株式会社Preferred Networks

2024年のスタートアップによる資金調達総額は8097億円(※プレスリリース情報に基づく速報値)で前年比15.5%増となった。対前年で落ち込んだ2023年から回復し、2022年比でも増加するなど、堅調な一年だったといえる。
(株)ケップルは、スタートアップの動向を把握するうえで、資金調達と同様に重要な指標として「従業員数」に注目。2023年12月~2024年12月の国内スタートアップの従業員数を集計し、スタートアップ動向レポート「従業員数から読み解く国内スタートアップの現在地2024」としてまとめた。今回は、レポートの中からAIセクターの従業員数推移や市場動向に関する解説を紹介する。
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AI関連スタートアップが急増 生成AIの新潮流も登場
2010年代後半から、AI分野のスタートアップ設立数が急増した。国内では、2010年以降にディープラーニングの実用化が進み、コンピューター将棋ソフトがプロ棋士に勝利したことなどを契機に、AIへの関心が高まった。業務効率化・省人化のためのツールとして、さまざまな業界でAIの導入や研究開発が進み、画像認識、音声認識などの精度が向上した。2024年は新規設立数が減少しているが、生成AI分野のスタートアップが新たに登場している。
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注:上場したスタートアップや閉鎖企業などを含む
AI分野の中では特にディープラーニングや自然言語分野のスタートアップが高く評価されており、株式会社Preferred Networks、株式会社オルツ、Fairy Devices株式会社などが評価額100億円以上となっている。
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注:2024年1月時点=100として指数化(セクター全企業の従業員数が対象)
世界ではAI分野の資金調達が増加 投資家の関心が高まる
世界の生成AI市場規模は、2024年に360億ドルと推定され、2030年には約3560億ドル、CAGRは46.5%と驚異的な成長が予測されている※1。2024年はスタートアップ全体の調達件数が減少した中、AI分野では調達件数が増加しており、投資家の高い関心を集めている※2。アメリカのAnthropicが調達額10億ドル以上の超大型取引を行ったほか、中国のMoonshot AIや、インドのKrutrimなどの生成AIスタートアップが新たにユニコーン企業となった。※3。これらのスタートアップに加え、Google、Microsoftなどの大手企業も開発に参入しており、競争が激化している。
AI全体の世界市場規模は、2024年に約2100億ドルと推定され、CAGR35.7%で成長し、2030年には約1.3兆ドルに達すると予測されている※4。小売、金融、ヘルスケアを筆頭にさまざまな業界で、顧客体験の向上やデータドリブンな意思決定をサポートするAIソリューションの需要が高まることが予想されている。
国内AI市場は初の1兆円超えか 生成AIが成長を後押し
国内のAI市場規模は、2024年に前年比41.6%増の約1兆円と、初の1兆円超えが予測されている。2023年から2028年にかけては、CAGR30.6%で成長し、2028年の市場規模は約2.9兆円に達するとされている。※52023年以降、商用化が本格的に進んだ生成AIや、さまざまなサービスにAI機能が導入されるようになったことなどが市場の成長を後押ししている。

先進国の中でもDX化が遅れている日本では、生産性向上や省人化のためのシステム導入の余地が大きく、AIを活用した業務効率化システム開発やAI導入のコンサルティングを行うスタートアップが多く存在する。
生成AI分野では、生成AI基盤モデルを開発するSakana AI株式会社が創業からわずか1年でユニコーン企業に仲間入りし、これは国内スタートアップ史上最速の記録となった。同社は国内外の複数の大手企業から資金調達を行っており、生成AI分野の代表的な企業となることが期待される。また、東京大学を中心に大学でのAI研究も盛んになっており、生成AIを活用した業務効率化システムを開発する株式会社neoAIといった有望な大学発スタートアップが登場している。
各セクターの詳細レポートが見られるのは「KEPPLE DB」だけ
本セクターの、2024年従業員数ランキング(2023年12月から2024年12月までの期間を集計)と主要なカテゴリーに属する国内外のスタートアップの動向、掲載企業の一覧は KEPPLE DB でご覧いただけます。
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※1 Statista Generative AI - Worldwide
※2 CB Insights State of AI Q3’24 Report
※3 CB Insights State of AI Q1’24 Report
※4 MarketsandMarkets Artificial Intelligence (AI) Market
※5 IDC Japan 国内生成AI市場は今後5年で8,000億円規模への成長を予測 ~IDC Worldwide AI and Generative AI Spending Guideを発行~
Writer

高 実那美
株式会社ケップル / Data Analysis Group / Database Division / アナリスト
新卒で全日本空輸株式会社に入社し、主にマーケティング&セールスや国際線の収入策定に従事。INSEADにてMBA取得後、シンガポールのコンサルティング会社にて、航空業界を対象に戦略策定やデューディリジェンスを行ったのち、2023年ケップルに参画。主に海外スタートアップと日本企業の提携促進や新規事業立ち上げに携わるほか、KEPPLEメディアやKEPPLE DBへの独自コンテンツの企画、発信も行う。