3分に1組が離婚の現実 カップルの話し合いをテクノロジーで支援する「ふたり会議」とは

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KEPPLE編集部

目次

  1. 「結婚は人生の墓場」に疑問 話し合いが関係性維持のカギ
  2. 「価値観の共有」が話し合いの第一歩に
  3. 海外展開も視野に 日本のカップルが熱狂するアプリへ

カップル・夫婦向けの関係性悪化予防サービス「ふたり会議」を運営する株式会社すきだよが、プレシードラウンドの資金調達実施を明らかにした。今回のラウンドでの引受先は、East VenturesとANRI、G-STARTUPの3社。

ふたり会議はLINEの友達追加をするだけですぐに利用できる。「暮らし」や「家事」、「キャリア」といったテーマの質問に答えることで価値観を可視化し、カップル間の対話を促す。約4.5万人が登録している。基本利用は無料。月額課金することでより多くのテーマの質問に回答できる。

ふたり会議スマホ画面イメージ図

今回の資金調達に伴い、サービス上で投げかけられる質問のテーマや選択肢を拡充した。今後は2025年のリリースを目標にアプリケーションの開発を進める。

代表取締役社長のあつた ゆか氏に、サービス提供の背景や今後の展望について詳しく話を伺った。

「結婚は人生の墓場」に疑問 話し合いが関係性維持のカギ

―― ふたり会議開発のきっかけについて教えてください。

あつた氏:ふたり会議が目指しているのは、カップルの関係性悪化の予防です。私が結婚する際に当事者として言われたのが、「結婚は人生の墓場」という言葉でした。結婚は本来、幸せでめでたいことのはずですよね。気になって調べてみると、日本では3分に1組の夫婦が離婚している実態がありました。離婚には至らずとも、子育て世帯の6割以上が夫婦関係の悪化を経験しているそうです。

近年は交際までをサポートするマッチングアプリは数多くありますが、結婚後・交際後のカップルを支えるサービスはメジャーではありません。ならば作ってしまおうと、サービス開発を始めることにしました。

―― 関係性悪化の予防にはどのような取り組みが有効なのでしょうか?

夫婦関係が良好な人がやっていること、それは「話し合い」です。たとえば、将来の夢や計画、キャリアについて話せているかどうかで夫婦関係はかなり変わってきます。ただ、結婚生活の維持に話し合いが重要だということは理解している人がほとんどでしょう。

また、関係性が良好なカップルのうち、7割には話し合えていないテーマがあります。「関係性が良好であったとしても」です。そう考えると、しっかりと対話ができているカップルはかなり少ないはずです。

海外では、関係性を維持するために夫婦カウンセリングに行くことがあります。日本ではあまり一般的ではないですし、一度のカウンセリングで数万円かかることを考えると、なかなかカウンセリングで解決することも難しいのです。

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「価値観の共有」が話し合いの第一歩に

―― ふたり会議利用の流れについて教えてください。

ふたり会議は、LINEの友だち追加をするだけでお互いの価値観を共有できるサービスです。約20のテーマに分けられた約400問の中から、交際・結婚・子どもなど、その時のニーズや状況に合わせてテーマを選択して回答します。

それぞれが質問に回答すると、ふたりの回答結果がまとめて表示されます。結果を見ながら対話することで、価値観の一致と不一致が明確になり、普段は聞けないデリケートな本音を共有することができるんです。これまでにまったく話し合いをしたことのなかったカップルの約73%が、ふたり会議を使うことで話し合えるようになったというデータもあります。

自分の本音をシェアすることに対して抵抗がある人もいます。特に日本では顕著かもしれません。そうした人たちが、ふたり会議を使って自分の考えを開示できていること自体が大きな一歩なんです。もちろんアプリ上で価値観が可視化されるだけではなく、継続した話し合いを促すような工夫は引き続き考えていかなければいけません。

―― どのようなユーザーの利用が多いのでしょうか?

ユーザーの多くは30代です。近年は社内や大学の同級生との結婚が減り、マッチングアプリや婚活での出会いが増えています。これまで価値観の近い人たちで結婚していたのが、異なるバックグラウンドを持つ人同士が出会いやすくなっているわけですね。共働きを選択する家庭も増えました。これだけ価値観が多様化すれば、話し合うべきトピックも多岐にわたります。こうした背景から、ふたり会議のようなサービスのニーズが高まっているのだと感じています。

―― 海外では先行する類似サービスもあるのでしょうか?

イギリスや韓国では、ふたり会議と似たアプリがすでに存在し、数百万以上ダウンロードされているものもあります。月額課金でマネタイズするモデルが多いと思います。イギリスなどではカップルカウンセリングにお金を払うことが珍しくない分、アプリ課金でマネタイズしやすいのではないでしょうか。ふたり会議はユーザー向けのアプリ課金に加え、ライフプランや結婚式の相談など、カップルに必要なサービスに送客する形でもマネタイズしています。

海外展開も視野に 日本のカップルが熱狂するアプリへ

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

2019年の創業以来、外部からの資金調達は今回が初めてです。これまでは会社員をやりながら運営しており、独立して事業にコミットし出したのが2022年ごろです。

自己資金で運営していたころからユーザー数自体は伸びていて、ニーズの大きさも分かっていました。一方で、年間で約100万人(50万件)が結婚することを考えると、「LINE登録者がまだまだ少なすぎる」と思って。スピード感を持って事業を前に進めようと、今回の資金調達に至りました。

来年には、アプリのリリースを予定しています。ユーザーに継続利用してもらうためにも、楽しいユーザー体験の提供が大事です。Duolingoのようにアプリにゲーミフィケーションの要素を加えて、楽しく利用し続けてもらう仕掛けを考えていきます。調達資金は開発や人材採用に利用する予定です。

―― 今後の展望を教えてください。

先行して海外でリリースされているアプリでも、数億人規模で利用されているアプリはまだありません。海外アプリが前提としている主要なユーザー層は「関係性維持への投資に関心がある人たち」です。まだそうした考えが一般的ではない日本で、カップルたちが熱狂するアプリを作れれば、世界中のどんなユーザーにもヒットするのではないかと思っています。「話し合いを怖いと思う気持ち」をいかに理解して寄り添い、楽しいと思える体験を作るか。それがグローバル展開の鍵になってくるのではないでしょうか。

カップルテックはまだ聞きなれない言葉ではありますが、海外では非常に伸びている市場です。私たちは「夫婦の関係性」という、きわめてウェットな感情領域をテクノロジーで良くするという大きなチャレンジに挑んでいます。事業に少しでも興味を持っていただけたら採用面ではカジュアル面談、投資家の方々とはぜひ壁打ちさせていただければと思います。

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