digdigシリーズAで約4億円を調達、「古着出品の常識」を変える仕組みで市場拡大を狙う

digdigシリーズAで約4億円を調達、「古着出品の常識」を変える仕組みで市場拡大を狙う

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服のリユース市場に新たな選択肢を提示するファッションフリマアプリ「digdig(ディグディグ)」を展開する株式会社digdigは、シリーズAラウンドにおいて約4億円の資金調達を実施した。

調達は三井住友海上キャピタル、三菱UFJキャピタル、全国保証イノベーションファンドおよびValue Chain Innovation Fundからの第三者割当増資と、みずほ銀行からの融資によって構成される。

同社は2024年8月にアプリをリリースし、わずか1年で累計30万ダウンロードを突破。SNSフォロワーも100万人を超え、ファッション感度の高いユーザー層を中心に急速に拡大している。代表の楊 承峻氏は「Z世代を中心に支持されており、月間アクティブユーザーは約20万人。広告に頼らずオーガニックで成長してきた」と語る。

スマホ画面イメージ
「digdig」は、掘り出し物を見つける楽しさと、不要になった服を簡単かつ納得のいく値段で手放せる便利さを両立したファッションフリマアプリ

digdigは、誰でも簡単に古着を出品・販売できる仕組みを提供している。ユーザーはアプリを通じて出品キットを受け取り、洋服を詰めて返送。希望価格を入力するだけで、撮影・採寸・出品・梱包・配送といった工程はすべて同社が代行する。楊氏は「メルカリは手間が多く、セカストは安く買い取られてしまう。その中間を狙ったサービス」だと説明する。

実際、倉庫には毎日大量の洋服が届くようになっており、オペレーションの効率化も進めている。AIによる自動採寸やブランド判別などを活用し、撮影・登録業務の効率化を図っている。「自社開発のAIツールで、出品にかかるコストを極限まで削減している」という。

また、digdigの根底には創業者自身の強い原体験がある。楊氏は「服は自分を幸せにしてくれるツールだった。だからこそ、より多くの人が気軽に楽しめる世界を作りたかった」と語る。起業当初からファッション領域に注力し、複数のプロダクトを経て、現在のdigdigにたどり着いたという。

スマホ画面 イメージ
出品ユーザーはアプリ上で売上をいつでも確認・振込申請できる

今回の資金調達では、事業面や物流面において強い支援体制が構築された。特にValue Chain Innovation Fundおよび全国保証イノベーションファンドは、物流企業との連携を含むCVCの性格を持つファンドであり、digdigの今後の成長における重要なパートナーとして機能する。楊氏は「物流は当社の事業の根幹。例えば西濃運輸さんが持つノウハウを活用し、出品体験のさらなる向上を目指す」と述べている。

三井住友海上キャピタルおよび三菱UFJキャピタルについては、「toCに強みを持つVCとして、ユーザー体験の改善やプロダクトの拡張に伴走してもらいたい」という意図があり、単なる資金支援にとどまらず、消費者向け事業における知見の共有やアドバイザリー面でも期待が寄せられている。

さらに楊氏は、今後の展望として「物流や商業施設と連携し、回収拠点を家庭外にも広げたい」「古着店舗や法人在庫のオンライン化を推進し、古着市場のEC化率向上に貢献したい」と語り、スマートリユースインフラの構築に向けた取り組みを加速させる方針だ。

中長期的にはGMV150〜200億円の達成を見据え、BtoBでのシステム提供やオペレーション支援、そして海外展開にも着手していく。「古着のEC化率は世界的に低い。そこに最適なソリューションを提供することで、グローバルでも戦える」と意気込みを見せた。

今回の資金調達を通じて事業基盤を強化したdigdigは、リユース市場の変革に挑み続ける。服の「捨て方」の常識を変えるその取り組みが、アパレル産業の未来にどのようなインパクトを与えるのか、今後の展開に注目が集まる。

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