デジタル受付の先駆者、RECEPTIONISTがもたらす受付業務の未来像

デジタル受付の先駆者、RECEPTIONISTがもたらす受付業務の未来像

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KEPPLE編集部


クラウド受付システムを運営する株式会社RECEPTIONISTが、第三者割当増資による資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、Bonds Investment Group、Salesforce Ventures、De Capital1号投資事業有限責任組合、ベクトルなど合計5社。

今回の資金調達により、年間1000万人が利用するプロダクトとしての成長を目指す。

非効率な取次ぎをなくす受付システム

同社が提供する「RECEPTIONIST」は、受付の社内取次ぎや受付票の記⼊、来客者情報の管理などを効率化する受付システムだ。

サービスイメージ
内線電話の代わりとして受付にiPadを置き、来客者がiPadを操作することで、約束している相手を呼び出すことができる。呼び出しを行うと、チャットツールや着信音・メール等で担当者に通知されるため、従来発生していた内線電話の取次ぎがなくなる点が特徴だ。

RECEPTIONISTは2017年1月にリリースし、年間200万人が企業での受付時に利用している。

同社はそのほか、日程調整ツールの「調整アポ」や会議室予約システム「予約ルームズ」を提供する。それぞれ単独のツールとしての利用のほか、RECEPTIONISTと組み合わせた利用が可能だ。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 橋本 真里子氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

受付業務の経験を活かしたプロダクト

―― 御社はどのような課題解決に取り組んでいるのでしょうか?

橋本氏:我々が感じている課題として大きいのは、有人でも無人でも、受付を通じて内線電話で呼び出しがあると、執務エリア内で取次ぎが発生する点です。誰かが内線に出て担当者を探し、来客を伝達する手間がかかってしまいます。

外線や内線電話の対応をするアシスタント業務は総務や女性、若手社員が行う、といった慣習が残る企業も少なくありません。自分に関係のない来客に時間を割くことは、生産性や集中力の妨げにつながります。

受付担当は来客の取次ぎのほか、会議室の利用終了時間が近づいた際、会議室に足を運んで退室を促すなど、会議室の管理も役割の一つです。また、会議室が予約されているのに、実際には利用されていないこともあります。こうした背景から、デジタル化の時代にもかかわらず、実際に会議室の様子を確認しに行かなければいけないんです。

当社は来客受付を基軸に、このようにさまざまな形で発生している受付全般に関する課題解決に取り組んでいます。

―― 創業のきっかけを教えてください。

私自身が企業の受付として10年ほど勤務した経験があり、受付業務のあり方が変わらないことに疑問を感じていました。

人が介在する既存の受付は、お客様や受付スタッフ、取次ぎを担う社内メンバーにとって負担だったんです。取次ぎをなくして受付業務を効率化したいという思いが芽生え、当時はそうしたソリューションを提供する企業が存在しなかったため、RECEPTIONISTを創業しました。

いつかは起業したいという思いがあったわけでも、開発技術を持つわけでもない一方で、受付業務に関しては熟知している自負がありました。先輩起業家からのアドバイスもあり、受付業務とプロダクト開発の間を取り持つプロジェクトマネージャーを採用し、RECEPTIONISTの開発を進めました。

―― RECEPTIONISTにはどのような特徴がありますか?

RECEPTIONISTでは、通話の機能を持たせないことを大きなコンセプトとしています。電話で会話をすると、取次ぎが発生してしまい、受付システムを導入するメリットが減ってしまうためです。

加えて、往訪時に往訪相手の部署名は入力不要としています。受付としての経験上、受付で約束している相手の名前を伝える際、名前は憶えていても部署名まで覚えていることはほとんどないんです。そのためRECEPTIONISTでは、名前がわかれば呼び出しができるよう設計しています。

サービスイメージ
このように、受付業務への経験をもとに、来客者や導入企業のそれぞれにとって使いやすいよう機能開発を進めています。

―― RECEPTIONISTリリース後のユーザーの反応について教えてください。

初回商談では総務部門とお話をすることが多いのですが、我々が解決したい課題に対する共感をしてくださる方が多く、初回商談でトライアルや導入を決めてくださることも少なくありませんでした。多くの方にとって課題となっていたことを実感し、毎日やりがいを感じていました。

コロナ禍のタイミングでは、商談の失注や中断も一部発生し、ビジネスへの影響もありましたが、大企業を中心に受付をシステム化することへの関心が強まり、結果的に見込み顧客の属性も広がってきています。

データを活かした新たな価値提供へ

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

1日でも早く多くの企業に当社プロダクトの価値を感じていただくための成長資金として、今回の資金調達を行いました。プロダクトの機能拡充に資金を充当します。

コロナから数年たち、オフィス回帰や、ハイブリッドワークを継続する企業などさまざまですが、大手企業からのお引き合いも増えているので、よりサービスの利便性を高めていくことに注力していきます。

また、以前から引き続きSalesforce Ventures様に出資いただいていますが、当社プロダクトはSalesforceとの親和性が高く、連携した機能はすでに実装しています。今後もより深く連携した機能強化を進めていく予定です。

―― 今後の展望を教えてください。

大手企業を中心に受付システムの利用は進んでいますが、来客が生じる企業すべてが潜在顧客であると考えると、まだ日本国内の1%もシェアを取れていません。まずは少しでも多くの企業に当社ソリューションを提供し、近いうちに年間1000万人以上にRECEPTIONISTをご利用いただけるよう取り組みます。

コロナ禍により、名刺など個人情報を交換する機会は減少しました。一方で当社は来客に関するデータの収集や日程調整の機能を提供することで、社内メンバーが外部のどういう人とコンタクトしているのかなどのデータを取得することが可能です。

こうしたデータを活用して、社内外のコミュニケーションの可視化など、企業の業務効率化に関する新たな価値提供を、近い将来には具体的にお見せしていきたいと思います。

RECEPTIONISTは多くのビジネスパーソンから支持を受けており、ユーザーのフィードバックがプロダクトの成長につながっています。当社自身も、プロダクトをユーザーと創っている意識は非常に高く、ステークホルダーが増えるほどよいサービスに成長できると思っていますので、さまざまな角度から各社と連携してプロダクトの提供価値を高めていきたいと思います。


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