株式会社LOOV

インタラクティブ動画を活用し、営業や採用などにおけるプレゼンテーションや説明業務を自動化するSaaSを提供する株式会社LOOVが、プレシリーズAラウンドにて第三者割当増資による資金調達を実施した。今回の引受先にはグローバル・ブレイン、One Capital、HAKOBUNE、IHVCが参画。累計の資金調達総額は3.5億円となった。
これまで営業支援領域で“対話型パーソナライズ動画”による提案活動の効率化を支援してきた同社は、今回の調達を機に、HRやカスタマーサクセスなど他部門への展開を強化する。
LOOVは、ユーザーの属性や選択肢に応じて動画の内容が変化するインタラクティブ動画を、ノーコードで簡単に作成・運用できるソリューションを提供している。こうした機能群を同社は「Video Agent」という呼称で体系化しており、プレゼンや説明業務を再現性高く自動化することを目指している。
代表取締役CEOの内田雅人氏は、イノベーション社で営業および事業開発を歴任し、役員・子会社の取締役を経て2022年にLOOVを創業。営業支援の現場で感じた「同じ説明を繰り返す非効率さ」を解決する手段として、現在のプロダクトを構想したという。
サービス開始から2年ですでに150社を超える企業に導入されており、特にSaaSやBPOを中心とした無形商材を扱う業種での活用が広がっている。視覚的かつパーソナライズされた説明により、顧客の理解度向上やCV率の改善につながるケースが多いという。

LOOVは今回の資金調達と合わせ、いくつかの機能をリリースした。AIを活用して顧客とのコミュニケーションを円滑にするエンハンスだ。
- 資料アップロードによる動画シナリオ自動生成:営業資料や説明資料をアップロードすると、生成AIが適切なプレゼンフローを構築し、動画シナリオとナレーションスクリプトを自動で作成。
- AIによる自動動画生成:作成したシナリオをもとに、デジタルヒューマンを用いたプレゼン動画をワンクリックで生成可能。ユーザー自身が撮影した映像も利用できる。
- 自動通知・日程誘導機能:特定条件に該当する視聴者に対してリアルタイムで通知を送る機能や、商談や面談の自動日程調整への誘導も可能。

LOOVの経営陣には、AIスタートアップやSFA・CRM分野の知見を持つメンバーが集結しており、テクノロジーと現場課題の橋渡しを重視している点も特徴だ。
同社は全社員がフルリモート体制のもと、自社の営業や採用活動においても自社プロダクトを活用しており、少人数でも着実な成長を遂げている。「我々自身がVideo Agentのユーザーであり、その現場知見がプロダクト開発に活かされている」と内田氏は話す。
今後は、収録済み動画に代わるリアルタイム生成型プレゼンへの進化も視野に入れており、生成AIを活用した「即時パーソナライズ動画」の提供も年内のローンチを目指して開発が進んでいる。
今回の調達資金は、エンジニア・ビジネスサイドの採用拡充とプロダクト多角化に充てる予定。現在約10名のフルコミットメンバー体制を、年内に倍の20名規模まで拡大する方針である。また、来期末までに導入企業数を300社に引き上げることを目標に掲げている。
「“Video Agent”という新しい価値提案を通じて、企業の情報伝達のあり方を根本から変えていきたい」と内田氏は述べた。
画像はLOOV プレスリリースより