スポーツ業界の新たな風、アセット運用でさらなる事業拡大へ──Ascenders橋本氏

スポーツ業界の新たな風、アセット運用でさらなる事業拡大へ──Ascenders橋本氏

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KEPPLE編集部

目次

  1. 「スポーツの夢の国を創る」をビジョンに事業を展開
  2. 安定した仕事を得られる専門人材は少ない
  3. スポーツアセット運用のプロ組織に
  4. アセット運用でスポーツ業界の未来を作る

スポーツ施設などの運用事業を行うAscenders株式会社がシリーズAラウンド(1stクローズ)にて、第三者割当増資による1.3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、SMBCベンチャーキャピタル、アミューズ、CARTA VENTURES、ケップルキャピタル、髙田 真希氏(女子バスケットボール日本代表)、その他個人投資家。

今回の資金調達により、組織・アセットマネジメント体制の強化を目指す。

「スポーツの夢の国を創る」をビジョンに事業を展開

Ascendersは、スポーツ専門職に特化したサービスを展開するスタートアップだ。トレーナーや栄養士などの専門人材が登録し、案件情報を掲載するプラットフォーム「Ascenders Partners」や、専門スキルの学習機会を提供する「Ascenders College」を運営する。

これまで専門人材の紹介や委託ビジネスを通じてスポーツ専門人材や選手、チームの課題解決を支援してきた同社だが、大きな収益源となる新たなビジネスを推し進めている。それがスポーツアセット(施設、ジム、寮など)の運用ビジネスだ。

まずは、ノウハウが不足しがちなジム/スタジオなどのスポーツ施設の運用に加え、寮やアカデミーなどの運用も増やしていく考えだ。同社プラットフォームに登録する人材をアセット運用に活用することで、登録する専門人材の安定収益にもつながる。すでに6件のアセット運用を開始し、5件は黒字化しているという。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEOの橋本 貴智氏に、Ascendersの事業背景やアセット運用事業などについて詳しく話を伺った。

安定した仕事を得られる専門人材は少ない

―― 創業のきっかけは?

橋本氏:プロのバスケットボール選手である幼馴染から、キャリアに関する相談を受けたのが大きなきっかけです。彼の現役中に一緒になってできることはないかと、スポーツ関連の事業を行う会社として立ち上げました。

具体的な事業イメージはなかったものの、創業時から「スポーツ」という軸はぶらさずに事業を行っています。まずは人材領域、その次は人材を活用した委託と、スポーツ業界における課題解決に取り組む中で、今ではスポーツ事業そのものを運用するアセット運用の事業に行きつきました。

―― スポーツ業界の人材に関する課題とは?

アスリートがサポート人材に求めるのは、経験豊富で即戦力になる人材です。トレーナーや栄養士などの人材は一定存在する一方で、実務経験を積む機会が多いわけではありません。機会に巡り合ったとしても、報酬がないボランティア形式のことも多く、多くの人がキャリアをあきらめてしまうのです。

なんらかの仕事に就いても、契約が切れて急に無職になってしまうことも珍しい話ではありません。我々のプラットフォームに登録することで、専門人材向けにさまざまな仕事を紹介できますし、安定的に仕事を受けられるように登録者をサポートしています。

また、自分をサポートしてくれる人材を選手自身が探す難しさもあります。これまでは知人からの紹介などで候補を探すことが多く、スキルが不確かなまま採用してしまうこともありました。

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スポーツアセット運用のプロ組織に

―― アセット運用事業について教えてください。

ジムや寮などの施設やチームなど、スポーツに関するアセットには基本的にオーナーが付いています。オーナーのほとんどが他業界の企業で、運用に関するノウハウが不足していることもあります。一方で、オーナーシップを持つ企業として、自分たちで運用までやろうとしてしまうことが多いのです。

また、スポーツ事業に携わりたいと思いながらも足を踏み出せていない人や企業も多くいます。お金があったとしても、赤字リスクが大きそうなイメージやノウハウが不足しているためです。それなら我々がプロとしてスポーツアセット運用をできればと、この事業を開始しました。

―― 具体的にはどのような施設を運用するのでしょうか?

オーナーが保有する遊休スペースを活用した事業プロデュースや、施設と事業アイデアを決めてからオーナーを募集することもあります。これまで当社が培ってきた人材プールやノウハウを活かして運用し、事業の売上は分配金という形でオーナーに還元する仕組みです。

また、地方には全寮制で部活動が強い強豪校が多数存在しますが、実際には古くて管理が行き届いていない寮も少なくありません。これらをリノベーションすれば、部員の生活環境が改善され、家賃収入が得られるうえに教育にも貢献できます。小口投資の形で出資を募り、運用をAscendersが担当することで、地元チームを応援したいという多くの人々を引きつけることができるはずです。

アセット運用でスポーツ業界の未来を作る

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

今回はシリーズAラウンドの1stクローズとして実施しました。組織、アセットマネジメントの体制強化やファンドの構築などが主な目的です。

これまでは、先にオーナーを集めてからプロジェクトを進めていましたが、プロジェクトが固まっていないとオーナーも参入しにくく、資金の回収までに時間もかかります。今回の資金をもとに、先にアセットを取得してそこに合わせたオーナーを見つけていくモデルに変え、より迅速に資金回収ができるようにします。

アセットの獲得から運用までのパターン

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

今後中核になるのは、アセット運用の事業です。アスリートのサポート事業は単体で見ると利益率は高くありませんが、スポーツ事業を運営するうえでは欠かせません。それに、業界を良く理解するためにも、委託という形でアスリートのサポート業務を経験するのも大切な過程です。収益を生みながら人材も集まるこれまでの事業を活かして運用アセットを増やし、事業収益だけではなく運用による収益も伸ばしていくことに注力します。

海外の成長率を見ると、日本のスポーツ産業はまだまだ伸びる余地が高い。投資をするのにこれほど面白い世界はないと思っています。スポーツ業界における運用のプロとしてブランド構築に取り組み、スポーツに関心のある方と共に業界の未来をつくり上げていきたいと思います。

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