AIで越境ECの複雑さを解消ーーSAZO、7.1億円を調達し物流・BtoB展開へ

韓国のファッションECプラットフォーム「nugu」を運営する株式会社mediquitousが、現代百貨店グループから約30億円(300億ウォン)の戦略的投資を受けた。現代百貨店によるCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)分野で過去最大規模の出資となる。
nuguは2020年に日本市場向けサービスを開始し、Z世代を中心とした20〜29歳の女性ユーザーから支持を獲得してきた。設立以来、韓国と日本を拠点にファッション・コスメ・ライフスタイル商材のEC運営、ブランド流通、プラットフォーム開発を展開してきた。nuguの日本公式サービスでは、インフルエンサーが自ら商品を選定し独自のショップを構築できる点が特徴である。商品調達や物流、サイト運営、カスタマーサービスはnuguが担い、インフルエンサーはプロモーションに専念できる体制を整えている。さらに、nuguはインフルエンサー・マネジメント機能も備えており、MCN(マルチチャンネルネットワーク)のような仕組みで現地コンテンツ制作やSNSマーケティング支援も実施する。
現時点でのつい系会員数は150万人を突破。2024年のGMV(流通総額)は70億円達成している。2025年1月には日本のファッションEC「SHOPLIST」を買収し、ローカルブランドの取り扱いやオフライン展開も推進。新宿・大阪で期間限定のポップアップストアを複数回実施した実績がある。
代表取締役CEOのイ・ドゥジン氏は、ファッション・コスメ領域でD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)やEC事業に従事。韓国や日本などの流通ビジネスに精通しており、2016年にmediquitousを創業した。
ファッションEC業界全体では、国内アパレルEC市場が2023年度に約2.6兆円まで拡大するなど、成長トレンドが続いている。しかし、ZOZOTOWNなど大手が市場を牽引しており、新規参入のハードルは高い。一方で、韓国発ブランドなど海外コマースへの関心は2019年以降高まり、インフルエンサー起点のD2CモデルやSNSを活用した販促が注目されている。新世界グループをはじめとした韓国大手流通企業も日本文化消費の高まりに合わせて、オフライン拠点や越境ECの投資を進めている。
こうした業界背景のもと、nuguは2024年5月に現代百貨店の「THE HYUNDAI GLOBAL」プロジェクトの一環として、渋谷PARCOでポップアップストアを開催。12ブランドが出店し、売上は3億円超と目標比150%を記録した。今後、現代百貨店はnugu内に「THE HYUNDAI GLOBAL」専門館を開設予定であり、2025年以降は日本各地でフラッグシップストアの展開を計画している。
nuguはこれまで、オンラインECに加え新宿・大阪の百貨店などでのポップアップ展開など、オフライン領域での実績も重ねてきた。今回の調達により、常設店舗の展開にも注力し、組織体制の強化と人材採用も積極的に進めていく。さらに、韓国ブランドの日本進出支援に加え、日本ブランドの韓国展開も事業戦略に組み込む計画である。今後は、オンライン・オフラインの両面から、日韓間のクロスボーダー流通ハブとしての役割をいっそう強化していく方針だ。
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