歯科医療人材の人手不足を解消、HANOWAが描く歯科業界の新しい働き方

歯科医療人材の人手不足を解消、HANOWAが描く歯科業界の新しい働き方

Startup Spotlight

supported by

written by

KEPPLE編集部

歯科医療人材のシェアリングプラットフォームを運営する株式会社HANOWAが、第三者割当増資による1.55億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、エムスリー、ココナラスキルパートナーズ、山本正喜氏(Chatwork 代表取締役CEO)、ANOBAKA。

今回の資金調達によりサービス開発を強化し、既存サービスのアプリ化などと共に、医科全般に向けてサービスを提供することを目指す。

医療人材の不足を解消するHANOWA

同社が提供するHANOWAは、歯科医療人材を中心としたギグワークプラットフォームだ。歯科医院は人材が不足した際にサービス上で勤務者を募り、歯科医療人材は募集を見ながら、複数の歯科医院で自由に働くことができる。

HANOWA
同じ歯科医院での複数回のマッチングを経て、医院と人材がお互いに継続勤務を望む際は、直接雇用を行うことも可能だ。

2020年1月にサービスをリリースし、2000か所以上の歯科医院、5000名以上の医療人材が登録している。今後は既存のブラウザサービスのアプリ化や、歯科医療人材のマッチングに限らず、広く医療従事者に向けたサービスの拡張を進めていく。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 新井 翔平氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

増える歯のメインテナンス需要、休眠・不足する歯科衛生士

―― これまで、歯科医療にはどのような課題がありましたか?

新井氏:日本では、2022年から国民皆歯科検診という方針が発表され、歯科医療への注目が高まっています。歯のメインテナンスを欠かさない人のほうが、糖尿病や認知症の予防効果が高いといった研究論文も以前から話題になっており、歯科医療の需要が増えていくことが予想されています。実際に現在は虫歯が減り、虫歯治療から歯周病予防の重要性が高まっているため、歯科衛生士による歯のメインテナンスの重要性が増すことは、間違いないトレンドです。

この状況の中で、日本におよそ30万人弱いる歯科衛生士のうち、約47%は業務をせずに休眠している実態があります。歯科医院も歯科衛生士の採用に苦労しており、圧倒的に歯科衛生士の数が不足しています。

歯科衛生士の求人倍率

歯科衛生士の求人倍率


需要と供給のバランスが破綻しており、さらに需要が増えてくる中では、すでに歯科衛生士の資格を持っていながら、休眠している人たちが滑らかに復帰できる環境や仕組みが必要です。

スタートアップスカウト

―― HANOWAを始めようと思ったきっかけを教えてください。

人材紹介会社やウェブ制作会社で営業として勤務した後、個人事業主としてウェブ制作の代行を始めました。歯科のクライアントの広告運用を支援させていただいたのをきっかけに、深く歯科業界のことを知っていきました。その中でも人手不足に特に課題を感じており、求人票作成の支援も行い、とても喜んでいただけました。そこからフレキシブルに働くことを求める母親や、人手不足を解消したい先生方の声を受け、HANOWAの構想を始めました。

―― HANOWAリリース後、どのようにユーザーを増やしてきたのでしょうか?

サービス開始直後の2020年は、ギグワークの概念を理解していただけないことも多かったです。一方で、普段からデリバリーサービスを利用しているような先生方からは熱烈な支持を受け、応援いただきながらサービスの機能拡張をしていきました。

2021年の1月頃に、ユーザーがサービス内の掲示板にシフト情報などを投稿すると、そのユーザーのいる半径15km以内のクリニックに通知される機能を追加しました。この機能追加をきっかけとして、これまでクリニックがHANOWAにログインして見なければいけなかったユーザー情報を、プッシュ通知で確認できることが好評を呼び、サービスに登録するクリニックやユーザーもかなり増えました。

医科向けプラットフォームとしてのビジネス展開

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

サービス開始からユーザー数も順調に増え、事業の拡張に必要な検証は済んでいると判断しています。現在は関東や大阪、名古屋のアーリーアダプター向けにサービス提供していますが、さらに広くサービスを展開していくために、今後はより広告費を投下することでマジョリティにもサービスを届け、マッチングを促していきたいと思います。

また、これまでブラウザベースで提供しているHANOWAを、iOSやAndroidなどでアプリ化して提供していくために、優秀な開発人員を確保することも重要な資金使途です。現在開発者は数名ですが、2023年中には2〜3倍の開発チームにしていきます。

―― 今後の展望を教えてください。

歯科向けのサービスは伸ばしつつ、人材領域では横展開をして、歯科だけでなく医科へのサービス提供も視野に入れています。例えば看護師のマーケットです。内科の先生がSNSで看護師を募集しているケースもあり、需要はあると思いますので、医科向けのプラットフォームとして、今年中に立ち上げることを目指します。

さらに長期では既存領域で、シフト管理SaaSや予約管理SaaSなど、深くバーティカルにも掘り下げてコンタクトポイントを増やしていきたいと思っています。今回の資金調達でリード株主となって頂いたエムスリーのナレッジを活かしつつ、業界に特化したサービスを提供することで、より収益性の高い企業として成長を遂げたいと考えています。

株式会社HANOWA

株式会社HANOWAは、歯科医療従事者と歯科医院のギグワークプラットフォーム『HANOWA』を運営する企業。 歯科医療従事者は働きたい日時だけ働くことができ、歯科医院は来て欲しい日時に地域の歯科医療従事者へ仕事のオファーができる。

代表者名新井翔平
設立日2019年1月22日
住所大阪府大阪市北区曾根崎新地1丁目13-22御堂筋フロントタワー
関連記事
スタートアップの詳細データはKEPPLE DB
KEPPLE DB

Startup Spotlight

「スタートアップスカウト」は、ストックオプション付与を想定したハイクラス人材特化の採用支援サービスです。スタートアップ業界に精通した当社エージェントのほか、ストックオプションに詳しい公認会計士やアナリストが伴走します。

https://startup-scout.kepple.co.jp/
Tag
  • #人材サービス
  • #副業
  • #
Share
notelinkedInfacebooklinetwitter
スタートアップスカウト

新着記事

notelinkedInfacebooklinetwitter
notelinkedInfacebooklinetwitter

STARTUP NEWSLETTER

スタートアップの資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ。
1週間分の資金調達情報を毎週お届けします

※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします

※配信はいつでも停止できます

STARTUP NEWSLETTER

投資家向けサービス

スタートアップ向けサービス