ベトナムの事業者向けに野菜を中心とした食材の卸売事業を展開するKAMEREO INTERNATIONAL PTE. LTD.(以下、KAMEREO)がシリーズBラウンドにて、約12億円の資金調達の実施を明らかにした。
今回のラウンドでの引受先は、住友商事、インスパイア・インベストメント、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタル、レアゾン・ホールディングスの5社とその他個人投資家。
同社は、ベトナムの事業者向けに野菜や冷凍食品、調味料、飲料、乳製品など2000種類以上の食材を取り扱う卸売専用のEコマースサービスを展開している。自社開発のモバイルアプリやウェブサイトを通じて、注文から配送管理、在庫管理までのプロセスを効率化。野菜を中心に100を超える契約農家と協業し、コールドチェーンを活用した食材供給システムを構築している。社内エンジニアチームが開発したシステムにより、コスト削減とミスの軽減を実現する。
ベトナムの食材流通市場は、従来の多重構造で非効率な仕組みに課題を抱えていた。大手卸売業者や農協が存在しない状況下で、同社は独自の技術とサプライチェーンモデルを構築し、推定15兆円規模の巨大市場で事業拡大を加速させている。
KAMEREOは、留学経験や海外事務所の立ち上げに携わった田中 卓氏が、2018年6月に設立した。大学卒業後、クレディスイス証券日本法人で株式営業に従事。その後、人気レストランチェーン「Pizza 4P's」で取締役COOとして、部門統括やハノイ事務所および店舗の立ち上げなどを務め、2018年にKAMEREOを創業した。
サービスは2018年6月に提供開始。リリースからの約6年で、ベトナム南部のホーチミン市を中心に3000以上の事業者が利用する。2021年5月に実施したシリーズAの資金調達以降、飲食店を中心にスーパーマーケット、コンビニ、学校、病院など幅広い業種に拡大している。昨年よりプライベートブランドの開発を強化しており、今回の調達資金を活用してさらなる開発を進める予定だ。具体的には、スーパーマーケットやコンビニ向けのカット野菜、カットフルーツ、消耗品の自社ブランド化による認知度向上とコスト削減を計画している。
2024年12月にはハノイへ事業参入し、ベトナムのGDPの50%以上を占める2大都市をカバー。業務スーパー事業を運営する神戸物産と包括事業提携を結び、約450商品を取り扱うマーケットプレース事業も開始した。将来的には、ベトナム全土をカバーする配送体制の構築を目指している。
今回の調達資金は、ベトナム国内の複数都市展開、取り扱い商材の強化、自社輸入事業、プロダクト機能の開発などに充当する。
画像はKAMEREOプレスリリースより