フリーランスと企業のマッチングサービスなどのHR事業を展開する株式会社Hajimariが、私募債(※1)の発行とデットファイナンスによる資金調達を実施したことを明らかにした。
今回発行した「世界が進むチカラになる私募債」の引受先は、三菱UFJ銀行。起債金額の 0.1%(1 案件あたり上限 1 百万円)に相当する金額を三菱UFJ銀行の基金から拠出し、これを三菱UFJ銀行より ESG 推進団体等へ寄付するものだ。その他3銀行からのデットファイナンスと合わせ、調達額は総額7億円となった。
今回調達した資金は、既存サービス認知拡大のためのマーケティング、新規事業の立ち上げ、組織拡大に充てる予定だ。
(※1)私募債:私公募債(証券会社を通じて広く一般に募集される社債)とは異なり、少数の特定の投資家を対象として発行される社債。
全国6万人のIT系フリーランスが登録するHRサービス
Hajimariは、フリーランスのIT人材や就活生、地方人材など、多様な人材向けのHRサービスを提供する。どのサービスにも共通しているのは、人々の自立を創造し、よりよい働き方を支援している点だ。
現在全国約6万人のフリーランスが登録する「ITPRO PARTNERS」は、起業や独立にチャレンジしたい優秀なIT人材と、即戦力となる人材採用に悩む成長企業とのマッチングサービスだ。業界に精通したエージェントによるマッチングで、個人と企業の双方のニーズを満たすことができる。現在、同社が展開する8事業の利用企業は5000社を超える。
今回の資金調達に際して、代表取締役 木村 直人氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。
自身の転職経験から変わった価値観
―― Hajimariを始めようと思ったきっかけを教えてください。
木村氏:自身の家庭環境や転職経験が大きなきっかけです。両親は教育熱心に育ててくれて、子どもにはよい大学、よい企業に行ってほしいという意識を強く持っていました。そういった家庭環境を背景に、大学を出て知名度の高い保険会社に入り、ライフワークバランスの取れた職場で働いていたのですが、どこか仕事に熱中できてはいませんでした。ある時、「こんなに毎日つまらないなら40年後にワープしたい」と話す同期の言葉に共感したのをきっかけに、思い切ってベンチャー企業に転職したんです。転職後はとても楽しく働くことができ、どんな状況でも自分で自分の道を決めて、それを正解にしていくことができれば、幸福度高く生きていけると強く感じました。そして、そのように自身の選択により人生が幸せだと感じられる人を増やしたいと思い、ベンチャー企業を卒業した後起業しました。
―― 創業当時、IT起業家・フリーランス紹介サービスのどのような課題に着目しましたか?
Hajimariを創業した2015年頃は、すでにIT人材の不足が世の中的に顕著になっており、多くの企業様がIT人材を採用できずに苦労されていました。一方で優秀な人材を見ると、転職するのではなく、起業したり、フリーランスになる人材が徐々にで始めていました。起業したり、フリーランスになっている人材に話を聞くと、柔軟に稼働できる案件を安定してほしいが、そういった当てが多くあるわけではないので、友人などから低い報酬で受けて対応しているということでした。それであれば、優秀な人材を獲得したい企業と、業務内容や働き方に関して柔軟に対応してくれる案件が欲しい起業家・フリーランスを結びつけるサービスが出来れば、双方の課題を解決できるのではないか?と考えて、サービスを開始しました。
目指すのは、多様な人材の自立を創造するプラットフォーム
―― 今回の資金調達の使途について教えてください。
資金は三つの取り組みに充てていきます。一つ目は、既存サービス認知拡大のためのマーケティングです。現段階では業務委託先を探す際のエージェントが決まっていない企業が多いことです。そこで我々は今後3年間で数億円以上の広告予算をかけて、優秀な起業家・フリーランス人材が集まる業界一のプラットフォームだという認知を獲得していきます。
二つ目は、新規事業立ち上げへの投資です。直近では特に力を入れている、オンライン学習プラットフォーム「HR University」に投資していく予定です。
三つ目は、組織拡大のための採用です。昨年から数十名単位で採用していますが、まだ継続して拡大していく予定です。特に、企業の課題をヒアリングし、課題解決に適した人材とのマッチングを行なう「エージェント職」の募集を強化していきます。
―― 今後の展望を教えてください。
この数年間は、フリーランスや起業を志す人の自立創造に一層力を入れながら、薬剤師、美容師、保育士など需給のバランスが崩れやすい専門職種へのフリーランス支援や、新卒一括採用の改革に伴う新卒領域、地方人材に特化した自立創造などに領域を広げていきたいと思います。また、現在は学生や社会人向けの支援だけですが、長期的には幼少期のお子さんやシニア、女性、外国人労働者などより多様な人材の自立創造を行っていきたいと考えています。
そして、採用領域に加え、現在はエンジニア組織に特化したエンゲージメントツールを開発しています。エンジニア組織は現在構築していくことがとても難しい状況です。エンジニア人材の需要と供給のバランスが悪く、人材側はすぐに転職することが可能なマーケットになってきています。そういった背景があり、離職が激しくなっており、経営課題としてエンジニア組織の状態をポジティブに保つニーズが高まっています。そのためエンジニア組織のエンゲージメントを可視化し、課題を抱える企業へのご提案を開始しています。
さらに、我々はまずITPRO PARTNERSの領域からグローバル展開をしていきたいと考えています。スキルが高いにも関わらず、日本の人件費はグローバルと比較しかなり安くなってしまっています。人件費が高い成長国の案件を日本のメンバーで受けられる事業を展開し、日本の人件費下落に歯止めをかけたいです。
自分で自分の道を決め、幸せに生きていける世の中へ
私は、年収を下げてでも自己実現のために挑戦して起業したり、リスクを背負ってでも自分の力を試したいとフリーランスになる人たちをリスペクトしています。そういった方々を支援したいと思ったのが、この事業の始まりです。しかし、単に起業家やフリーランスになる方を増やしたいというわけではなく、すべての人が自分の道を自分で決めて、幸せに生きていける世の中を作ることに貢献していきたいと考えています。そのための要素を考えながら、これからもいろいろな領域に取り組んでいきます。
株式会社Hajimari
株式会社Hajimariは、IT 起業家・フリーランス向け仕事紹介サービス『IT プロパートナーズ』や、スキルアップ型就活支援サービス『intee(インティ)』などを運営する企業。 フリーランスと企業のマッチングサービスを中心に現在8事業を展開している。 『ITプロパートナーズ』は、ITフリーランスへ案件を紹介をするIT系フリーランス専門のエージェント。『intee』では、学生にビジネス/パーソナルスキルやハイレベル企業との接点を無料で提供し、最高のファーストキャリアを築くサポートをする。
代表者名 | 木村直人 |
設立日 | 2015年2月26日 |
住所 | 東京都渋谷区道玄坂1丁目16-10 |