企業のDXや新規事業創出を支援する株式会社DNTIが、日本創発グループとの資本業務提携を締結したことを発表した。
大手企業を中心にDXへの取り組みが本格化して数年たつが、大企業のDXには、コンサルタントに依頼する際の高額な費用やプロジェクト長期化などの課題がある。
コンサルティング企業への依頼を通じたDXと比べ、短期間・低価格でDXを支援する点が同社ソリューションの特徴だ。
顧客のアイデアをもとにデザインツールを活用し、見積の段階から、サービスの機能や画面イメージを提示する。サービス開発に活用するツールや基盤を標準化することで費用を抑えた提案が可能だ。
画像:DNTI公式HPより掲載
ワークショップ形式でアイデアを募るサービスも提供する。DXが進む中、どのように取り組むべきかわからない企業や担当者は多い。DNTIがファシリテートするワークショップを通じて必要な取り組みを模索し、DXの具体化まで同社で支援する狙いだ。
新たなビジネスモデルの創造と事業領域の拡大を目指し、日本創発グループとの資本業務提携と同時に、社名を「DN Tecnology&Innovation」から「DNTI」へと変更した。
同社の設立は2020年12月。2024年2月までに、40社以上の企業のDXを支援した。2024年1月には「ベストベンチャー100」に選出されている。
今回の資金調達に際して、代表取締役社長 ⻄村 大輔氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。
DXのアイデアをワークショップで具体化
―― これまで、企業のDXにはどのような課題がありましたか?
⻄村氏:企業によるDXや新規事業の立ち上げには、数多くの課題が存在します。その課題の一つが、コンサルタントへの高額な依頼費用です。アイデアや実現したいプロジェクトがあったとしても、新規ビジネスの立ち上げのために高額な予算を確保することは難しい場合があります。
高額な費用を支払っても、すべての取り組みがうまくいくとは限りません。長期にわたる計画の過程で、本当に求めていた成果物がなんだったのか見失ってしまうケースもあります。
また、詳細な設計図や要件定義を自社で作成する必要があるケースも多く、その過程で企業がつまずくことも少なくありません。
外部のコンサルティング企業にシステム開発を委託する場合も、自社の稼働システムや業務内容を詳細に伝えても、情報が不十分になってしまうことがあります。
―― 自社で推進することは難しいのでしょうか?
社内で業務改善やDXに関するアイデアを持っていても、それを単一の部門で実行することは困難です。たとえば、経理部門がDXのアイデアを持っていても、経理部門だけで完結して業務改善することはできません。関係部署との協力が不可欠です。
関係各所とのディスカッションや調整を行いながらDXを実現するには、時間も労力もかかります。当社では、関係部門の担当者に対してワークショップという形でニーズやアイデアを吸い上げる機会を提供しています。アイデアの中から重要なものについては予算化をして実際のプロジェクトとして推進するなど、DXの入り口から支援していることは当社の特徴です。
―― 創業のきっかけを教えてください。
新卒では、アクセンチュアに入社しました。日立コンサルティングの立ち上げや、日本IBMでのビジネスコンサルタントとしてAIやIoTの新規ビジネスの立ち上げにも関わり、一貫してコンサルティング領域に携わっています。
その後、個人で顧問コンサルタントとして新規事業や新規サービスの立ち上げに携わる中で感じたことは、大半の大手企業は、前例のない新規事業にスピード感を持って取り組めていないことです。ベンチャー企業がクラウドツールなどを活用して小さく仮説検証するようなことが、大企業にはできない。自分ごととして新規のビジネスに取り組む意識が低いことは、大きな課題です。
そのような状況の中で、将来のキャリアを考えていた時に大日グループの方に声をかけてもらったことをきっかけに、ITコンサルティング会社としてDNTIを設立しました。せっかくやるからには、従来のITコンサルティング企業にはできないようなアプローチで、課題解決に取り組む強い思いを持っています。
3年後には100名規模の組織へ
―― 資本業務提携の背景や取り組みについて教えてください。
ビジネスをさらに成長させるため、事業連携できる会社は常に探していました。そこで出会ったのが、デジタルプロモーションのコンサルティングを行っている、FIVESTARinteractiveという日本創発のグループ企業です。FIVESTARinteractiveとサービスの協業を進めていたところ、日本創発グループと話をする機会につながりました。
日本創発は、印刷事業を中心とした30社以上のグループを抱える企業です。WebやデジタルマーケティングなどIT分野にも力を入れており、当社の事業とのシナジーも見込まれます。
顧客のクリエイティブ支援をかかげる同社とともに、クリエイターの力と私たちのITやデジタルの技術を組み合わせたサービスを広く提供していくべく、今回の提携に至りました。
―― 今後の長期的な展望を教えてください。
日本創発との取り組みを強化しながら、3年後に70社程度の支援を実現する体制を作ります。売上は毎年20%以上成長させ、3年後に100名規模の組織で20億円の売上を達成することが目標です。
当社では、中国の大連の技術者を採用していることが特徴の一つでもあります。適正コストで実力ある人材を採用することにつながっており、今後も採用拠点や営業拠点を海外に拡大することも検討しています。
日本を代表するさまざまな業界のお客様と共に、日本の社会課題解決に貢献していきたいと思いますので、ぜひ応援していただければ幸いです。