Intelは、3月6日、Mobileyeの新規株式公開に向け、米証券取引委員会にS-1登録届出書の草案を提出したことを明らかにした。直近の相場の悪化でIPOは停滞していたため、久々の大型上場であるMobileyeのIPOは、今後のIPO動向を占う上での試金石になりそうだ。
Mobileyeは、1999年にエルサレムのヘブライ大学でコンピューターサイエンスを教えていたAmnon Shashua教授によって創立された。その後、2004年にSoC(システムオンチップ、あるシステムに必要な機能の全てを1つの半導体チップに実装する方式)を開発、2016年には、自動車向けのマップを作成する技術を発表するなど、先進運転支援システムの領域でイノベーションを起こし続けてきた。
Mobileyeは、2014年にニューヨーク証券取引所に上場したものの、2017年には、Intelが46%程度のプレミアムをつけて153億ドルで買収して上場廃止になった。当時、イスラエルのハイテク企業の買収としては史上最大と言われた。Intelは、自社の半導体やハードウェア製品にMobileyeの自動運転システム向け画像処理アルゴリズムを組み合わせることで、車載半導体市場での地位を確立する狙いがあったと思われる。メディアで報じられている今回のIPO評価額や近年の売上の増加などを踏まえると、Intelの狙いは当たったといえる。
今回のIPOで調達した資金は、半導体開発にかかる設備投資やR&Dを充てる予定である。Samsungなどのように、半導体市場で勝ち残るには、多額の投資が必要であることをIntelが理解している証左かと思われる。Mobileyeの領域では、NVIDIA、Huawei、Qualcomm、Tesla、新興企業などプレイヤーが増加しており、投資を加速させることは必要不可欠のように見える。
IPO実施後もIntelがMobileyeの株式の過半数持ち続ける予定であり、Mobileyeに対するIntelの期待は引き続き高いものと思われる。