MIRAI-LABO株式会社

MIRAI-LABO株式会社とあいおいニッセイ同和損害保険株式会社は、2025年5月1日に資本業務提携契約を締結した。MIRAI-LABOによる第三者割当増資を、あいおいニッセイ同和損保が引き受ける形で実施されたもので、両社はこの提携を通じて、中古電気自動車(EV)バッテリーの診断、再生、流通体制の構築を共同で推進し、EVバッテリーの資源循環と再利用に関する社会課題の解決を目指す。
具体的には、あいおいニッセイ同和損保が自動車保険契約車両のうち、事故などにより全損となった車両から中古EVバッテリーを回収し、MIRAI-LABOが独自の技術でモジュール単位の劣化診断と再生を行う。再生バッテリーはLED投光器、街路灯、発電機などの製品として再製品化され、自治体や協業先に展開される計画だ。また、再生品には保証保険を設定することで流通時のリスク低減を図るほか、保険契約車両の事故データを活用し、事故の衝撃度とバッテリーの劣化状況の相関性を調査することで、診断プロセスの効率化にも取り組む。
さらに、両社はリユース・リサイクルによるCO₂削減量の可視化や、温室効果ガスの排出削減量を価値として取引可能にするカーボンクレジットの創出も検討している。脱炭素社会の実現に向けた新たな価値創出手段としての活用が期待される。
EVの普及が進む中、使用済みバッテリーの処理やリサイクルは自動車業界における大きな課題となっている。バッテリーにはリチウムやコバルトといった希少資源が含まれており、適切な再利用や処理は資源循環型社会の実現に不可欠である。日本国内では2023年時点でEVの新車販売台数比率が約2%と依然として低い水準にあるが、今後の普及拡大に伴って使用済みバッテリーの発生量も増加していく見通しだ。リサイクルや二次利用に関する制度や基準の整備は世界的に進んでいる一方、日本ではビジネスモデルの確立やトレーサビリティ、公的支援制度の整備が今後の課題とされている。
MIRAI-LABOは2006年4月に創業。太陽光路面発電やEV廃バッテリーの診断・再製品化技術、省エネ照明など、自律型エネルギーインフラの研究開発・製造・販売を主力事業とする。バッテリーの劣化診断から製品化までを一貫して行う体制を持ち、リサイクル技術の基準化にも取り組んでいる。LED投光器やソーラー街路灯など再生バッテリーを活用した製品を、主に行政や企業向けに提供してきた実績がある。
代表取締役社長の平塚利男氏は、日本電信電話公社系の施工管理業務を経て、長年にわたりバッテリーやエネルギー制御技術に携わってきた。2006年にMIRAI-LABOを設立し、自然エネルギーの制御技術を基盤とした環境事業を展開している。
今回の提携により、両社は中古EVバッテリーの流通基盤の強化に加え、再製品化が難しいバッテリーの適切な処理や、新たなサービス創出も視野に入れている。今後は、産業横断的な連携による持続可能な事業モデルの構築が、EVバッテリーの資源循環と環境負荷低減にどのように貢献するかが問われることになる。