ゴーグル不要の没入体験—フォレストデジタルが1.3億円調達し事業拡大へ

この記事では、7月18日週に資金調達が報道されたユニコーン(企業評価額10億ドル以上の未公開企業)2社を評価額順に紹介します。この週のユニコーン企業が少なかったため、番外編として、企業評価額は不明なものの、調達金額が大きかった企業も1社取り上げます。
第一位は、ライブコマース(ライブ配信で商品を説明しながらeコマースで販売するサービス)のWhatnot(企業評価額 37億ドル)です。同社は、ポケモンカードなどの未開封の箱の中身をライブ配信で公開する「card break」というコンセプトの火付け役になりました。
ライブコマースの最大市場である中国では、コロナの影響もあり、670億ドル(2019年)から1,710億ドル(2020年)に市場が急成長しました(※1)。ライブコマースは、中国のeコマースの10%を占めるといわれており、中国のeコマース市場では無視できない存在になっています。Taobao Live、Kwai、TikTokの3つのサービスが中国では有名ですが、その中でもTaobao Liveが79%のシェアを持っており(※2)、他サービスを圧倒しています。米国市場にとって中国という先行事例があること、先行事例の中国で1社が市場をほぼ独占していることから、Whatnotに対しても高い期待が向けられています。その証拠に、2021年9月の資金調達から同社の企業価値は2.5倍程度増加しました。ただ、米国では明確な勝者が決まっていないため、Popshop Live、buywith、Firework、Dripなどといった企業も資金調達を直近行いました。
設立期:
2019年
本社:
アメリカ
企業評価額:
37億ドル
今回調達額:
2.6億ドル(企業評価額の7%)
参加投資家:
DST Global, CapitalG, BOND, Andreessen Horowitz, YC Continuity
米国におけるライブコマースの大手。2022年は、これまで売上が3倍以上増加。
日本のライブコマースはまだ黎明期ですが、2024年には10兆円程度の市場になると予測されています(※3)。2019年のBtoC Eコマース市場規模が20兆円程度であったことを踏まえると、非常に大きな市場になるポテンシャルを秘めています。ライブコマースに関連したサービスを手がけるスタートアップの中には、STARP株式会社、株式会社Moffly、株式会社RONGOなどが含まれます。
STARP株式会社は、WEBサイトでライブ配信できるライブコマースパッケージ「LiveKit」を運営している会社。 「LiveKit」は、出演者がオススメするアイテムをライブ配信で紹介でき、ライブ配信中にその場で簡単に購入が可能。また、出演者と視聴者が、コメント欄やハートを通じてコミュニケーションをとることができる。ライブ配信をみているユーザーの滞在時間や行動履歴を全て解析することができるので、PDCAサイクルを効率よく回すことができる。 事業構築・投資・グロースにフォーカスし、日本と世界の明日を繋ぐことをミッションとしている。
株式会社Mofflyは、ECショップで動画による対面販売を可能にするクラウド型ライブコマース・サービスを提供する企業。 サービスとして、実際のお店に行かなくても、店員さんと会話しながらお買い物ができるライブ・ショッピングアプリ「TAGfab」の運営の他、数行のコードをHTMLに書き込むだけで、ECサイトに「ライブコマース」機能を導入できるサービス「TAGsAPI」の運営を行なっている。
株式会社RONGOは、ライブコマース事業に取り組む企業。 『RONGO LIVE』は、ファッション、飲食品、嗜好品、美容品、インテリア用品などの商品について、事業者と利用者がリアルタイムなコミュニケーションを取りながら買い物ができるサービス。利用者がライブ配信を見逃した場合は、ライブアーカイブ機能で配信後の動画を視聴できる。
第二位は、環境に配慮した建材を開発するNexii(企業評価額 16億ドル)です。同社は、コンクリートに代わるNexxite(砂や骨材が含まれる)を開発し、二酸化炭素排出量を31%削減することを可能にしています。素材が環境によいだけでなく、コンクリートに比べて15-20%軽量化したことで建材輸送に伴う二酸化炭素排出を削減できています。
設立期:
2019年
本社:
カナダ
企業評価額:
16億ドル
今回調達額:
0.35億ドル(企業評価額の2%)
参加投資家:
Horizon Technology Finance, Trinity Capital
コンクリートに代わる環境に配慮した建材を開発。顧客には、StarbucksやMarriottなどが含まれる。
車載システム用半導体のSiengineは1.5億ドルの資金調達を行いました。同社は2018年にArm China(ソフトバンク傘下の英半導体大手Armの中国合弁会社)とEcarX(中国自動車大手Geelyの創業者が創業)の合弁会社として誕生しました。中国政府は、2015年に「中国製造2025」という政策を発表しており、その中には「中国での半導体自給率を2025年までに70%に引き上げる」目標が掲げられました。一方、車載向け半導体市場は依然として日本のルネサスエレクトロニクス、NXP Semiconductors(オランダ)、Intel の子会社であるMobileye(企業説明はこちらのレポートを参照)など海外の大手が高いシェアを持っています。そのため、同社にかかる期待は高いと思われます。今回の注目は、ドイツの自動車部品大手Robert BoschのベンチャーキャピタルであるNeusoftが出資したことであり、同社の技術力が海外のメーカーからも評価されつつあることがうかがえます。
設立期:
2018年
本社:
中国
企業評価額:
不明
今回調達額:
1.5億ドル
参加投資家:
Sequoia Capital China, Neusoft, Boyuan Capital
車載システム用半導体を開発。2022年下半期に7ナノメートルの半導体チップを量産予定。
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