サステナブルな生産支援のSynflux、目指すはアパレル製造の包括的なデジタル化

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KEPPLE編集部


衣服生産時の素材廃棄を減らすデザインシステム「Algorithmic Couture(アルゴリズミック・クチュール)」の開発・事業化を行うSynflux株式会社が、第三者割当増資による資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、MTG Ventures、GOLDWIN PLAY EARHT FUND、mint、ココナラスキルパートナーズの4社。今回の調達額は、これに既存株主のギフティ・鈴木達哉氏個人の追加投資を加えた1.7億円で、累計調達総額は2.1億円となった。

今回の資金調達により、ファッション・アパレル企業などとの連携強化と、グローバル展開を目指す。

素材の廃棄量を限りなく削減するデザインシステム

Synfluxは、ファッションデザインのためのソフトウェア開発で、サステナブルな衣服の設計・製造を支援している。主要プロダクトであるAlgorithmic Coutureは、ファッションロス・ゼロのためのデザインシステムだ。

ファッション産業には、洋服の製作過程で使用する布の15〜30%が廃棄されているという課題がある。現在まで約200年にわたって、この製作方法は変化していない。同社は、布の廃棄を限りなく削減するために、最適化アルゴリズムやソフトウェアの導入を提案する。

サービス資料画像
具体的には、洋服の設計図である型紙を自動生成できるソフトを利用することによって、布の廃棄量が従来の3分の1に、使用する布の量は最大15%減になるとする。廃棄の削減のみならず、使用量が減ることで原価への反映も可能だ。

同社は2022年11月に、スポーツメーカーのゴールドウインと共に、新たな生産システムを探求するプロジェクトをスタート。極小化した資源量で衣服を製造するプロジェクト「SYN-GRID」による新製品を、THE NORTH FACEとNEUTRALWORKS.の2ブランドで販売している。


今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 川崎 和也氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

環境配慮が急務のファッション産業の矛盾に挑む

―― これまで、ファッション業界にはどのような課題がありましたか?

川崎氏:変化の早さと遅れの両側面を持つ面白さ、そして矛盾を抱えています。

変化の早さを表す一例が、サステナビリティへの取り組みです。2019年のG7で、フランスのマクロン大統領が旗振り役となり、32社の企業がファッション協定(※)を結びました。さまざまなブランドが持続可能な活動に取り組む姿勢を見せたことで、企業同士でアライアンスを組み、ビジネスとしてサステナビリティに向き合おうとするマインドが広がってきています。

※ファッション協定(FASHION PACT):2019年8月、フランスで開催されたG7サミットで欧米を中心とするファッションおよびテキスタイル企業32社が、気候変動、生物多様性、海洋保護の3分野で共通の具体的な目標に向かって取り組むことを誓約したもの。以降も加盟ブランドは増加している。(参考:https://www.wwdjapan.com/sustainability_tag/fashion-pact

その一方で、製造やデザインの部分には遅れが目立ちます。型紙による製作方法は200年ほど変わっていません。職人の手作業が重要視されることで、ハイクオリティな洋服を製造できるメリットはもちろんあります。ただ、近年注目されている環境配慮の点では、まだ改善の余地がある。当社は、そこにデジタルでアプローチしようと考えています。

―― 創業のきっかけを教えてください。

当社は慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の学生が中心となって立ち上げたスタートアップです。SFCでは3Dプリンターに代表されるデジタル工作機械を使って、ものづくりを研究していました。

当時、ファッション業界の方々と話す機会があり、他のものづくりにはない論理的な思考を超えた美しさ、発想が重要視されているところにとても惹かれました。その一方で、産業が抱える深刻な環境問題や、デジタル化の遅れといった負の側面も知りました。

デジタルなものづくりやプログラミング、アルゴリズムの開発などが、環境問題を創造的に解決する一つの手段になるのではないだろうか。そう考えて、所属研究室の後輩である佐野虎太郎とSynfluxを共同創業しました。

―― Algorithmic Coutureの開発に至った経緯を教えてください。

開発の成果であるプロトタイプを積極的に国内外のコンペなどで発表し、非営利財団H&M Foundationが主催する第4回Global Change Awardでは、日本企業として初めて「アーリー・バード特別賞」を受賞しました。

2021年にAlgorithmic Coutureとして正式にリリースしました。より多くのメーカーやブランドに提供することで、サステナビリティに取り組むインパクトを最大化したいと考えています。

アパレルの包括的なデジタル化から次のスケールを目指す

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

ブランドとの連携強化と、グローバル展開を狙います。今後、国内のメーカーによる幅広い応用だけではなく、海外にもサービスを展開していきます。そのために、追加の開発実装や、セールス、マーケティングなどの強化を加速したいと思っています。

採用したい人材については、機械学習だけではなく、3DのシミュレーションやCADを扱えるエンジニア、デザイナーと事業開発のメンバーですね。特にセールスや、一緒にビジネスモデルを構築し強化できる方の採用を積極的に行います。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

今後の展望は大きく二つあります。一つ目は、ラグジュアリーおよびスポーツブランドとの協業です。どちらもコロナ禍を経ても売り上げが非常に好調で、サステナビリティの面でも、ファッションが抱える環境問題に積極的にアプローチしています。両者とも生地の廃棄を削減するインセンティブは高いと考えているため、テクノロジー応用を前提としたコラボレーションを強化、深化させていきます。

もう一つは、当社のコア技術でアパレル製造の包括的なデジタル化に寄与することです。例えば、洋服の機能性を向上させる設計図の自動生成や、メタバースで使用するアバターのデザインなどにも活用できるのではないかと考えています。サステナビリティへのアプローチを中心としつつ、スケールを見据えた応用・展開も積極的に検討していきます。

Synflux株式会社

Synflux株式会社は、デザインシステム『Algorithmic Couture(アルゴリズミック・クチュール)』の開発・事業化を行う企業。 『Algorithmic Couture』は、機械学習や3Dシミュレーション、アルゴリズミックデザインを活用し、衣服生産時に排出される素材の廃棄を極小化する。 2022年11月には、株式会社ゴールドウインと極小化された資源量で衣服の製造を可能とし、ファッションの新たな生産システムを探究するプロジェクト「SYN-GRID(シン・グリッド)」をスタートさせた。

代表者名川崎和也
設立日2019年3月27日
住所東京都中央区東日本橋2丁目26番8号
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