株式会社ポルティ

空き家の売買マッチングプラットフォーム「ポルティ空き家バンク」を運営する株式会社ポルティは、みずほキャピタルおよび個人投資家を引受先とする第三者割当増資により、プレシリーズAラウンドの2ndクローズとして6500万円を調達した。2025年11月に実施した1stクローズ(8500万円)と合わせ、同ラウンドの累計調達額は1.5億円となる。今回の調達を機に、個人間マッチングに加えてプロの不動産投資家向け流通チャネルの開拓を強化する。
同社は2022年1月に設立された不動産AIスタートアップだ。2022年に公開したAI賃料査定サービス「ポルティ賃料査定」は累計450万回以上の利用実績を持ち、不動産投資家やデベロッパー、仲介業者など業界関係者に広く利用されている。現在の主力事業は、空き家や土地、別荘などを個人が直接売買できる不動産アプリ「ポルティ空き家バンク」の運営だ。

日本の空き家問題は深刻さを増している。2023年10月に総務省統計局が行った調査では、国内の空き家数は約900万件と過去最多を更新した。
背景には構造的な課題がある。相続によって地方の物件を突然抱えることになった所有者が売却を望む一方、仲介業者にとって空き家仲介は採算が合いにくいのが実情だ。地方の空き家は売買価格が数百万円程度となることも珍しくなく、仲介手数料を見込みにくいうえ、売却までに時間もかかるため、コストと天秤にかけて取り扱いを敬遠するケースが多い。
一方、需要サイドでは追い風が吹いている。国土交通省が2022年に行った調査によると戸建て住宅を希望する人は全体の約54%にのぼると推計されるが、賃貸物件のうち一戸建てが占める割合は数%に止まるなど、大きな需給ギャップが伺える。また、Airbnbに代表される民泊プラットフォームの普及を背景に、地方の空き家を買い取り、リノベーションして民泊や賃貸として運用する「戸建て再生投資」への関心も高まっている。ポルティ 代表取締役CEOの平 瑶平氏によると、表面利回りが50%超になるケースや、賃貸でも15〜30%程度が見込めるケースもあるといい、プロの不動産投資家による地方空き家物件の購入ニーズは拡大しているという。
「ポルティ空き家バンク」は、こうした需給ミスマッチの解消をコンセプトとして設計されたプラットフォームだ。売却を希望するオーナーが画像と住所情報を入力するだけで最短1分以内で物件を掲載することが可能だという。AIが物件のタイトルや説明文、周辺環境・交通情報を自動生成することで、投稿の手間を大幅に削減する仕組みだ。物件の問い合わせ対応・内見・価格交渉はユーザー間で行われ、契約段階のみポルティの宅地建物取引士が介入して取引を成立させる。契約以前のプロセスをセルフサービス化することで、仲介の工数を最大90%削減できるとしている。平氏は「ユーザーがやらないといけないことをどんどんAIに置き換えて楽にしていくことがサービスの特徴」と説明する。

あわせて、ポルティは2026年1月より個人向け空き家売却相談サービスを開始しており、自社で空き家の買取・再販事業を展開する。開始から2ヶ月で300件以上の相談を受けており、即時に手放したい所有者から同社が直接買い取り、プラットフォームに再掲載する形をとる。内製化している社内システム活用により業務DXを進め、約1時間かかっていた査定作業を約10分に短縮。プラットフォームだけではなく実業にも本腰を入れている。
今回の調達資金は、プロ投資家を含む新たな流通チャネルの開拓強化、プロダクト改善、AIを活用したオペレーション基盤の強化に充当する予定だ。マーケティングが最大の用途となる見込みで、物件獲得のためのデジタルマーケティングに重点的に投資するという。
プロ投資家向けの訴求を強化するため、同社は調達の発表と同時に、モバイルアプリに加えPCブラウザからも同等の機能を利用できるWeb版を正式リリースした。投資家がデスクトップで複数の物件を一度に比較・検索しやすい環境を整えることで、プロ投資家の利用促進を図る。
さらに今回、みずほキャピタルが新規投資家として参画したことを機に、地域の金融機関や地場不動産会社・リフォーム会社との連携強化も視野に入れる。
平氏は今後の事業展開について、「実業とプラットフォームに同時並行で取り組んでいく。地方の物件を買い取り、再生し、民泊や賃貸として付加価値をつけていく。その上でプラットフォームの規模も大きくしていきたい」と述べている。2026年10月までに掲載物件数を2200件まで拡大する構えだ。
「空き家があると街の活気がなくなり、犯罪増加や治安悪化、周辺地価の下落など社会的な負担が大きい。空き家が再生され、地域との交流が生まれる社会をつくりたい」と同氏は語る。同社の取り組みが、空き家活用の新たなモデルとして地域の活性化にどこまで貢献していくのか、今後の展開に期待が高まる。










