AGILE STUDYが総額9億円の資金調達を実施、EdTech領域で学習塾事業の拡大へ

AGILE STUDYが総額9億円の資金調達を実施、EdTech領域で学習塾事業の拡大へ

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教育分野のスタートアップである株式会社AGILE STUDYは、総額9億円の資金調達を完了した。みずほ銀行からの8.2億円のデットファイナンスと、既存株主であるDual Bridge Capitalからの0.8億円のエクイティファイナンスを通じて資金を確保した。調達資金は、M&Aを含む事業拡大や経営基盤の強化に充てられる予定で、同社によれば追加の資金調達についても複数の投資家と協議を進めている。

AGILE STUDYは2022年11月設立。主力サービスは、小学生から高校生までを対象とした個別指導塾「スマート個別指導アジスタ」の運営である。従来型の学習塾や通信教育では十分な成績向上が見込めない生徒に対し、AIによる苦手分野診断やオーダーメイドの学習プラン、講師によるコーチングを組み合わせている点が特徴だ。EdTech(教育×テクノロジー)とコーチング理論を融合させることで、生徒ごとの学習進捗や課題に応じた個別最適化を図っている。

サービスの流れとしては、生徒がAIドリルで苦手分野を特定し、その結果に基づいて個別の学習計画を立案。学習の進捗はコーチがサポートする仕組みだ。料金体系には定額制を導入し、部活動や習い事との両立を意識した柔軟な学習スケジュールを提供する。教材は5教科以上に対応しており、高校生までを対象にしたカリキュラムを展開している。

代表取締役の岡村拓明氏は、税理士法人勤務を経てアビームコンサルティングで大手学習塾の業務改革に従事した経験を持つ。教育業界の現場で課題に直面したことから、テクノロジーを活用した新たな学習支援モデルの構築を志し、AGILE STUDYの設立に至った。なお、学習システムの監修には、デジタル教材「スタディサプリ」の立ち上げを手掛けた松尾慎治氏が参画している。

2023年度の日本国内の教育産業市場は、2兆円を超えるとされている(矢野経済研究所調べ)。 近年はEdTech企業や大手通信教育会社も参入し、AIやITを活用した個別最適化、定額制、オンライン指導などを軸に競争が激化している。少子化による入塾者数減少や教育成果への保護者の関心、教室運営の効率化といった課題が背景にある。EdTech分野における資金調達も活発化しており、経済産業省による「未来の教室」プロジェクトなど官民連携の支援策の動きも続いている。

AGILE STUDYによれば、直近では生徒数と売上高がともに伸長している。成績向上率は90%とされ、業界平均(約20%とされる)を大きく上回る数値となっている。売上高は前期比277%増を記録しており、学習成果を重視する保護者や生徒からのニーズを反映した結果といえる。ただし、AIを活用した個別最適化やコーチング指導の分野では、Classiやatama plus、Z会などの既存プレイヤーも含めて競合が存在し、今後の競争環境は一層厳しくなると予想される。

今回の資金調達によって、主にM&Aによる教室網の拡大、経営基盤の強化、新規事業投資が計画されている。みずほ銀行による大規模なデットファイナンスは、ビジネスモデルや成長性が評価された結果とされる。Dual Bridge Capitalも追加出資を行い、経営面の支援体制を強化した。

庭学習や定額制デジタル教材分野での差別化、テクノロジーによる教室運営・学習支援の効率化、人材採用・育成、全国展開を見据えたガバナンス体制の構築などが事業の主な課題となる。教育分野は成果指標や利用者満足度など独自の評価基準に基づく持続的な支持が事業成長の要となるため、今後の動向が業界内で注目されている。

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