宿泊関連事業を手掛けるスタートアップ6選

歴史的・文化的価値を持つ建築物の保全と活用に取り組む株式会社kessakuが、THESEED3号投資事業有限責任組合から3000万円の第三者割当増資を実施した。これにより、同社関連プロジェクト全体で累計1億円超の資金流入となった。
Kessakuは、日本各地に点在する歴史的建築を再生し、「泊まれる文化資産」として運用するホスピタリティ投資・運用プラットフォームを展開している。建築デザイン、テクノロジー、運営システムを統合し、歴史的建築の価値を次世代に継承する社会インフラの構築を目指している。
日本の名建築に新たな光を灯し、誰もが手軽に所有・利用・運用できるオルタナティブ資産として位置づけることを目標に、文化的価値を持つ建築物を収益と体験に変換しながら、持続可能な形で保存・活用していく仕組みを提供する。歴史とテクノロジー、投資とホスピタリティを融合させた、新しい文化資産の活用モデルを展開している。
代表取締役の藤井智大氏は、三菱自動車工業でデザイン戦略に従事後、Bally's CorporationでUXリサーチ部門の立ち上げを経験。2024年、歴史的建築を「泊まれる文化資産」として再生・運用するKessakuを設立。建築とテクノロジーを融合した新しい文化資産の継承モデルを展開中だ。
建築・不動産業界では、人口減少や都市部への人口集中を背景に空き家の増加と歴史的建造物の継承問題が顕在化している。総務省の2018年「住宅・土地統計調査」では、全国の空き家数は849万戸、空き家率は13.6%に達する。特に地方や伝統的建造物群保存地区では、物件の活用が難航している。一方、観光業ではインバウンド需要の回復や体験型観光の拡大を受け、特徴的な歴史的建築物への関心が高まっている。しかし、行政や個人所有者が維持コストを負担することや、資産としての流動性の低さが新たな投資参入の障壁となっている。
今回の資金調達を受けて、旧宿場町や城下町、旧街道沿いの歴史的建築物を対象としたプロジェクトの拡大、運営体制の強化、海外投資家や宿泊者への情報発信、地域社会との連携による観光資源化などを計画している。すでに岡山県矢掛町の旧山陽道宿場町や富山県南砺市五箇山文化圏にて、海外・国内投資家と連携した再生プロジェクトが進行中だ。
2026年1月には岡山県で豪商の旧邸宅、同年5月には富山県で明治時代築の伝統古民家が、それぞれ宿泊施設として開業予定である。さらに、京都市や金沢市、熱海市などでも次期プロジェクトが計画段階にある。
同分野では、伝統建築物を宿泊施設として活用する事業者や、空き家をリノベーションした民泊事業、投資型不動産クラウドファンディングなどが増加している。類似の取り組みとしては、小口投資によるホテルや別荘の共同所有モデル(ハフやアセットシェアリングなど)、重要伝統的建造物群保存地区を中心に展開する地方型宿泊ブランドなどが挙げられる。ただし、歴史的価値や芸術性の評価、文化資産としての投資回収性、運用の利便性、コミュニティ形成などにおいて、各サービスごとにアプローチやターゲット市場に違いが見られる。
kessakuは今後も、文化と投資が交差する新しい社会インフラとして、名建築を軸にした価値創造を続けていく方針だ。
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