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シニアの日常を彩る、AgeWellJapanが提案する新たな世代間交流

高齢化が進行する日本社会において、非医療・非介護領域でシニア世代の生活支援を行う株式会社AgeWellJapanが、累計3.1億円の資金調達を実施した。今回の調達ラウンドには地域と人と未来CJS2号ファンドおよびUNERIが新規株主として加わった。
AgeWellJapanは2019年に設立され、シニアが自立しながらより豊かな生活を送れることを目指し、既存の医療・介護サービスとは異なるアプローチで事業を展開している。同社の主力サービス「もっとメイト」は、20〜30代の若手スタッフがいわゆる“孫世代”として、シニアの自宅でITサポートや外出の付き添い、趣味活動の支援などを行う伴走型サービスである。利用者とスタッフが単なる依頼主と作業者という関係にとどまらず、対話や共同行動を通じて継続的な関係を築く点が特徴となっている。
また、横浜の二俣川駅直結の多世代コミュニティスペース「モットバ!」の運営や、企業・自治体と連携したシニア事業開発支援、シニアの実態把握を目的としたAge-Well Design Labの運営など、複数の事業を展開している。シニア個人向けサービスを起点としつつ、そこで蓄積した現場データや知見を活用し、法人や行政との共創事業を収益源の一つとしている。
代表取締役社長の赤木 円香氏は、大学卒業後、2013年に人材コンサルティング会社に参画し、法人向けのコミュニケーションやホスピタリティ研修の企画・営業を担当した。2017年には味の素に入社し、財務経理部にて決算および原価計算業務を担当。2020年にAgeWellJapan(旧:MIHARU)を創業し、シニア向けのサービスを展開している。
国内の高齢化率は2024年時点で29.3%に達しており、今後も高齢単身世帯の増加やデジタル格差の拡大が懸念されている。経済産業省によると、国内のシニア向け市場規模は約100兆円とされ、多様なスタートアップが介護、健康、見守りIoTなどさまざまな領域に参入している。他方で、生活の質の向上や世代間交流に主眼を置いたサービスはまだ限定的であり、AgeWellJapanはこの分野に独自のポジションを築いている。
これまで一都三県を中心にサービスを展開してきた同社は、今回の資金調達を機に東北・中部地域への進出を加速し、地域ごとに異なる高齢社会の課題に対応する狙いだ。さらに、企業や自治体との連携を通じて多世代コミュニティの構築や、交流データを活用した法人向け事業の拡充も推進する計画である。
今回の資金調達は第三者割当増資によって行われ、地域と人と未来CJS2号ファンドおよびUNERIが新たに株主として加わった。両者にとっては初のAgeWellJapanへの出資となる。調達した資金は、人材採用の強化、地域展開の拡大、グループ横断の事業共創などに充当される予定だ。
高齢者一人ひとりの多様なニーズへの対応や、若年スタッフとのコミュニケーションの質の維持、サービス品質の均一化といった現場課題も依然として存在する。さらに、同分野には介護・見守りIoTサービスを展開するスタートアップの他、高齢者向けの人材派遣やデジタル支援を行う企業も複数競合している。
人材獲得競争や行政との連携によるモデル展開の成否も、今後の事業成長において大きな要素となる。AgeWellJapanは、資金調達による経営基盤強化とサービスエリア拡大を通じ、非医療領域のシニア支援ビジネスの新たなモデル構築に取り組む姿勢を示している。
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