バーチャルオフィスツール市場が2025年までに180億円に拡大
コロナ禍が落ち着きを見せる中で、出社とリモートワークを合わせたハイブリッドワークやフリーランスなどさまざまな働き方が一般的になってきており、バーチャルオフィスの市場は成長し続けている。
バーチャルオフィスとは、物理的なオフィススペースを持たずにビジネスアドレス、電話応対、郵便物の取り扱いなどのサービスを提供するビジネスモデルだ。これにより、企業はコスト削減と柔軟な働き方を実現できる。
矢野経済研究所※によると、2020年度の仮想オフィスツール市場の市場規模は、前年比625.0%の2億5000万円となった。2025年までには180億円に拡大すると予想されている。
スタートアップ4選
oVice株式会社
企業HP:https://ovice.in/
バーチャルオフィスやオンラインイベントで使える2Dバーチャル空間「oVice」を開発・運営する。ユーザーはアバターを自由に動かして会話することができる。また、 ダウンロードやインストールは不要で、ブラウザで開くことで使用可能だ。さらに、画面共有やスピーカー、HDビデオやオーディオの機能も搭載されている。
2022年8月には、シリーズBラウンドにて第三者割当増資および融資による総額45億円の資金調達を実施した。同時に、コクヨと業務提携を締結した。2024年6月には、アイティクラウドが主催する「ITreview Best Software in Japan 2024」のTOP50に選出された。
VoicePing株式会社
2Dバーチャルオフィスサービス「VoicePing」を運営する。バーチャルオフィス上で一定の範囲に入った相手との通話や各メンバーのステータスおよび使用アプリを確認できる。 ステータスに合わせた声かけ、40ヶ国語以上のリアルタイム文字起こし&翻訳、活動ログの記録や確認など多様な機能を揃える。
2024年4月には、新しいフロア背景画像の追加、新規ホワイトボード、PCアプリ・ウェブアプリの改善、ZoomやTeams、Google Meetなどの音声翻訳と録画機能追加、AI要約の改善などのアップデートを発表した。
ラウンズ株式会社
声のバーチャルオフィス「roundz」の開発・運営、リモートワークメディア「シゴトバ 」を運営する。roundsはカメラを使用せず、音声通話機能に特化している。
マイクと画面共有の二つのボタンの操作で簡単に使いこなすことができ、幅広い年代に利用される。さらに、連携したカレンダーの予定や、キーボードの利用状況から相手の「話せる/話せない」かの状況を自動判別する。多様な機能で、リモートワーク下でも出社時のような会話の実現を目指す。他にも、リモートでキャリアアップを目指せるマネージャー育成プログラムも提供している。今後は潜在顧客である地方の中堅・中小企業向けに営業し、2026年期末には6000社の有償導入を目指す。さらに、インドネシアや韓国などアジアをターゲットとした展開を見据えている。
株式会社OPSION
2Dのバーチャルオフィスサービス「RISA」を開発・運用する。ユーザーはバーチャル空間でアバターを介してコミュニケーションをとり、会議やイベントを行うことができる。会議室に入室し個別の音声通話、ログインユーザー全員でのチャットや音声通話も可能だ。また、画面共有やボイスチャットなどの機能も搭載されている。リモートワーク環境下で多くの企業やフリーランスに利用されている。
時代の変化に対応する
今回紹介した企業は、コロナ禍における多様かつ効率的な働き方を実現している。この分野の発展は、単に企業の運営方法を変えるだけでなく、私たちの働き方や生活様式全体を変革する可能性を秘めている。バーチャルオフィス市場の今後の展開は、ビジネス界だけでなく、社会全体にとっても重要な意味を持つだろう。
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※矢野経済研究所 「テレワーク関連業務アプリケーション市場に関する調査を実施(2021年)」