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スタートアップ業界屈指の招待制カンファレンス「B Dash Camp 2025 Spring in Sapporo」が、5月21日(水)から23日(金)までの3日間、札幌で開催される。今回で23回目の開催を迎える本イベントは、インターネット業界のリーダーや著名な起業家、投資家、事業会社が一堂に会する、日本有数のスタートアップカンファレンスだ。
開催に先立ち、4月下旬に「ピッチ登壇者お披露目会」が実施され、Pitch Arenaに登壇する12社が発表された。応募総数は120社を超え、書類・面談審査を経て選抜された精鋭スタートアップたちがピッチコンテストに挑む。審査員には有力ベンチャーキャピタルや事業会社のキーパーソンが名を連ねる。
生成AI、宇宙、ローカルインフラ、フィンテックなど多様な分野で挑戦を続ける注目のスタートアップ12社を紹介する。
企業HP:https://qlay.ai
海外エンジニア採用に特化したAIリクルーティングプラットフォーム「Qlay」を開発。国ごとに異なる採用チャネルや学歴評価の基準、文化的な背景の違いを、独自のAIエージェントが自動で処理し、候補者のソーシング、スクリーニング、オンライン面接、コーディングテストまでを一気通貫で実施する。スキルや志向性に基づいた人材の推薦に加え、リスクを抑えた試用制度も提供。グローバル人材の可視化と即時マッチングを実現することで、国境を越えたエンジニア採用の最適化に挑む。
宇宙空間での展開を前提とした、柔軟で超軽量な大型構造物の設計・開発を行うスタートアップ。薄膜フィルムやメッシュ状素材を折り畳み、宇宙で展開させる構造を想定しており、通信アンテナや宇宙居住空間などへの応用を見据える。従来は実験が困難だった構造体の挙動を、独自の数値解析技術によって高精度にシミュレーションできる点を強みとし、JAXAの技術実証プログラムにも採択された実績を持つ。将来的には、原子力に代わる次世代発電構造や、地上とのエネルギー連携を前提とした宇宙インフラ構築も視野に入れる。
キャリア採用者向けのオンボーディング支援ツール「onBoardly」を開発。新卒採用と比較して手厚な受け入れ体制が整っていないことに課題を見出し、内定から入社までの期間を活用して職場との関係構築や情報共有を促進。入社初日からパフォーマンスを発揮できる環境づくりを支援している。さらに、入社後もエンゲージメントの定期測定によって離職リスクの兆候を可視化し、必要な対応を早期に打てる仕組みを提供。オンボーディング手続きの効率化と候補者体験の向上を同時に実現するSaaS型サービスとして導入が進んでいる。
企業HP:https://intersect.inc/company
法人向けに、業務ごとの目的に合わせた自律型AIエージェントを簡単に作成できるプラットフォーム「Askhub」を提供。業務タスクを入力するだけで、最短30秒でAIエージェントを自動生成でき、従業員自身が現場の業務自動化に取り組める環境を整えている。従来のツール型自動化とは異なり、柔軟なタスク処理やデータ活用が可能な高精度AI技術を採用。さらに、組織全体で業務知識を共有できるAIデータ基盤の構築にも注力し、全社レベルでのDX推進と業務効率化の両立を目指している。
企業HP:https://joycle.net
「ゴミを運ばず、燃やさず、その場で資源化する」ことをコンセプトに、小型IoTアップサイクル装置「JOYCLEBOX」を開発。液体金属を除く可燃ごみを現地で滅菌・減容・資源化し、焼却インフラに依存しない地域型の処理を実現する。装置の性能や環境・経済面への効果はクラウド型の可視化サービス「JOYCLEBOARD」で常時モニタリングでき、必要な場所に装置を届ける移動型の仕組み「JOYCLESHARE」も展開中。これらのサービスは複数が特許出願中であり、持続可能な資源循環型社会のインフラ構築を目指している。
企業ごとの業務フローや課題に最適化された生成AIソリューション「Kasanare」を提供。各部門で導入されているSaaSや自社システムとの柔軟な連携を前提に、情報検索の権限制御や操作ログの記録といった機能を実装することで、現場への実装負荷を軽減している。さらに、ユーザーの行動履歴や属性情報をもとに最適な質問内容をAIが先回りして提示する特許技術「グラクティブAI」を活用し、非エンジニアでも使いこなせる業務支援を実現。業務の属人化や情報の断絶を解消し、部門横断でのAI活用を促進する。
