世界に挑む技術が一堂に──「NEP Pitch -2024躍進ファイナル-」開催レポート

世界に挑む技術が一堂に──「NEP Pitch -2024躍進ファイナル-」開催レポート

Written by
KEPPLE編集部
xfacebooklinkedInnoteline

2025年8月26日、ディープテック分野のスタートアップ24社が集結したピッチイベント「NEP Pitch -2024躍進ファイナル-」がベルサール虎ノ門で開催された。

本イベントは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催する起業家育成事業「NEP(NEDO Entrepreneurs Program)」の一環として実施されたもので、2024年度の「躍進コース」に採択された企業による最終成果発表の場となる。

NEPは、ディープテック分野の研究者・起業家候補を支援する育成プログラムで、「開拓コース」「躍進コース」の2つで構成されている。「躍進コース」は、創業初期にあるスタートアップに対して、事業化検証や資金調達支援、メンタリングなどを提供し、社会実装に向けた成長を後押しする制度だ。

本イベントでは、各社のピッチに対してベンチャーキャピタリストや業界有識者による審査が行われ、将来性や技術力、社会的インパクトなど多角的な観点から優れた企業が表彰された。

各分野の専門家が多角的な視点で挑戦を審査

審査は、ディープテック領域で投資・事業支援の経験を持つ専門家5名が担当。事業の社会的意義、技術の独自性、市場性、チーム力など、複数の観点から評価が行われた。

審査員一覧:

  • 東 博暢(株式会社日本総合研究所 プリンシパル)
  • 潮 尚之(ITPC 代表)
  • 尾﨑 典明(S factory 代表)
  • 河合 将文(東大IPC パートナー)
  • 具島 三佳(QBキャピタル シニアアソシエイト)

VC賞──将来性に期待集まる2社が選出

VC賞は、審査員を務めたベンチャーキャピタルの視点から将来性・市場性が高く評価された企業に贈られる。

テクモフ株式会社

MOF(Metal Organic Framework)を活用した分子構造決定技術を展開。従来では構造解析が困難とされていた分子の同定を高精度・高効率で実現し、創薬や材料開発分野における応用が期待されている。

テクモフ社代表の画像
テクモフ株式会社は2024年に設立された東京科学大学発のスタートアップ

審査員からは、「分析技術を“データビジネス”へと昇華する発想力に可能性を感じた」と評価された。代表の坪井千明氏は「我々の本質が伝わったことを嬉しく思う」と述べた。

VentEase株式会社

横隔神経を刺激することで人工呼吸器患者の自発呼吸を補助する医療デバイスを開発。既存の人工呼吸器では代替が難しかったQOL改善を目指し、重症患者のリハビリや長期療養環境に革新をもたらす可能性がある。

代表の篠倉啓純氏
昨年8月に共同研究者である玉川友樹氏(心臓血管外科医)と起業、現在はシリーズAの資金調達に挑戦中

医師と連携した実証を進めており、「恐れを感じるほど革新的」という審査員の声もあった。代表の篠倉啓純氏は「医療現場の課題を技術で突破したい」と意欲を語った。

躍進500部門──研究から事業へ、大きな一歩を踏み出した3社

最優秀賞:SPHinX株式会社

C型肝炎の早期発見を目的とした迅速診断キットを開発。従来の診断手法よりも簡便かつ高精度な検出が可能で、感染拡大防止に寄与する。

代表の荏原充宏氏
SPHinX株式会社は2024年に設立されたNIMS発のスタートアップ

代表の荏原充宏氏は「1年前に会社を設立したばかりだが、医療現場のリアルな課題から出発し、着実に実装へと歩んでいる」と語った。審査員からは「タイミング、技術、市場の全てが合致しており、国際的な普及も期待される」との声が上がった。

優秀賞:株式会社IZANA

超高感度の磁気センサによる生体磁気計測を可能にするデバイスを開発。心臓や脳などの微弱な生体信号を非接触で測定し、診断精度の向上に寄与する。

代表の大前緩奈氏
株式会社IZANAは2024年に設立された名古屋大学発のスタートアップ

代表の大前緩奈氏は「研究者としての経験と、育児と両立する起業というチャレンジの中でこの成果にたどり着けたことが嬉しい」とコメント。審査員からは「実用化への道筋が明確で、かつ多様な応用可能性を持つ」と評価された。

