革新と伝統による共創、NFT×格闘ゲームが示す未来図とは

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KEPPLE編集部

格闘ゲーム型NFTプロジェクトを展開するクリアーション株式会社が、親会社である米国法人のKreation Verse Inc.を対象とした総額210万ドル(約3.1億円)の資金調達を実施したことを明らかにした。

本シードラウンドの引受先はグローバル・ブレインやSpiral Capitalなど。ウォルト・ディズニー・カンパニーのアジアゲーム部門を牽引したジャスティン・スカルポーネもエンジェル投資家として参加し、アドバイザーに就任した。

今回の資金調達により、同社が開発するNFTカードゲームのモバイルゲーム版ローンチを目指す。

格闘ゲーム型のNFTプロジェクトを世界へ

クリアーションは、「日本のブランド・コンテンツをグローバルに届ける」ことをビジョンにNFTプロジェクトを展開している。

設立は2021年3月。ファッションブランドの「Maison MIHARA YASUHIRO」のNFT企画やサイバーファッションレーベル「THE HOUSE OF INSOMNIA」など、ファッションとWeb3を繋ぐNFTプロジェクトを展開してきた。

2022年9月には、日本初IPコンテンツとWeb3を繋ぐ取り組みとして、格闘ゲーム型のNFTプロジェクト「Twelve Anonymous Tournaments(以下、TAT)」を開始。プロジェクト立ち上げ後、TATローンチに際して用意された5555のNFTアートコレクションの内、5000を配布した。

TATイメージ
NFTホルダー向けには、Discord上でNFTを用いたゲームをテスト的に提供している。今後はNFTを持たない人でも遊べるNFTカードゲームとして、モバイルゲーム版のローンチを2024年に予定している。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 小川 智也氏に今後の展望などについて詳しく話を伺った。

ゲームとしての魅力を重視した設計

―― NFTアートやNFTゲーム市場の現状について教えてください。

小川氏:近年はNFTへの関心も高く盛り上がりを見せていましたが、2021年をピークに取引金額は減少しています。取引の多くは投資目的によるもので、NFTアートを持つことの価値は、値上がりによって儲けることへの期待がほとんどだったと思います。

ゲームをプレイすることでお金を稼げるNFTゲームも、これまではゲームとしての面白さよりも、稼げるかどうかに注目が集まっていました。一方で、面白いゲームでなければ、コアなゲーマーは定着しません。そのため現在では、NFTゲームであっても、ゲームとしての面白さがより求められる傾向にあります。

モバイルゲームの市場としては、2019年から2023年まで、景気のリセッションを経てもグローバル全体で市場成長が続いています。モバイルゲーム市場が伸び続ける中で、Web3技術を活用したNFTゲームを楽しむ人は世界的に増えていくと考えています。

――ゲームとしてのTATにはどのような特徴がありますか?

基本的なゲームの仕組みとしては、ゲーム内でガチャを引いて獲得したキャラクターを育て、バトルするようなイメージです。NFTを持っているかどうかにかかわらず遊ぶことができます。

NFTを重視しすぎると、ゲームとしてのユーザー体験を損なう可能性があります。NFTゲームの裾野を広げていくために、従来型のモバイルゲームとしても多くの人が遊べて、NFTに関心のある人は好きなキャラクターをNFTとして所有することもできるよう設計しています。

海外でもファンの多いドット絵や、格闘ゲーム風のキャラクタービジュアルには力を入れています。また、ゲームコンテンツ自体も、まだ構想段階ではありますが、カードバトル型で、かつ、スロットのゲーム体験を取り入れて遊びやすさを重視しています。

キャラクターイメージ
NFTゲームでは、ゲーム内通貨としてトークンを発行してインセンティブとすることもありますが、TATでは少なくとも最初のフェーズではトークン発行は考えていません。トークンありきでユーザーを集めることよりも、ゲームやキャラクターの魅力を感じるファンが遊んでくれて、さらにNFTの購入につながるような体験にフォーカスするためです。

スタートアップスカウト

―― 創業のきっかけを教えてください。

これまでは、一貫してモバイルゲーム分野のビジネスに携わっていました。DeNAでは執行役員経営企画本部長を、アカツキではCFOや海外投資の責任者を務めました。

以前から、日本のコンテンツをどのように海外に持っていくかには強い関心がありました。NFTやWeb3などの新たな技術がある中、ビジネスとしてのチャンスもあるのではないかと思ったことが起業の背景です。

NFTは売買できるアセットとして、新たなIPビジネスの可能性がある一方で、まだ市場としては黎明期のため、既存のIPとの連携はすぐには難しいだろうと考えていました。そこで、オリジナルプロジェクトとしてTATを立ち上げ、市場ニーズの確認や初期のコアなファン獲得を目的として、2022年10月にNFTアートの配布を行いました。

グローバルなWeb3パブリッシャーを目指す

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

これまでは、Discord上で遊べるミニゲームをトライアルとしてユーザーに提供していました。今後は開発をさらに加速させ、一つの完成したゲームとして提供するための資金として調達を行っています。

キャラクターイメージ
まずはゲームとしてきちんと形にしたうえで、アメリカや日本に加えて、英語圏の先進国を中心に展開する予定です。次回シリーズAラウンドの資金調達までには、ゲームの海外展開で得たナレッジやノウハウを、パブリッシャーとして他のコンテンツにも転用できるケイパビリティを示すことをマイルストーンとしています。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

モバイルゲーム版のTATは、2024年中にテストローンチする予定です。基本プレイは無料で、NFTの要素は、GoogleやAppleのレギュレーションに沿って組み込んでいく計画です。

NFTと組み合わせてゲーム体験を高めると同時に、ユーザーがNFTを持つことによるメリットや価値を提供していくことも重要です。ローンチ後の次のステップとして、コンテンツを多くの人に届けるためにも、ファン向けのロイヤリティプログラムのような仕組みの構築を検討しています。

弊社は、米国を中心としたグローバルな市場で事業を行っているという特徴があります。事業を行う中で、改めて日本のコンテンツの海外市場でのポテンシャルを感じます。この知見を活かし、事業会社とのパートナーシップなども行いながらチャレンジを続けていきたいと思います。

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