政策形成の初動を先読みし、自治体営業や政策渉外を支援するSaaSプラットフォームを提供。議会発言、新規予算案、入札公告などの公共情報をAIが解析し、特定テーマへの政策的関心の高まりをリアルタイムで検知・通知する。さらに、元国会議員秘書や官公庁出身者など、パブリック領域に精通した人材による伴走支援も組み合わせ、企業による公共市場への提案活動を継続的に支援している。
リアルタイム音声変換技術を活用し、新たな音声表現の可能性を切り拓くスタートアップ。独自開発のAIボイスチェンジャー「Paravo」は、一般的なCPU環境でも0.06〜0.08秒の超低遅延で音声変換を実現し、複数の声色をブレンドして架空の声を生成することも可能。さらに、アニメや映像作品を高速・多言語で吹き替える次世代サービス「Patra」の開発も進めており、映像制作やローカライズ領域での活用が期待されている。すべての登録音声は声優本人の許諾を得ており、コンプライアンスに配慮した安全な運用体制を整えている。
国際送金に伴うコストや着金トラブルを解消する決済サービス「RemitAid」を提供。日本企業が現地法人を設立せずに、自社名義で14の国・地域に現地口座を開設できる仕組みにより、為替手数料や中継銀行のコストを大幅に削減する。取引ステータスや手数料もリアルタイムで可視化できるため、従来の国際送金にありがちな不透明性や遅延リスクを回避可能。越境ECやグローバル展開を進める企業の海外送金インフラとして導入が進んでいる。
企業HP:https://deepagent.jp
画面情報を認識して自動操作を行うAIエージェント「DeepAgent」を開発。API連携に依存せず、画面上のボタンや入力欄を識別し、マウスやキーボードの操作を模倣する仕組みにより、老朽化した基幹システムや仕様が不明確な業務環境にも導入可能。クラウドを必要としない小型のローカル運用モデルも用意しており、オンプレミス環境への対応にも強みを持つ。現在は国内大手SIerと連携しながら、実運用に向けた導入検証を進めている。
企業HP:https://www.samuraiagents.jp
採用業務に特化した生成AIソリューションを開発・提供。エントリーシートの評価、面接内容の解析、オファー金額の提案といった非面接領域をAIが自動化し、採用担当者の工数と判断負荷を大幅に削減する。候補者の属性や社内の活躍人材データをもとにしたマッチング分析にも対応しており、データドリブンな人事戦略の実行を支援。HRBPO(採用業務代行)モデルも備え、大手企業を中心に採用業務全体の最適化を図っている。
自動車アフターマーケットのデジタル化を推進するスタートアップ。サブスクリプション型の車両診断機「TCMa」をはじめ、整備現場の作業効率や診断精度を高めるプロダクトを展開している。ソフトウェア故障コード(DTC)を含む電子制御化車両の診断ニーズに対応し、蓄積データをもとにした故障予測やメンテナンス提案の仕組み構築にも取り組む。整備工場や中古車販売店とのデータ連携を進めながら、現場のノウハウを産業全体で共有できる新たな流通インフラの構築を目指している。
B Dash CampのPitch Arenaは、スタートアップにとって自社のビジョンや技術力を発信できる貴重な機会であり、資金調達や事業成長の大きな転機となり得る。生成AI、フィンテック、宇宙、ローカルインフラなど、今年も多様な領域からスタートアップが集結し、各社が熱のこもったピッチを展開する。
昨年春の「B Dash Camp 2024 Spring in Sapporo」では、犯罪予測AI「CRIME NABI」を展開するSingular Perturbationsが優勝し、ブラジル各州との連携プロジェクトへと発展。秋の「2024 Fall in Fukuoka」では、ショート映画配信プラットフォームを運営する株式会社SAMANSAがPitch Arenaで優勝・野村賞をダブル受賞し、グローバル展開への一歩を踏み出した。さらに、業界特化型AIワークフローBPaaSを提供する株式会社BLUEISHがパーソル賞を受賞するなど、過去の登壇企業は着実に成果を上げている。
今回のPitch Arenaファイナルでも、どのスタートアップが頭角を現すのか。結果は、KEPPLEが現地から速報でお届けする。
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