優秀賞:株式会社Egret・Lab

エクソソーム創薬に向けた高回収率・高純度の精製技術を確立。微粒子レベルでの抽出精度を高めることで、新たな創薬プラットフォーム構築に貢献する。

代表の矢野慎一氏
株式会社Egret・Labは2023年に設立された徳島大学発スタートアップ

代表の矢野慎一氏は「発明者である阿部先生の志を引き継ぐチームとして、この成果を社会に届けたい」と語った。審査員からは「学術的な発見を商業化へとつなげる力が印象的」とコメントが寄せられた。

躍進3000部門──実装フェーズでの突破力が光る3社

最優秀賞:株式会社Space Weather Company

宇宙天気(太陽活動による地磁気・電磁波の変動)をAIで予測するシステムを開発。通信・電力・航空などに対する影響を事前に把握することで、産業全体のリスクマネジメントに貢献する。

代表の高崎宏之氏
涙ながらにメンバーへの感謝の気持ちを伝える代表の高崎氏

代表の高崎宏之氏は「誰かがやらねばならない分野として、国益に資する取り組みであると信じている」と語り、審査員からは「防衛・インフラ・宇宙の三領域にまたがる重要技術」として高評価を受けた。

優秀賞:ディーウェザー株式会社

局地的な気象現象(微気象)をリアルタイムで予測する独自の気象予測基盤を構築。都市計画、防災、農業など多様な分野での応用が期待されている。

代表の大西領氏
ディーウェザー株式会社は2023年に設立された東京科学大学発のスタートアップ

代表の大西領氏は「小さな風や熱の変化を捉える技術で、気象の概念を拡張したい」と語った。審査員からは「実装に向けた計画性と社会課題への適合度が高く、分野横断的な応用が期待される技術」との声が寄せられた。

優秀賞:グラフェナリー株式会社

量産型チップ上にグラフェンを形成し、革新的な赤外光源・センシング技術を実現。高感度・小型・低消費電力という特性を活かし、医療・環境モニタリング・宇宙分野への展開を見込む。

代表の牧 英之氏
グラフェナリー株式会社.は2024年設立の 慶應義塾大学発スタートアップ

代表の牧 英之氏は「国内外の高度な要求水準に応える技術を届け、世界の社会課題解決に貢献していきたい」と語った。審査員からは「日本発の先端材料技術が世界市場を狙う好例」と評価された。

閉会のことば──挑戦の積み重ねが未来をつくる

最後に登壇したNEDOスタートアップ支援部NEPチーム長の白木聖司氏からは、「NEPに参加した皆さんのピッチ内容が、確実に“研究”から“事業”に変わってきている」との評価があり、「本日の発表はゴールではなく、ここから先に続くステップ。その道のりを一歩ずつ進んでほしい」と、すべての登壇者に向けて温かい言葉が贈られた。

その他のピッチ登壇企業一覧

以下は、今回のピッチに登壇したスタートアップの一覧。(受賞企業を除く)

  • 株式会社Walkable Future:血管新生治療薬の新規開発アプローチ
  • ゲノム・ファーマケア株式会社:個別化医療支援のための医薬投与設計支援
  • 株式会社Nocnum:し尿由来の栄養素資源回収システムの開発
  • 株式会社MOLFEX:分子設計支援ソフトの研究開発
  • 株式会社フルエリア:動物由来コラーゲン繊維の製品化と市場構築
  • OICT株式会社:非接触型温度センサ技術の開発
  • トヨチ合同会社:大気圧プラズマ溶射装置の研究開発
  • 合同会社風力発電機研究所:無限寿命風車の開発
  • SAKIYA株式会社:配管位置透視用自走式スキャナの開発
  • Dアミノ酸ラボ株式会社:動物用腎機能検査技術の開発
  • 株式会社amidex:歯科用修復インデックスの高精度化
  • 株式会社スパインクロニクルジャパン:椎体骨折治療材料の開発
  • 株式会社WAKU:CO2固定型有機肥料の開発
  • 株式会社QioN:革新的イオン伝導膜の電解合成デバイス
  • 光オンデマンドケミカル株式会社:バイオガス由来の光化学品生産技術
  • 株式会社ExtenD:ダイヤモンド電子舌センサの量産化

新着記事

STARTUP NEWSLETTER

スタートアップの資金調達情報を漏れなくキャッチアップしたい方へ1週間分の資金調達情報を毎週お届けします

※登録することでプライバシーポリシーに同意したものとします

※配信はいつでも停止できます

ケップルグループの事業