「住む × 泊まる」レジデンス運営を拡大へ、Unitoが約10億円を調達

「住む × 泊まる」レジデンス運営を拡大へ、Unitoが約10億円を調達

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株式会社Unitoは、シリーズDラウンドで総額約10億円の資金調達を実施した。調達方法は第三者割当増資および金融機関からの融資で、引受先には大東建託やエイチ・アイ・エス(HIS)など複数の事業会社とベンチャーキャピタルが名を連ねる。これにより事業開始以来の累計調達額は約20億円となった。

Unitoは2017年に設立され、2020年より現行のビジネスモデルを本格化させている。同社の特徴は「リレント(Re-rent)」と呼ばれる特許取得済の家賃計算方式にある。この仕組みでは、居住者が外泊などで部屋を使用しない日をオンライン申請することで、その分の家賃が割引される。部屋が空いている期間はUnitoがホテルや民泊として運用し、オーナー側の稼働率や収益性向上も図る。主なサービスは、家具家電付きのホテル・サービスアパートメントと、スマートフォンで即日契約・即日入居が可能な住まい探しプラットフォーム「unito」の運営にある。このほか、不動産デベロッパー向けの民泊ブランド立ち上げ支援や、賃貸・宿泊両用途を一元管理できるPMS(Property Management System)「unito PMS」の開発も進めている。

代表取締役は近藤佑太朗氏。幼少期を東欧で過ごし、大学在学中からスタートアップ系団体を立ち上げ、旅行業界の複数社での経験を経て2017年にUnitoを起業した。既存の不動産やホテル業の枠にとらわれない多拠点生活を模索する中で、「外泊すればするほど家賃が安くなる」リレントモデルを開発した。

日本の賃貸・宿泊業界は、パンデミックを契機に大きな変化を迎えている。都市部を中心に働き方や居住スタイルの多様化が進み、従来の長期契約・単一住居型賃貸に代わるフレキシブルなサービスが拡大している。転職やリモートワークによる短期転居の需要増や、住宅サブスクリプション、サービスアパートメント市場の拡大傾向が見られる。HafHやADDressなどが競合として挙げられ、各社が多拠点居住やサブスク型住居サービスを展開している。多くの競合が「毎月定額」型を基本とするなかで、Unitoは「利用日数に応じて支払いが変動する」という点で独自性を打ち出している。さらに、近年はホテル・民泊と賃貸を横断して運用できるよう規制緩和も進んでいる。

今回の資金調達ラウンドでは、大東建託とHISの出資が業界内で注目されている。大東建託は不動産領域で最大級の管理戸数を有している。今回の追加出資を通じて、未活用地や空室の活用など、両社の強みを補完する意図がある。HISは、法人顧客向け多拠点滞在や海外出張の知見を持ち、Unitoとの連携によりリレントモデルの法人展開や海外市場での事業展開の可能性を見据えている。

調達資金は、賃貸・宿泊の一元管理システム開発、運営物件数の拡大、M&Aによる事業領域強化、人材採用などに充てられる。

2025年6月時点での運営棟数は全国121棟、882室、会員数は7.7万人を超えており、今後3年間で500棟体制の構築を目指している。

従来のPMSはホテル運営に特化しており、民泊と賃貸を切り替えるリレント運用には対応していなかった。今後は、民泊市場拡大に向け、賃貸・民泊双方に最適化した新たなPMSの開発を進める。チェックインから清掃、費用管理まで一元化し、「住む」と「泊まる」を融合する業界のパラダイムシフトを推進する方針だ。

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