ゴーグル不要の没入体験—フォレストデジタルが1.3億円調達し事業拡大へ

片道専用レンタカー事業「カタレン」を運営するPathfinder株式会社がプレシリーズAラウンドにて、第三者割当増資による1.1億円の資金調達を実施したことを明らかにした。
今回のラウンドでの引受先は、ANOBAKA、キャナルベンチャーズ、W fund、三菱UFJキャピタル、セゾン・ベンチャーズ、ミナミインキュベート、個人投資家。
今回の資金調達により、システム開発や事業会社との連携、採用強化を目指す。
カタレンは、多数のレンタカー・カーシェア事業者と提携し、回送車両やレンタカーの上り片道利用ユーザーと下り片道利用ユーザーをマッチングさせる、片道乗り捨て専用レンタカーサービスだ。本来レンタカーとして利用されない車両を活用するため、事業者は回送コストを抑えるだけでなく収益に変えることが可能となる。また一般のレンタカー事業者であれば、必要な車両数も削減することができる。
レンタカー利用経験者は約80%と多いが、片道乗り捨てを経験した人はわずか10%と少ない。片道乗り捨てには、基本料金に加えて乗り捨て料金がかかり、これが通常の料金の4倍になることが一因となっている。車庫法により1ヶ月以内に元の場所に車両を戻す必要があるため、移動にコストがかかる。
カタレンで、移動して欲しい車両とユーザーをマッチングすることで、車両の有効活用が可能となり、同時にユーザーの片道利用のニーズにも応えることができる。LINEから予約が可能で、アプリを使ったスマホでの鍵の解錠・施錠を実現する。乗り捨て料金は不要で、低価格プランの提案が可能だ。
現在は、人口密度の高い東名阪や、片道ニーズの高い北海道、九州を中心に展開。ユーザー数は、2023年12月時点で20,000人を超え、さらなる拡大を目指す。
ニコニコレンタカーをはじめ、大手レンタカー会社、リース会社、成田空港などと提携。
また、ライドシェアサービス「notteco」を運営するアディッシュプラスとの事業連携も行い、来春に限定解禁となるライドシェア利用拡大に向けて、両社の強みを活かし、より効果的かつ魅力的なサービスの提供を進める。
今回の資金調達に際して、代表取締役 小野﨑 悠介氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。
―― これまで、レンタカー業界にはどのような課題がありましたか?
小野﨑氏:片道レンタカーのニーズはありますが、移動コストが高いために実現が難しい状況があります。その結果、全国各地でレンタカー車両が固定化されています。
例えば、観光地などで需要が高まり、車両の在庫が不足している場合でも、移動コストの制約から隣の県などから迅速に補充することは難しい状況です。そのため、車両の稼働率は、業界平均で50%と流動性が低く、遊休車両が多く存在します。
さらに、タクシー業界やバス業界などでもドライバー不足が深刻で、一部地域ではタクシー空白地帯が生じていることも課題となっています。
また、Google Mapなどを用いて行き先を検索すると、バスや電車、タクシーなどさまざまな移動手段が提示されます。しかし、レンタカーやカーシェアなどの車に関する情報は未だ十分に連携されておらず、網羅されていない状況がありMaaS化できていません。
―― 他社との実証実験など、ビジネスの進捗について教えてください。
現在、大手レンタカー会社やリース会社、地方の公共交通機関と提携し、各所で実証実験を行っています。
レンタカー業界は、地方では主にフランチャイズ展開が行われています。そのため、まずは提携先企業の直営地域で実証実験を進め、成功すればフランチャイズ展開に拡大するというステップが必要です。このようなプロセスを各社と段階的に進めています。
また、当社はすでに30台の自社車両を所有しています。今後展開したい地方エリアで先行して集客を行い、ニーズを明らかにしたうえで、安心して提携いただけるよう事業を展開していく予定です。
―― 調達資金の使途について教えてください。
車の配置・回遊データを収集し、最適な配置を決定するアルゴリズムの開発・運用を進めます。同時に、CXOの採用を進め、エンジニアを中心にした人材採用も強化します。また、2024年夏頃までに現在の30台から約50台まで、自社車両を増車する予定です。
大手レンタカー事業者、各種MaaSスタートアップとの協業、実証実験及び開発を加速させるとともに、「カタレン」事業の成長に注力していきます。
――「notteco」との事業連携の背景や目的とは?
nottecoの運営会社であるアディッシュプラスは、MaaS事業者向けカスタマーサポートを提供しており、当社のカスタマーサポートもアディッシュプラスに一部委託しています。また、自社でライドシェア事業を先駆けて展開されています。
nottecoは、趣味が共通する人々が長距離中心に都市間移動で相乗りし、費用を分担する割り勘型のライドシェアです。距離や移動形態、エリア、ユーザー層が当社と共通していることがわかり、協議を重ねて提携に至りました。
来年4月にはライドシェアの限定解禁がはじまることもあり、カタレンユーザーの車に、nottecoを利用して相乗りするユーザーをマッチングするなど、相互の送客が実現できることを目指しています。
―― 今後の長期的な展望を教えてください。
現在は、業界の課題に取り組みつつ、着実な成長を遂げるために、カタレンというマッチングサービスを展開していますが、最終的には自動運転化を見据えたMaaS化を目標としています。
2027年には一般道で自動運転の実証実験が始まる見通しです。その前に、MaaS化を進め、自動運転が実現した際にもスムーズに切り替えられるようなシステムを構築していきたいと考えています。
1台を3人で共有したり、空車を有効に利用するなど、一人ひとり、1台1台をしっかりつないでいくことで、隙間時間を最小限に抑え、車両の利用を効率的に進めることができます。これらの取り組みを通じて、持続可能なモビリティサービスを実現することを目指しています。
Pathfinder株式会社は、片道専用レンタカーのマッチングサービス『カタレン』を提供する企業。 『カタレン』は、出発店舗・返却店舗が固定のレンタカーマッチングサービス。同サービスは、2020年12月3日にβ版モニターの募集を開始した。
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