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東北大学は、グローバルに活躍する若手研究者を客員教員(Visiting Scholar)として受け入れる新組織「ZERO INSTITUTE」を設立し、2025年9月1日より本格的に活動を開始することを発表した。同組織は、2028年度までに100名超を受け入れ、企業との共同研究やディープテック・スタートアップ創出を通じた社会実装を目指すプラットフォームである。
東北大学は2024年12月に文部科学省による「国際卓越研究大学」第1号認定を受け、国際頭脳循環や研究環境整備を加速させている。一方で、海外で研究活動を続けながら、日本でも社会実装や産学共創の場を求める若手研究者のニーズが高まっている。また、企業側では分野横断的な社会課題への研究成果のアクセスや連携の難しさも指摘されていた。
ZERO INSTITUTEは、こうした両者の要望・課題に応え、研究と産業界をつなぐ拠点を構築するため設立された。本取り組みでは、博士課程在籍中を含む若手研究者にも門戸を広げる制度設計としており、各研究者は一定の審査を経て自身が企画した社会実装プロジェクトを自主的に推進する仕組みとしている。
組織体制として、東北大学産学連携担当理事 遠山毅氏が責任者、電気通信研究所 教授 羽生貴弘氏がインスティテュート長、一般財団法人ZERO Foundation代表理事/HERO Impact Capital General Partnerの渡邊拓氏が副長(客員教授)として参画する。渡邊氏はこれまで10年以上にわたり400名超のグローバル若手研究者への支援実績を持ち、その経験が本組織にも活かされる。運営には外部企業もスポンサーとして参加し、全プロジェクトへのオープンなアクセスを通じて共創を促進する。
2025年9月から始まる初年度はおよそ40名のVisiting Scholarを受け入れ、最終的には2028年度までに100名以上を常時受け入れる体制を整備する予定である。また、本プラットフォームではスタートアップ設立支援も行い、資本政策やネットワーク提供など多面的に支援する。
東北大学は、2025年6月にも米国をはじめとした世界トップレベル研究者を対象にリクルートキャラバンを実施し、2029年度までに約500名を採用する計画を発表。300億円の助成金を活用して国際的競争力強化を図る意向を示した。本取り組みは、国際卓越研究大学としての役割だけでなく、産学共創型のグローバル研究プラットフォーム形成にも寄与する可能性がある。
ZERO INSTITUTEは、グローバル研究者と企業が共創する新しい枠組みを構築し、日本における社会実装・産業化を加速させる試みである。今後、具体的なプロジェクトや企業連携の成果が注目される。
画像は東北大学提供
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