自然を身近に感じるセカンドホーム、国内拠点倍増目指すSANUの展望

自然を身近に感じるセカンドホーム、国内拠点倍増目指すSANUの展望

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KEPPLE編集部


メンバーシップ制セカンドホームサービスを運営する株式会社Sanuが、金融機関からの借り入れや不動産投融資などによる70億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回の資金調達により不動産開発の加速、および拠点拡大を目指す。

自然を身近に感じるセカンドホーム

同社が運営する「SANU 2nd Home」は、都心から2時間程度でアクセスできる別荘をサブスク利用できるセカンドホームサービスだ。

現在使える拠点は首都圏を中心に15拠点78室。月額5.5万円を支払うことで、どの拠点でも予約して利用可能だ。未就学児を持つファミリー層や30代から40代の共働き世帯を中心に、ユーザー層は拡大を続けている。従業員への福利厚生として導入する法人向けプランも用意する。

ベランダでくつろぐ様子

拠点は人数や利用シーンに合わせて自由に選べる(写真:Sanu提供)


2024年2月には、共同オーナー型モデルとして「SANU 2nd Home Co-Owners」の提供を開始した。

従来のサブスクモデルと異なり、年間の宿泊日数に応じたプランで別荘の所有権を購入するモデルだ。年間の宿泊日数に応じて1口330万円から購入でき、余った宿泊日数はSanuが買い取る点で、サブスクプランに比べて利用の自由度が高い。

また、これまでに支払ったサブスク月会費の50%が最大で3年間分蓄積され、Co-Ownersの購入金額に充当される。ライフスタイルに合わせて、セカンドホームのサブスクから共同所有への切り替えがしやすい設計だ。

自然と触れ合うニーズの高まりに投じた一手

Sanuは、現在代表を務める福島 弦氏とブランドディレクターの本間 貴裕氏が共同で創業。それぞれが自然豊かな土地で育ち、共通の知り合いを介して出会い、意気投合したことで自然をテーマとした大きなプロジェクトがスタートした。

まず掲げたのが「Live with nature./自然と共に生きる。」というミッション。セカンドホームの構想には約2年を要した。

創業当初に構想していたのはホテル事業だが、コロナ禍の影響で方向転換を検討した。コロナ禍で顕著に感じていたのが、自然を求める声の高まりだ。

自然と触れ合うニーズが大きくなり、地方移住する人も増えた。地方移住のハードルは徐々に下がっているものの、特にファミリー層には簡単に下せる決断ではない。

そこでまずは都市部に暮らす人々を自然に連れ出し、自然を身近に感じてもらう。そして自然を好きになることで、自然を大切に想う人・行動に移す人が増えてほしい。「自然の中の暮らし」を体験できる選択肢を作ろうと、セカンドホームサービスに行きついた。

自然に配慮した「循環する建築」

SANU 2nd Homeのコンセプトは「自然の中にあるもう一つの家」だ。ホテルでの宿泊ではなく、「安心できる我が家」のような体験を非日常の自然環境に木造建築で提供する。

同社オリジナルの建築は4種類。「SANU CABIN BEE」や「SANU LOFT SKY」はキッチンをメインに設計され、自然光が取り込まれる広々とした設計になっている。

SANU LOFT SKYの内装

リビングとベッドスペースがフロアで仕切られたメゾネット様式のSANU LOFT SKY(写真:Sanu提供)


SANUはなるべく環境負荷を抑え、自然環境に配慮した建築を重視している。例えばSANU CABIN BEEは、内装に釘をほとんど使わず、50年後に解体しやすいようデザインした。

SANU CABIN BEEの内装

ハチの巣から着想を得た設計のSANU CABIN BEE(写真:Sanu提供)


空き家の再利用には、景観を損なうことや断熱性の低さなど課題も多い。伐採適齢期の樹木を活用したセカンドホーム建築にこだわり、植樹も行うことで自然資本の循環や再生を促すだけでなく、地域の持続可能性にも貢献する「リジェネラティブな企業」を目指して取り組む。

4月16日には、新たな建築モデルの「SANU CABIN MOSS」を発表した。より多様な自然立地への展開を視野に入れ、豪雪地帯などの厳しい自然環境にも建設可能なプロダクトとして設計した。

第一弾拠点は北軽井沢に決定。開業時期は2024年7月末の計画だ。他にも日本を代表する山岳地帯を中心に、2025年冬までに北軽井沢の拠点を含めた7拠点の開業を予定している。

2025年には、利用可能な拠点を30拠点200室に拡大予定だ。今回調達した資金の使途や今後の展望について、代表の福島氏に話を伺った。

スタートアップスカウト

需要に応える不動産開発を加速

―― 調達資金の使途について教えてください。

今回調達した70億円のほとんどは、不動産の開発資金に充てる予定です。足元の開発だけではなく先も見据えた土地の調査を進め、スタンバイ状態のプロジェクトを増やしていきます。

当社は、ソフトウェアを活用しながら、分散するプロパティを1個の基幹システムで統合的に管理する事業モデルです。これからさらにスケールメリットが期待できるフェーズのため、人材を急速に増やすというよりは筋肉質な経営を意識しています。

―― 今回は借り入れやベンチャーデットを組み合わせた資金調達を実施しました。

当社事業はその特性上、事業拡大に多額の資金を必要とします。そのため資金のすべてをエクイティで調達すると、株式の希薄化につながります。

これまでの個人向け・法人向けサブスクリプションのビジネスに加え、先に収益を回収できる共同所有のモデルも開始をしたことで事業全体の収益性が高まりました。また、今では、スタートアップでも利用できるベンチャーデットが充実しています。これだけ拡充したベンチャーデットを活用しない手はないと、今回はデットを中心に資金調達を行いました。

日本の自然ブランドを海外に

―― 2025年には、拠点を倍増させる計画です。

現在首都圏を中心に展開していますが、関西圏や東海エリアなど、大規模な人口が集中する都市圏への拡大は必須です。大都市圏から2時間圏内に入る自然豊かな場所を中心に、北海道から奄美大島まで広く展開し、2025年には拠点を30拠点200室に拡大します。

また、都市化が急速に進む東南アジアや韓国・中国では、キャンプの流行など、30代から40代の中間層を中心に自然に対するニーズが生まれています。多くのインバウンド観光客が富士山やニセコを訪れるように、日本の自然ブランドは価値が非常に高いのです。我々は、リジェネラティブな建築を一つのプロダクトとして捉え、海外に対しても勝負していきます。

SANU CABIN MOSSのパースイメージ

4月には新建築モデルの「SANU CABIN MOSS」を発表した(写真:Sanu提供)


―― 今後の意気込みをお願いします。

当社のような不動産性を伴うスタートアップは、ガバナンスの観点も含め舵取りの難しいビジネスです。世界的に見てもあまり成功事例が多くないモデルではありますが、引き続きスピード感を保ちながら事業をスケールさせることが重要です。

ライフスタイルの分野で巨大産業になるポテンシャルを秘めた事業として、日本から世界に向けたより良い事業を作っていきたいと思います。


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