仕入・在庫・販売領域をアップデート—サプライチェーンの業務改善支援するリチェルカ

仕入・在庫・販売領域をアップデート—サプライチェーンの業務改善支援するリチェルカ

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KEPPLE編集部

目次

  1. 輸入商社の実務経験をもとに開発されたSCM SaaS
  2. 複雑で扱いづらいSCM領域のシステムに新風を
  3. 地道な開発と検証で掴んだ手応え プロダクト開発加速

サプライチェーンマネジメント領域の業務効率化SaaSを開発するリチェルカがシードラウンドにて、J-KISS型新株予約権による1.3億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先はジェネシア・ベンチャーズとNew Commerce Ventures。

今回の資金調達によりプロダクトの開発体制やマーケティング活動を強化する。

輸入商社の実務経験をもとに開発されたSCM SaaS

リチェルカが開発を進めるのは、サプライチェーン領域の業務効率化を実現するSaaS群「RECERQA(リチェルカ)シリーズ」。商品情報や画像等の情報を統合管理する「RECERQA Hub」を中心に、仕入や販売などRECERQAの各システムと連携する。

RECERQA イメージ画像

ユーザーはRECERQAシリーズの中から、自社に必要な機能のシステムを選んで利用できる。RECERQA Hubを通じてユーザーが利用している外部システムと連携し、商品マスタの更新等も可能だ。

代表取締役CEOの梅田祥太朗氏は複数のITベンチャーで勤務した経験を持つ。ワークスアプリケーションズではSCM領域の営業に従事し、AI insideではCROとしてビジネスを管掌した。リチェルカ(旧:iMAMIRAi)の設立は2022年4月。RECERQAは梅田氏がイタリア製オートバイの輸入業を事業承継した際の経験をもとに開発を進めた。

RECERQAシリーズは2024年7月より正式に提供を開始。すでに複数社が有償でシステムを利用している。

梅田氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

複雑で扱いづらいSCM領域のシステムに新風を

―― RECERQAについて教えてください。

梅田氏:現在提供しているのは、サプライチェーンマネジメント(SCM)SaaSのRECERQAシリーズです。各種システムと連携して商品マスタやコンテンツを管理するRECERQA Hubや、AIを活用して書類をデータ化するRECERQA Scanのほか、仕入・在庫・販売など5つのプロダクトを提供しています。

たとえば仕入れた在庫は倉庫で管理しますが、働くのはアルバイトなどのスポットワーカーも多い。そうした際にスマホにアプリをインストールするだけで、業務を知らない人でもアプリ上で必要な指示を受けて作業できるような仕組みなど、各領域の業務を効率化しています。

スマホ画面イメージ画像

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―― 事業開始のきっかけは?

全日本選手権に出場するほどのバイク好きで、iMAMIRAi(現:リチェルカ)の創業後にイタリア製オートバイの輸入業を事業承継したんです。バイクを仕入れて売るわけですが、それがとにかく大変で。いよいよ手が回らなくなりシステム導入を検討したことが大きなきっかけです。

UI/UXや機能性に優れたSaaSをたくさん調べましたが、多くは特定業務の効率化にフォーカスしていました。サプライチェーンを管理するには、「いつ・何が・どこで・どのくらい売れたのか」といった情報をエンドツーエンドで持っていなければいけないのです。仕入れから販売までを網羅的に管理できるクラウドサービスはまだありません。ここを解決できないかとサービス開発を開始しました。

―― 日本でも中小企業を中心にクラウドサービスの導入が進んでいます。

RECERQAの主なターゲットは中堅企業です。中小企業は、既存のクラウドサービスを組み合わせることで十分満足のいく活用ができることも多い。大手企業はSAPなどのエンタープライズ向けERPを導入し、自社の業務や商慣習に合わせてカスタマイズしていることがほとんどです。

海外は基本的にトップダウンでシステムが導入されるのに対して、日本は現場がかなり強い。そのため現場主体の検討となりがちです。一方で現場が使いやすいようにカスタマイズするには多額の費用がかかります。十数億円規模でかかってしまうこともある。中堅企業に使いやすく、コスト的にも導入しやすいツールが生まれていないのです。

サプライチェーン領域は、たとえば顧客が食品卸なのか鉄鋼系の商社なのかで求められる機能がかなり変わります。それを1つのパッケージソフトウェアで対応するのが困難なんです。我々はそこに入り込んで業界の変化を促していきたいと考えています。

地道な開発と検証で掴んだ手応え プロダクト開発加速

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

SCM管理SaaSにピボットしたのは昨年です。プロダクトが出来上がる前から販売するようなアプローチもある一方で、サプライチェーンはとても複雑です。構想だけで売れるほど甘くはない。だからこそ、これまではプロダクトを開発して検証するプロセスに多くの時間を費やしてきました。

地道に開発と検証を繰り返した甲斐もあり、プロダクトへの手応えも感じています。これからは人的リソースを投入して、大きく事業を拡大しながら課題解決に取り組まなければいけない。また、我々のビジネスは大企業向けということもあり、「システムが止まらない」ということが非常に重要です。その実現には多くの人手が必要になります。まずは次回ラウンドに向けて、優秀層の採用を通じたチーム体制の強化に資金を充当する予定です。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

まずは大企業がシステムの入れ替えをする際の選択肢としてRECERQAが想起される状態が目標です。一方で、大企業を我々のシステムだけで変えていくことはできません。企業それぞれに適した業務システムの構築が必要なことは変わらず、そのためにはSIerとの連携も不可欠です。ローコードの概念をプロダクトに取り入れ、RECERQA上でシステム開発できるような状態をこれから数年で作っていきたいと思います。

また、RECERQAはスポットワーカーでもすぐに業務に取り掛かれるような体験を提供しています。その延長線上として、ログを生成AIが分析して業務プロセスを自動で作成してくれる。さらに、より効率の良い業務にするための提案をしてくれる体験の提供を今後のステップとして考えています。日々の業務をこなしているだけで業務がもっと楽になっていくようなイメージです。技術的には、すでにそんな世界の実現は近いと思うんです。業務プロセスの改善を提案するような仕組みを構築することで人々が楽しく働けるようになる、そんな機能をこれから5年ほどで実装していきたいと思います。

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