乳がん領域で新たな価値を創出するスタートアップ5選

乳がん領域で新たな価値を創出するスタートアップ5選

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診断から治療後ケアまでを支える次世代の医療技術

乳がんは、女性にとって最も身近ながんのひとつとされており、日本でも患者数は増加傾向にある。早期発見・早期治療によって高い治療成績が期待できる一方で、検診受診率の伸び悩みや、検査に対する身体的・心理的負担など、医療現場には依然として課題が残されている。

こうした背景のもと、近年は非侵襲検査や画像診断技術の進展に加え、検査の受けやすさや継続性を高める取り組みが注目されている。呼気や涙などを用いた新たな検査手法や、痛みや心理的ハードルを軽減する診断機器、さらには自宅でのセルフ検査を可能にする技術の開発など、従来の検査体験を見直す動きが広がりつつある。

また、乳がん医療は診断や治療にとどまらず、術後の生活の質(QOL)や外見の回復といった観点も重要視されている。再建医療や患者支援の分野においても、新しい技術やアプローチの開発が進められている。

こうした動きの中で、スタートアップや大学発ベンチャーが、診断技術、検査体験の改善、治療後ケアといった各領域で新たなソリューションを提供し始めている。医療機関や研究機関と連携しながら、従来の医療プロセスを補完・高度化する取り組みも広がりつつある。

本記事では、乳がん領域において、診断から治療後ケアまでのプロセスを見直し、新たな価値創出に取り組むスタートアップを紹介する。

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MediScan株式会社

企業HP:https://mediscan.co.jp/

呼気に含まれるVOCs(揮発性有機化合物)を解析し、乳がんなどのがんを早期に検出する非侵襲の一次スクリーニング技術の研究開発に取り組む。被験者は検査キットに息を吹き込むだけで検査を受けることができるため、従来よりも身体的・心理的な負担が少なく、より多くの人にとって受けやすく続けやすい検査として、医療現場での普及を目指している。

株式会社Lily MedTech

企業HP:http://www.lilymedtech.com/

乳がん用画像診断装置を開発している企業。東京大学の研究成果に基づいている。 「COCOLY」は、腹臥位で行う超音波乳房検査装置で、圧迫がなく痛みや被曝の心配も少ない「受けやすさ」が特徴。乳房を間近で見られたり触れられたりしにくい設計で、心理的負担も抑える。リングアレイプローブにより360度の画像を合成して3D撮像でき、乳腺濃度の影響を受けにくく再現性の高い画像を提供する。操作もシンプルで、パラメータ固定・自動撮像により検査者のスキル差によるばらつきを抑えられる。

株式会社TearExo

企業HP:https://tearexo.jp/

株式会社TearExoは、涙で乳がんを検出する方法「TearExo®法」を開発する神戸大学発ベンチャー企業。TearExo法は、ドライアイの検査に用いられる「シルマー試験紙」と呼ばれる小さく薄い短冊状のろ紙片を目じりに置き、数分目を閉じて涙をしみこませ、このろ紙片をエクソソーム回収溶液に浸して涙に含まれるエクソソームを回収し、自動分析装置で分析する乳がん検出方法。鏡を見ながら自己採取も可能で、乳がん検査のハードルが下がることが期待される。

2025年5月には、綜研化学を引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施した。TearExo®法で検査に用いるセンシングチップについて、綜研化学と連携し、同社の高分子材料設計技術を用いた製造プロセスに関する検討を推し進めることで、センシングチップを安定かつ大量に生産可能なプロセスの開発を加速する。

株式会社アイグリット

企業HP:https://i-grit.jp/

IoTリモートセルフ乳がん検査システム「mammore︎®」を開発している。mammore︎®は、乳がん検査の「痛い・恥ずかしい・面倒・時間がかかる」といった課題の解消を狙って開発された、簡単・無痛・セルフ方式の検査システム。専用の小型デバイスで超音波断層画像を撮影するため、マンモグラフィーのような乳房圧迫が不要で、痛みを抑えて検査できる。撮影データは3D化され、3方向から確認可能。データは電子化して医師と共有できる。乳房だけでなく、見落としがちな「わき」まで検査できる点も特徴。現在は静岡県内の一部クリニックで導入されており、今後は自宅で好きなタイミングでセルフ検査できる設計を目指している。

株式会社レナートサイエンス

企業HP:https://www.renatoscience.com/index.html

人工脂肪を用いた乳がん切除後の乳房再建・豊胸手術についての研究・開発を行う企業。 既存の乳房再建法は、整容的な課題が大きく、患者の求める再建レベルに達していないことに着目。生体内で分解吸収され自家脂肪に置換される人工脂肪の開発と、人工脂肪を用いた乳がん切除後の乳房再建・豊胸手術を必要とする患者への提供を目指す。

2024年11月には、「第6回ヘルスケアベンチャー大賞」(主催:日本抗加齢協会、共催:日本抗加齢学会)において、レナートサイエンスの「人工脂肪を活用した乳房再建・豊胸の実現」がヘルスケアイノベーションチャレンジ賞を受賞した。

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