農業由来カーボンクレジットのフェイガー、脱炭素推進のインフラへ

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KEPPLE編集部


カーボンクレジット関連サービスを展開する株式会社フェイガーがシードラウンドにて、第三者割当増資による7200万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回のラウンドでの引受先はインキュベイトファンド。

今回の資金調達により、農家向けのプロダクト開発および、ボランタリーカーボンクレジットのマーケットプレイス開発強化と東南アジアへの展開を目指す。

※ ボランタリーカーボンクレジット:各国・地域における規制や制度に必ずしも基づかない、企業の自主的な活用が前提で運営されているカーボンクレジットの制度。
(参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/carbon_credit/pdf/20220627_1.pdf

脱炭素を加速させるカーボンクレジット

フェイガーは、農家向けの脱炭素に貢献する農法のカーボンクレジット化サービス、および企業向けにボランタリーカーボンクレジットの調達・利用サポートを行っている。

農家は、生産の過程で温室効果ガスの排出を削減し、排出削減量をクレジットとして他の企業に販売することで新たな収益源を得ることができる。その際、農家に必要な認証の申請から現金化までをフェイガーが支援している。

また企業向けには農家由来のクレジットに限らず、各分野で生成された中から企業が購入するべき適切なクレジットを調査し、実際に購入・利用するまでをサポートしている。現状、クレジットの購入には生成元を個別に調査する必要があり手間がかかるが、利用までの流れを包括的に支援しているのが同社サービスの特徴だ。

フェイガーは2022年7月に設立。現在は自治体や製造業を中心とした脱炭素への関心が強い企業と、同社サービスについて実際に検証を進めている。
欧米ではこうした農家によるカーボンクレジットの生成や売買は根付きつつあるが、日本やアジアではまだ類似のサービスは少なく、今後の動きが注目される。

今回の資金調達に際して、代表取締役 石崎 貴紘氏に、今後の展望などについて詳しく話を伺った。

日本にはカーボン・オフセットエコシステムが必要

―― 現在、脱炭素への取り組みにはどのような課題がありますか?

石崎氏:日本では現在、2030年までに温室効果ガスの削減目標が定められています。一方で、省エネルギーや再生エネルギーによる削減だけでは到達が難しいとの見解もあります。

日本政府として掲げている目標なので、どうしても達成をしなければならない。海外企業からクレジットを購入する選択肢もありますが、それだけでは国外に通貨が流出してしまいます。また、クレジットを購入・利用するためのマーケットが整っていないため、大企業もクレジット購入の際にかなりの手間がかかっています。

日本国内でクレジットを生成してお金と脱炭素を循環する仕組みを整えていくことで、日本も脱炭素をリードできる国になるポテンシャルがあると思いました。

そこで、国内の農家に着目をしました。作物収穫までの過程で工夫を凝らすことで、温室効果ガスの削減が可能なのですが、そのメリットが農家に知られていない現状があります。

スタートアップスカウト

―― 脱炭素関連のビジネスを始めようと思ったきっかけを教えてください。

元々、YCP Solidianceシンガポールオフィス代表パートナーとして、脱炭素や農業関連をテーマに企業のコンサルティングを行っていました。シンガポールを拠点に生活する中で、日本の作物は美味しいにも関わらずかなりの高値で売られており、最終的には安価な外国産が選ばれることに悔しさを感じていました。


また脱炭素の観点では、日本は感度が高いですが取り組みが進んでいるとは言えません。しかし、欧米諸国が決めた脱炭素の枠組みの中で、カーボンクレジットの仕組みを使ってエコシステムを作ることができれば、日本も脱炭素で各国をリードできるポテンシャルがあると感じたんです。農家にとってもエコシステムを通じて新たなお金の流れが生まれれば、その資金を活用して高品質な作物を世界に広げることができると考えました。そんな中で脱炭素への注目度の高まりやある起業家の方の後押しもあり、起業することを決意しました。


現状はカーボンクレジットの利用に関心のある農家がまだ少ないので、自治体と協力して興味のある農家を紹介してもらい、共同で検証を進めています。

日本が脱炭素で世界をリードする

―― 資金調達の背景や使途について教えてください。

資金の使途は大きく二つあります。一つは現在自治体と共同で検証している農家向けサービスの開発に力を入れていきます。農業は一年単位で作物の収穫を行うため、一年かけて検証と開発を進める流れです。ある程度開発が進めば、より多くの農家に展開できる予定です。二つ目は、カーボンクレジット関連のマーケット情報のリサーチを行う体制をきちんと整えていきたいと考えています。

採用に関しては、まだ創業初期でビジネスサイド・プロダクトサイドともに広く募集中ですが、当社ならではの点でいうと、農業のバックグラウンドのある方はご活躍いただけると思います。

―― 今後の長期的な展望を教えてください。

日本でカーボンクレジットのビジネスが成立してくれば、日本と同じ課題を抱える農家も多いアジアへの進出を考えています。2年後にはタイやインド、ベトナム、インドネシアなどの農地が広い国へ展開していきたいです。農家由来のカーボンクレジットの取り組みをアジアへも広げていきながら、脱炭素で日本が世界をリードする国となるよう、事業を進めていきたいと思います。

株式会社フェイガー

株式会社フェイガーは、脱炭素の収益化サポートサービスを運営する企業。 同社は、農家の脱炭素の取り組みを評価し、農業由来炭素クレジット化 を通して収益を得ることをサポートする。 そのほか同社では、企業向けに、カーボンクレジットの理解促進や活動事例の紹介、活用方針の策定サポートなどカーボンクレジットに係るサポートを行う。

代表者名石崎貴紘
設立日2022年7月7日
住所東京都港区南青山2丁目2番15号
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