株式会社wevnal

ウェブ接客8年・800社の改善ノウハウを電話へ──wevnal、電話AIエージェント「BOTCHAN AICALL」を正式リリース
株式会社wevnalは2026年10月20日、電話対応を自動化する電話AIエージェント「BOTCHAN AICALL」を正式リリースした。同社によると、2025年9月のβ版提供開始から約1年で20社以上が導入しており、2027年までに100社、2030年までに500社への導入を目指す。
同社は2011年に広告代理店として創業し、2018年にパーソナライズ接客プラットフォーム「BOTCHAN」を提供開始。2023年に広告代理事業を譲渡し、BOTCHAN事業に一本化した。BOTCHANはウェブサイトやLINEでのチャット接客を主力とし、通販業界を中心に累計800社超に導入されている。同社によると、2021年にシリーズAで約6億円、2023年にシリーズBで総額20億円を調達した。
トップ画像:記者会見にて(左から)取締役COO 久川 徹氏、代表取締役 磯山 博文氏、「BOTCHAN AICALL」事業責任者 森川 智貴氏
きっかけはチャットでは応えきれなかった「電話したい」声
電話に進出したきっかけは、同時期に同じ理由での解約が3件あったことだった。エンドユーザーはチャットでは問題を解決しきれず、電話での対応を求めていたという。「チャットだけのサービスだと、顧客ニーズにすべて対応しきれない」と代表取締役の磯山 博文氏は振り返る。一方、コールセンターは深刻な人手不足に直面している。日本コンタクトセンター協会の2025年の調査では、オペレーターが「不足している」「やや不足している」と答えた受託事業者が72.7%に上った※1。人手不足のため電話がつながりにくくなるうえ、人件費が高騰し、1件あたりの対応コストもかさんでいる状況だ。
熟練オペレーターの技をAIに移す
BOTCHAN AICALLは、既存のフリーダイヤルへの着信にAIが応答し、基幹システムの顧客情報を参照・更新しながら手続きの完了までを担う。健康被害の訴えなど責任を伴う用件は、有人オペレーターへ転送する。
初期構築は約2週間で、企業が持つトークスクリプトと熟練オペレーターの応対ログがあれば構築できる。「ドキュメント通りに応対しているオペレーターはなかなかいない」と「BOTCHAN AICALL」事業責任者の森川 智貴氏。同社は、言語化されていない熟練の技を応対ログから抽出する技術を構築したとしている。

強みはチャット接客で磨いた改善手法
強みとなっているのは、チャット接客で積み上げてきた改善の手法だ。磯山氏によると、BOTCHANでは8年間、累計800社超の導入企業とともに会話品質の改善サイクルを高速で回し、CVR(購入や申し込みに至る割合)やLTV(1人の顧客が取引期間全体でもたらす利益)の改善に取り組んできた。その接客ノウハウを電話にも取り入れたという。
正式版では、β版の一部顧客が先行利用していた機能を標準搭載した。評価用のAIエージェントが通話を自動でチェックし、回答の根拠や利用者のストレスなどを点数化する応対品質のスコアリングを用意。また、どの段階で離脱が起きているかを可視化する「ファネル分析」と、音声や話速、スクリプトを変えた2つのパターンを同時期に試せるABテスト※2を備える。この2機能に関する技術は特許出願済みだという。
ABテストについて、「もともとウェブマーケティングの会社なので、同時期ABテストは日々実施していた。だがコールセンターでは、運用上なかなか実現できなかった」と森川氏は説明する。従来はシステムや運営の制約上、応対を2つのパターンに分けて同時に試すこと自体が難しかったという。AICALLでは、企業のコールフローを変えずに同じ期間で比較できる。たとえばオープニングトークを2通り用意し、どちらを聞いた利用者が次の段階に進んだかを定量的に把握できるという。

AIと有人対応の組み合わせで、 電話注文完了率が45%から82%に
同社によると、β版を導入したある通販企業では、電話注文が完了した割合が、有人オペレーターの対応では45%だったのに対し、AICALLでは65%に上がった。途中で離脱した顧客に有人オペレーターが折り返し電話をかけることで、最終的には82%に達した。
解約受付を任せた別の企業でも、入電の80%をAIが最終処理まで完了し、解約を思いとどまった割合も有人とほぼ同水準だったという。
「責任を伴う接客がある以上、人をゼロにすることは目指していない」と森川氏は強調する。今後はオペレーターがAIを教え育て、センター長がAIと人の配分を判断する役割を担っていくことを想定しているという。
ウェブ・LINE・電話のデータを統合へ
同社は、ウェブ接客・MA(LINEやメールなどでの配信)・電話接客の3つのエージェントをひとつのデータベースでつなぐ新しいBOTCHANの構築も進める。現在はウェブフォームやLINE、電話などで顧客データが別々に管理されており、同じ人でも接点ごとに別人として扱われる。データをひとつにまとめ、どの接点でも同じ顧客として対応できるようにする狙いだ。2026年内にデータを統合し、2027年から順次提供する計画で、架電の「BOTCHAN OUTCALL」も2027年2月に提供予定としている。
「これまでの電話対応は、コストとして扱われてしまっていた。その電話を、企業とユーザーをつなぐ接客の接点として捉え直したい」と磯山氏は語る。チャットで磨いた改善の手法を電話にも持ち込み、売上や継続につなげる。その取り組みを、今後どこまで広げられるかが焦点となる。
※1 一般社団法人日本コンタクトセンター協会「2025年度 コンタクトセンター企業実態調査」による。2025年6〜7月に実施し、会員109社のうち68社が回答
※2 ABテストは、条件を変えた複数のパターンを用意して利用者を振り分け、どちらの成果が高いかを比べる検証手法。ウェブマーケティングでは、広告やページの表現の比較などに広く使われている。同じ期間に並行して試すことで、時期による成果の変動を抑えて比較できる。









