株式会社PITTAN
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汗の分析サービスを提供するPITTANがプレシリーズAラウンドにて、第三者割当増資による1.5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。
今回のラウンドでの引受先は、クオンタムリープベンチャーズ、岡三キャピタル、神戸大学キャピタル、京都キャピタルパートナーズの4社。
今回の資金調達により、法人向けの小型分析装置の開発を目指す。
肌の健康診断、汗を封筒で送るだけ
同社が技術開発を進めるのは、微量の汗から体内の栄養状態を可視化する汗中成分分析技術。技術を活用して肌のコンディションを分析するサービスを提供している。
独自開発のパッチを貼って汗を採取して郵送すると、同社のラボにて分析される。肌の健康状態は同社が提供するアプリ上で確認できる。診断結果に合わせた食事やサプリメントを提案することで、ユーザーに健康的なライフスタイルを提示できることも特徴の1つだ。
これまで一般消費者向けに郵送モデルで提供してきた同サービス。スキンケアブランドやエステ、フィットネスジムなどで採用されている。今後は小型の分析装置を開発して百貨店などに設置し、ユーザーが店舗で即座に分析結果を確認できるよう開発を進めているという。
同社は、CEOの辻本氏とCTOの児山氏が2022年に共同創業した。辻本氏は京都大学でMEMS(微小電気機械システム)分野の修士・博士課程を修了後、東京エレクトロンの研究部門を経て、京都の半導体メーカーであるロームに勤務。その後、コンサルファームやVCでの経験を経て、スタートアップスタジオを設立。PITTANはそのパイロットプロジェクトとして、東京大学薬学系研究科の角田准教授、島津製作所出身の児山氏と共に立ち上げた。
今回の資金調達に際して、COOの西川氏に今後の展望などについて詳しく話を伺った。
スマートウォッチよりも詳しく、血液検査よりも手軽に
―― サービス提供の背景について教えてください。
西川氏:日本では社会保障費が膨れ上がり、少子高齢化が進んでいます。その中で、健康を維持して「そもそも病気にかからない」ことで社会保障費を減らしていくことの重要性がますます高まっています。
近年はスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスを身に着ける人もよく見かけますが、バイタルは把握できても栄養状態の測定までできません。人間の身体の状態を詳細に把握するには体液分析が有用です。ぱっと思い浮かぶのは血液検査ですが、血液検査を苦手としている人も多いのではないでしょうか。
また、血液検査を実施するのは年に1度の健康診断のみという方も多いでしょう。身体の状態に合わせて健康改善するには高頻度な検査が必要なのですが、なかなか難しい。尿検査の場合でも同様です。
そこで我々が提供しているのが、汗を用いた検査手法です。血液検査のように針を刺す必要はありません。負担が少なく採取場所を選ばないので、手軽に詳細な健康データが得られます。
―― 汗で健康状態の分析とはあまり聞いたことがありませんでした。
血液からはかなり詳細な情報が得られますが、日々の栄養状態を管理するという観点では、汗から得られる情報も十分有用であることがわかっています。また、栄養素は腸から吸収されて皮膚から汗として排出されます。栄養素が血液を通じてしっかりと末端にまで行き渡っているかを、汗の分析により可視化しているのです。
現在は肌状態の分析サービスを提供しているのでビューティーテックと思われることも多いのですが、肌の状態はあくまでも健康指標の一つです。我々が目指すのはあくまでもヘルスケア。生活者にとって身近であるということから、まずは美容領域から事業を開始しました。
今後は「その場で分析」を価値に 新型装置の開発加速
―― 資金調達の背景や使途について教えてください。
これまでは、ユーザーから郵送された採取キットを自社ラボで1つ1つ分析していましたが、それには限界があります。今後はその場で即座に分析できる装置を開発し、百貨店やエステなどに装置を提供していくモデルを構想しています。これから半年程度での完成を目指す装置の開発資金として調達を実施しました。
この新型分析装置は、エスプレッソマシンのようにパッチをセットするだけで、15分程度で分析結果を確認できます。現在は百貨店の化粧品売り場やジム、ドラッグストアなどでの利用を想定しています。
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―― 今後の長期的な展望を教えてください。
現在は美容やトレーニング領域向けの展開に注力しながら、中長期では介護領域への進出も計画しています。近年は在宅介護や在宅診療のニーズが高まっている中で、高齢者の栄養状態を正確に把握することが非常に重要です。
しかし、針を刺して血液を採取するのはお年寄りにとっては負担で、介護者にとってもハードルが高い。そこで汗分析を利用すれば、感染リスクもなく手軽に検査できるはずです。
最終的には、汗から病気のリスクを診断するなど、医療領域に入っていきたいと考えています。その実現には大量のデータや信頼性が必要です。長い目で見ながら進めていきたいと思います。
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