訪日客数と消費額が大幅増、インバウンド向け事業手掛ける国内117社

訪日客数と消費額が大幅増、インバウンド向け事業手掛ける国内117社

written by

谷口 毅

インバウンド市場回復、訪日客数急増

新型コロナウイルスの流行により大幅に縮小したインバウンド市場だが、水際対策の緩和や円安などの要因により海外からの旅行客が急増している。2024年1月-3月の訪日客数は、約856万人となった。特に3月の訪日客数は、2019年の同月比11.6%増の約308万人を記録し、単月で初めて300万人を超えた※1

また、2024年1月-3月の旅行消費額は約1.8兆円で、1人当たりの支出は2019年比で約42%増となった。消費額の内訳をみると、2019年と比較し買い物は減少したものの、宿泊が増加している※2。例として2023年1-3月のデータを挙げると、平均宿泊日数は12.7泊と、2019年同期間の8.5泊から約1.5倍となっている※3。宿泊日数の増加が、消費額全体の増加につながっていると考えられる。

特に欧米の観光客において、買い物などのモノ消費よりも、アクティビティや宿泊などのコト消費を重視する傾向が強まっている※4。米国からの訪日客の平均宿泊日数は約11日と、全体平均の1.5倍以上となっている※5

また、富裕層をターゲットにした高級ホテルの開業や体験ツアーの販売などが盛り上がりをみせる。米国、英国、中国、ドイツ、フランス、オーストラリアの6か国からの旅行者のうち、観光地で100万円以上消費する「富裕旅行者」とよばれる層は、2019年時点で訪日旅行者全体の約1%に過ぎないが、消費額は約11.5%を占めている※6。昨今のコト消費重視の傾向を踏まえ、日本ならではの体験ができる付加価値を高めたツアーや施設のアピールが行われている。

2023年の国別の訪日客数ランキングは、韓国、台湾、中国、香港、米国の順となっている※7。韓国は2019年10-12月と2023年の同時期を比べると、訪日客数の増加率は約217%と大幅に上昇した。2019年は、日本が韓国に対し半導体の輸出管理を強化したことなどにより、訪日客数の大幅な減少につながった。しかし現在は「J-wave 2.0」とよばれる、韓国のZ世代を中心としたJ-POPやアニメ、小説などの日本文化の流行が発生している※8

一方、コロナ禍前の2019年は訪日客数ランキング1位で訪日客数全体の3分の1を占めていた中国からの観光客については、いまだ客足は回復していない※4。中国政府は2023年8月に日本への団体旅行を解禁しており、訪日客数はさらに伸びる余地があるだろう。

今後もインバウンドによる高い経済効果が期待されており、政府は、観光を成長戦略の柱、地域活性化の切り札と位置づけ、2030年の訪日外国人旅行者数6000万人、旅行消費額を15兆円を目指す考えを示している。

しかしながら、訪日客の訪問地域がゴールデンルート(東京、箱根、富士山、京都などを周遊するルート)や、北海道、沖縄などの国際線が多く就航する地域に偏っていることや、オーバーツーリズムが問題となっている。政府は2023年に閣議決定した「観光立国推進基本計画」の中で、地域の社会・経済に好循環を生む持続可能な観光地づくりを推進するとしており、地方の観光地への誘客への取り組みが期待される。

カオスマップと注目企業

本カオスマップでは、インバウンド事業を16種類のカテゴリーに分け、ケップルの独自調査で選定した国内の注目企業117社をスタートアップを中心に掲載している。以下、各カテゴリーを紹介する。

決済

このカテゴリーには、訪日客向けの多様な決済手段に対応した決済システムを開発する企業を5社分類している。日本のキャッシュレス決済利用率は3割程度なのに対し、アジアや欧米の主要国では5割~9割程度とキャッシュレス決済が日本よりも浸透している※9。クレジットカードの他、中国のAlipay、台湾のJKOPAYをはじめとしたアジア諸国のQR決済サービスなど様々な決済手段に対応することにより、訪日客の利便性を高め、インバウンド需要の拡大につながる。

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※1 トラベルボイス「【図解】訪日外国人数3月実績、初の単月300万人超え、桜シーズンやイースター休暇で
※2 トラベルボイス 「訪日外国人の旅行消費額、2024年1〜3月は1.8兆円、1人当たり支出は2019年比で42%増、トップはオーストラリア
※3 Bloomberg 爆買い不在でも好調なインバウンド、背景に円安や滞在長期化
※4 日本経済新聞 訪日客消費が初の5兆円超 23年、人数はコロナ前8割に
※5 ニッセイ基礎研究所 「訪日外国人消費の動向-円安で消費額はコロナ禍前の95%、インバウンドもモノからコトへ
※6 NHK 「訪日外国人の観光戦略の新基本計画素案 人数より消費額重視へ
※7 トラベルボイス 「【図解】訪日外国人数、2月は279万人、単月でコロナ禍以降で最多 -日本政府観光局(速報)
※8 ニッセイ基礎研究所 「訪日外国人消費の動向(2023年10-12月期)-J-wave 2.0で訪日韓国人が大幅増、コト消費は7割強
※9 au PAY magazine 「キャッシュレス決済がメインな国も!外国人観光客が日本で使えるキャッシュレス決済は?

新卒で資産運用会社のFirst Sentier Investorsに入社し、アナリストとしてアジア・日本の株式の分析を行う。その後、リクルートでプロダクトマネージャーを経験。2022年にケップル入社。現在はデータベース部門を管掌、および海外事業部門を兼務。スタートアップデータ拡充のための企画、分析に加え、KEPPLEメディアやKEPPLE DBへの独自コンテンツの企画、発信を行う。

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  • #インバウンド
  • #観光
  • #旅行
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