスによる合計4.6億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、KURONEKO Innovation Fund、三菱UFJキャピタル、PE&HR、HAKOBUNE、フロンティアインターナショナル、その他個人投資家。

今回の資金調達により英語版ECサイトをリリースし、グローバル展開を加速する。

アジアブランドが集まる越境ファッションEC

60%は、アジア10ヶ国から約1400のブランドが出店する越境ファッションECだ。

サービスを「オンラインセレクトストア」と位置づけ、韓国ブランドを中心にインドネシア、台湾、タイなど、アジア10ヶ国以上の国のブランドを取り扱う。

主要数値
ブランドが海外へ商品をEC販売するには、多言語対応や決済手段の拡充、物流にカスタマーサポートなど難易度が高い。60%ではこれらの要素を全て自社で管理する仕組みを構築している。

2021年の資金調達に続き今回もリード投資家となったKURONEKO Innovation Fundからの出資も、ヤマトホールディングスとの越境ECにおける物流への取り組み強化を示唆したものだ

現在は日本のユーザーによる購入が多いが、これまでに約50ヶ国からの注文実績がある。2024年2月にはグローバル版の60%をリリースし、海外ユーザー向けの展開も本格化する見込みだ。

同社は他にも、アジアのファッションデザイナーへのインタビューを掲載するグローバルメディア「asianvoice」を運営しており、「アジアのストリートシーン」をコンセプトに、ファッションに限らず音楽やアート、エンタメなどの広いテーマで発信している。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 真部 大河氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

ファッション消費を支えるアジア圏

―― 現在、アジアのファッションブランドは世界的に注目されているのでしょうか?

真部氏:ファッションと聞くと、ヨーロッパやアメリカを思い浮かべると思います。一方でアジアは、「生産国」っぽいイメージがまだ強く、ヨーロッパのような「最先端のファッションの地」みたいな印象を持つ人は少ないと思います。

でも、そのギャップは徐々に埋まりつつあります。そもそもファッション市場は、アジア人の消費に支えられています。日本の市場規模は成熟していますが、世界全体で見ると成長していて、それを牽引しているのがアジア。東南アジアの所得水準上昇もあり、ファッションをはじめエンタメなど趣向品の消費が伸びている。ラグジュアリーブランドもアジアでの出店を増やしてますよね。

そしてファッションを楽しむ人が増えれば、同時にローカルのブランドも増える。世界三大ファッションスクールでもアジア人の生徒割合も増えているみたいなので、そういった人たちが母国でブランドを立ち上げるような動きも活発化しています。そうした形で東南アジアや中国のブランドが発展を遂げる中、頭一つ抜けたのが韓国です。

K-POPがグローバルで流行になり、アーティストが着ている洋服に注目が集まることでまず韓国ブランドに注目が集まりました。ただ、今はすでに「K-FASHION」自体が1つのジャンルとして市民権を得ている。K-POPのスター達のインフルエンス力だけでなく、デザインやクリエイティビティを、グローバル水準のレベルまでファッションに携わる人たちが切磋琢磨してきた結果だと思います。

スタートアップスカウト

ファッション好きの2人が共同で創業

―― 創業のきっかけを教えてください。

シックスティーパーセントは、副社長の松岡と共同で創業しました。会社設立の大きなきっかけは、松岡が60%の事業構想を私に話してくれたことです。

彼女はもともと、マレーシア発ストリートブランドの日本支社立ち上げに携わっていました。その際にアジアファッションの盛り上がりやポテンシャルを感じたのが、60%の構想の初期衝動だったのかなと思っています。

私自身もファッション系の事業を行っていました。当時から松岡とはよく連絡を取っており、情報交換をする中でその話を受け、一緒にやろうと2018年に設立しました。

―― 真部さんは学生時代からファッション関連の事業に携わっていたと聞きました。

私の実家は洋服屋なんです。幼少期から洋服に囲まれ、自然とファッションが好きになりました。

そのようなバックグラウンドもあり、20歳から個人事業主として、海外の古着の買い付けや販売をしていました。21歳で自分の会社を設立し、ファッション系のメディアを立ち上げたりずっとファッションに関わる事業を行っていました。

過去を振り返ると、ファッション関連の仕事をすると決意したタイミングがあるわけではなく、自然とファッションに携わり続けているように思います。

―― 60%には、サービス開始からの5年で約1400ものブランドが出店しています。

創業から感じていたのは、アジアファッションに関するマーケットのポテンシャルと、事業としての社会的なインパクトの大きさです。アジアから新しいファッションシーンを作るために、お互いが空いた時間だけではなくて本気でコミットして取り組みだしたのが創業から約1年経った2019年の9月ごろです。

今でこそ多くのブランドが出店していますが、リリース当初は松岡の知り合いのブランドを中心に、12,3程度のブランド出店から始まりました。

大きかったのが、2020年ごろから韓国のファッションが一気に伸びだしたことです。それまでアジアのブランドを幅広く集めていましたが、韓国ブランドの需要が高くなったんです。そこから韓国ブランドの取り扱いを増やしていったことが大きなブレークスルーにつながりました。

アジアファッションのエコシステムに

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

これまでは主に日本のユーザー向けに提供していた60%の海外版立ち上げを今年2月に予定しています。そこに向けたプロモーションや採用を目的として資金調達を行いました。4.6億円のうち半分程度がデットファイナンスによる調達です。

グローバル展開を機に、サービスのリブランディングも実施しています。アジアのインディーズブランドが多く集まるプラットフォームになっているのが60%の特徴です。60%を訪れることで新たなアジアファッションやカルチャーに触れ、たくさんの選択肢から好みのブランドを見つける楽しさや喜びをユーザーに提供したいと思っています。



―― 今後の長期的な展望を教えてください。

韓国ファッションが劇的に伸びたように、今後はアジアの他の国々でも同じことが起きるというのが我々の考えです。これからは、日本や中華圏、東南アジアのブランドも増やし、3年以内に3000ブランドの出店が目標です。

「60%」は、一般的にメジャーなブランドはあまり扱っていません。ニッチだけど熱量の高いファンに支えられ、しっかりとしたプロダクトを作っている「インディーズブランド」が中心。そのため、GMV(取扱高)も特定のブランドに依存しておらずロングテールな収益構造を作れているのが強みです。この強みはこれからも磨いていきます。

当社は「アジアのファッションを世界のメインストリームに」を中長期的なミッションとして掲げています。その実現のためには、越境ECプラットフォームはあくまで手段の1つにすぎません。今後は、「60%」のソリューションやアセットを活用しながら、ブランド自体の成長や進化をサポートできるプロダクトも計画しております。

日本ではファッション産業は成熟してきていて、ファッションECの世界でも歴史の長い主要プレイヤーが複数います。一方で、時代と共に変遷していくのがファッションです。60%のユーザー年齢層はかなり若く、その上客単価も高い。若者を巻き込み、グローバルで大きなうねりを作れば、まだまだゲームチェンジの可能性はあります。

これからは、今のヨーロッパやアメリカを中心としたファッションのエコシステムに対して、アジアがそのオルタナティブになっていくと信じてます。そのためにもまずは、アジアのブランドを世界に届ける役割を果たし、事業を通してアジアのファッション自体の存在感を押し上げることにコミットしていきます。


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