医療ロボットで外科医療を進化させるスタートアップ5選

医療ロボットで外科医療を進化させるスタートアップ5選

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マイクロサージャリーから低侵襲手術まで、精度と標準化に挑む

外科医療の高度化が進む中で、手術の精度や安全性を高める技術への期待が高まっている。特にマイクロサージャリー(微細手術)のように、血管や神経など極めて小さな組織を扱う領域では、術者の熟練度が成果を大きく左右してきた。一方で、専門医の不足や地域偏在、長時間手術による身体的負担といった構造的課題も顕在化している。

こうした背景のもと、医療ロボット技術は外科医療を支える重要な基盤のひとつになりつつある。手ぶれ補正や動作のスケーリング(大きな手の動きを微細な操作に変換する技術)、高精細な可視化、AIによる画像解析などを組み合わせることで、人の能力を補完・拡張する手術支援が可能になってきた。

この流れを受け、応用領域も広がっている。マイクロサージャリーに特化した精密制御ロボットの開発が進む一方で、腹腔鏡や内視鏡を用いた低侵襲手術の支援、汎用的な手術支援ロボットの高度化、遠隔手術の実証など、技術開発は複数の方向で並行して進んでいる。これらの取り組みは、手術精度の向上や医療提供体制の平準化、術者負担の低減といった観点から検討が進められている。

もっとも、医療ロボット分野は安全性や信頼性が厳しく求められ、薬事規制や臨床エビデンスの確立など越えるべきハードルも多い。ハードウェア設計だけでなく、制御ソフトウェア、精密加工、画像処理、データ統合、ユーザーインターフェース設計など、多層的な技術開発が不可欠となる領域でもある。その中で近年、特定の手術分野や技術要素に特化し、より高精度・小型化・低侵襲化を目指すスタートアップが存在感を高めている。大手医療機器メーカーが主導してきた市場に対し、専門特化型のプレイヤーが新たな価値提案を行い始めている。

本記事では、マイクロサージャリーを含む医療ロボット領域で、外科医療のあり方をアップデートするスタートアップに焦点を当てる。

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スタートアップ5選

クオリィ株式会社

企業HP:https://qoly.tech/ja/

外科医療に関するマイクロサージャリーの支援ロボットの開発・製造などを行う。マイクロサージャリーは、機能性疾患の治療などに適用される外科手術の一種で、顕微鏡下での繊細な作業が求められるため、専門性の習得に高い技能と多くの経験を要し、外科医の中でもマイクロサージャリーを実施できるのは一部の熟練層に限られているという。同社は、この課題に着目し、ロボティクスを中心とするテクノロジーを通じて、医療現場の課題解決などに取り組む。

2026年2月には、シリーズAラウンドにて、ファストトラックイニシアティブ(FTI)、MedVenture Partners(MPI)をリードインベスターとし、ソニーグループ、日本政策投資銀行(DBJ)を含む計4社を引受先とした第三者割当増資を実施し、18億円を調達した。

F.MED株式会社

企業HP:https://www.f-med.co.jp/

マイクロサージャリー支援用ロボットシステムを開発する企業。 マイクロサージャリーでは繊細な動作が要求されるため施術できる医師が限定されるなどの課題がある。 『マイクロサージャリー支援用ロボットシステム』は、術者が拡大画像を見ながら操作管を動かすことで、その動きを縮小化して再現し、手振れを制御する。 同社は、支援ロボットの開発により、術式を標準化し医療水準の均てん化を目指す。

2025年6月には、スター精密と、マイクロサージャリー支援ロボットの量産技術確立検討に向けた覚書を締結した。スター精密から量産技術に関連する知見や助言の提供を受けながら、両社が協力して活動を推進することを目指す。

リバーフィールド株式会社

企業HP:https://www.riverfieldinc.com/

患者の体に複数の穴を開けて器具を挿入する内視鏡手術を支援する東京科学大学発のスタートアップ。開発する「空気圧駆動型 内視鏡ホルダロボット EMARO(エマロ)」は、内視鏡手術中に執刀医の頭の動きを感知して内視鏡を動かす。内視鏡の操作担当が不要になるため、手術がしやすくなる。「力覚」を再現することに成功した低侵襲外科手術用支援ロボット「Saroa」や眼球内を直接観察できる眼内内視鏡や眼内照明ライトガイドを把持するロボットシステム「OQrimo」なども開発・提供している。

2025年8月には、みずほリースのCVCファンドを引受先とした資金調達を実施した。また同年9月には、ちばグロースアカデミア投資事業有限責任組合を引受先とした資金調達を実施した。

株式会社メディカロイド

企業HP:http://www.medicaroid.com/

手術支援ロボット「hinotori」などの医療用ロボットのマーケティング、開発、設計、製造などを行う企業。hinotoriは、手術に求められる術者の繊細な動きを実現するという手術支援ロボット。同ロボットは、オペレーションアームをコンパクトにセッティングでき、医師の操作スペースを広くとることなどが可能だという。また、8軸で構成されているオペレーションアームは、人の腕のようになめらかに動き、アーム同士、清潔野の医師とアームの干渉を軽減するという。また、手術室での位置と姿勢を自由に設定可能で、複数のポジション(麻酔、手術、透視画像撮影位置、等)を記憶でき、それらの位置への正確かつ迅速な移動が可能な「SOT-100 Vercia™ ヴェルシア手術台」も提供している。

2025年6月には、「hinotori™ サージカルロボットシステム」を用いた 欧州と日本間で初となる遠隔手術の実証実験に成功したと発表した。

朝日サージカルロボティクス株式会社

企業HP:https://www.a-traction.co.jp/

腹腔鏡手術支援ロボットの開発を行う、国立がん研究センター発ベンチャー企業。 腹腔鏡手術を支援する、外科医助手の役割に特化した協働型助手ロボット「ANSUR」を開発している。執刀医自らが、ロボットを使用したい場面でANSURを操ることが可能。最大3本のロボットアームが使用でき、ロボットによる安定したスコープ保持と組織の把持によって腹腔鏡手術をサポートする。

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