ブランドファッションのシェアサービスHIVE Collective、持続可能な流通市場を開拓

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KEPPLE編集部

ラグジュアリーファッションのシェアリングプラットフォーム「HIVE Collective」を運営する株式会社HIVE Collectiveがシードラウンドにて、第三者割当増資による約1.2億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先は、SBIインベストメント、ココナラスキルパートナーズ、90s、ロッテベンチャーズ・ジャパン、その他個人投資家など。

調達した資金は、機能の拡充やマーケティング活動に充て、2023年3月末の正式版のサービスリリースに向けた活動を強化する。

商品を預けるだけで収益化できるシェアリングプラットフォーム

HIVE Collectiveは、ラグジュアリーブランドのアイテムを個人間で貸し借りできるシェアリングプラットフォームだ。クローゼットに眠っているブランド品を有効活用したい貸し手と、高級ファッションをより手軽に、幅広く楽しみたい借り手をマッチングする。

商品撮影、出品、クリーニング、発送を全てHIVE Collectiveが代行するため、ブランドアイテム所有者は商品を預けるだけで収益化できる。また、すべての会員が身分証による本人確認済みで、破損・盗難時の補償制度もあり、安心して貸し出すことができる。

同社はヒアリング結果を元に、月額で固定費がかかるサブスクリプションモデルではなく、イベントや大事な予定の際にオンデマンドでレンタル可能なサービスとしてスタートした。借り手は定価の約5-15%の料金でアイテムを利用でき、定価で購入するより安いコストで多くのファッションが体験できる。HIVE Collective側は代行手数料として、貸し手より貸し出し料金の40%を徴収している。
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2022年2月のクローズドβ版ローンチ以来、出品アイテム数・レンタル取り引き数を増やし、現在約400点のラグジュアリーブランド商品がレンタル可能になっている。商品は、エルメス・シャネル・ディオールなどの老舗高級ブランドから新鋭デザイナーズブランドまでを取り扱っている。

短期間の利用ですでに数十万の収益を上げる貸し手も出てきている。借り手側でも60%が初回利用から3ヶ月以内に再注文、平均注文単価は12.1万円となるなど、予想を上回る実績が出ているという。

今回の資金調達に際して、代表取締役CEO 佐藤直樹氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

循環型社会への転換に伴い提案する「1.5次流通市場」

―― ご自身が感じるファッション業界の課題とはどのようなものですか?

佐藤氏:ファッション業界は、他の産業と比べ圧倒的に消費トレンドのスピードが速く、毎年100万トン、33億着の衣類が廃棄されています。石油業界に次いで、世界で2番目の環境汚染産業とも言われているのです。

一方で、大量消費から循環型社会への転換期を迎え、人々の購買意識も変化してきました。実際私がロンドンに駐在していた時期に、日常的に選択してサステナブルな行動をとる意識が高まっていることに驚きました。スーパーでエコバックを持っていかないと店員に小言を言われることもあり、マーケットニーズの変革を肌で感じたからこそ、5、6年後に間違いなく日本にもそういった流れが来る、と当時考えていました。

しかし、ファッションブランドの国内二次流通市場は、いまだに店舗を構え、「高価で買い取ります」というマーケティングを行っています。店頭で買い取り、販売するという質屋ビジネスモデルが主流であることが課題だと感じています。

そこで私は、着用機会は少なくても手放す気はない、クローゼットに眠るアイテムを流通させたいと考えました。より多くの方にファッションを楽しんでいただくため、CtoCのファッションレンタル事業に参入し、「1.5次流通市場」の獲得を目指すことにしました。
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スタートアップスカウト

―― HIVE collectiveを起業された経緯について教えてください。

私は新卒で伊藤忠商事に入社し、経理部を経て、中古スマートフォン再販事業の立ち上げに携わっていました。ブランドファッションとスマートフォンは二次流通市場の構造が似ており、「物があれば売れるが、物が出てこない」という状況でした。そして、実際にiPhoneの在庫を200万台ほど管理していたところから、現在の事業の構想やオペレーションイメージが湧きました。

その後、ロンドンに駐在し、スタートアップ投資を経験して多く学べたことも、起業の後押しになっています。私自身、両親がブティックを経営している影響で、昔からファッションが好きでした。業界を身近に感じてきたこともあり、この領域での起業を決意しました。

また、創業メンバーが集まったことも大きかったです。取締役COOの武田は、事業開発のフィールドでプロマネを経験しており、私がビジョナリーな視点を持つ一方で、彼が各論の部分をみてオペレーションをまわしていくといったかたちで、上手く役割分担できています。取締役CMOの大出は、EMリヨン経営大学院でラグジュアリーブランド戦略・マーケティングの研究を行っていました。研究内容が事業のテーマとも合致していたことから、会社設立後すぐに参画してくれました。

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

会員の皆様が手軽に出品・レンタルできるための開発機能の拡充や、アイテム数・取り引き数増加を目的としたマーケティング活動など正式版のサービスリリースへ向けた活動を強化していきます。

具体的には、経営側のアイデアをプロダクトに早く落とし込むための開発体制を強化します。マーケティング活動としては、潜在的な貸し手へのアプローチや、「クローゼットに眠るブランドアイテムを手放すことなく収益化し、資産価値を与える」という概念を普及させていきます。

進化する消費選択とともにファッション業界を新たな展開へ

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

ブランドアイテムを所有する方が、手軽かつ安心感を持ってHIVE Collectiveに出品し、収益を上げられるプラットフォームの開発を続けていきます。2023年3月末に正式リリースする際、1000アイテムを登録することを目指しています。最終的には、ファッション好きにとって魅力的な商品がもっとプラットフォームに流通するようにしていきたいと考えています。

HIVE Collectiveは、新しい時代に沿うファッションの楽しみ方を提案したいという想いで開発しました。今ある資源を共有し合うことで、ファッションをより幅広く楽しみ、長く愛する選択肢を創っていきます。


株式会社HIVE Collective

株式会社HIVE Collectiveは、洋服・バッグ・靴などのシェアリングサービス『HIVE Collective』を運営する企業。 『HIVE Collective』は、ラグジュアリーブランドの洋服・バッグ・靴などを会員同士で貸し借りできるシェアリングサービス。同サービスにおけるレンタル希望者は、アイテムと受取日をウェブサイト上から指定すると、商品が自宅まで届きレンタルできる。自身がもつ洋服やバッグなどを貸し出したい場合は、専用のチャットルームから貸し出し希望の旨を連絡し、現品を発送。現品は、査定後にサイト上へ出品され、自身の出品アイテムがレンタルされると、収益が入金される仕組み。

代表者名佐藤直樹
設立日2021年5月20日
住所神奈川県横浜市青葉区あざみ野2丁目22-37
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